表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

プロローグ

名前を、なくした。

性別も、姿も、変えられた。


だけど、まだ――心は、俺のままのはずだ。


 


「おかえり、ハコ。今日もいい子だった?」


あのひと――はぎは、そう言って優しく笑う。

薄紫の長い髪がふわりと揺れて、少しだけイタズラっぽく目を細めて俺を見る。


……たぶん、この世でいちばん、嘘の似合う笑顔だ。


「ん、にゃー」

「ふふ、そう。それなら……ほら、おやつ。ハコの好きなフィナンシェよ」

「にゃっ!」


猫の姿じゃ、うまく喋れないのがもどかしい。けど、おやつは……うまい。悔しいけど、うまい。

魔女の血を引く彼女に拾われて、俺はこうして生きてる――使い魔として。


だけど、本当は……


(俺は、誰だったんだろう)


萩の部屋の奥、本棚の隅にしまわれた一冊のノート。

そこにだけ、忘れかけていた「俺の名前」が、まだ眠っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
インパクトのあるタイトルと引き込まれる導入部。 素敵ですねえ(>_<)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ