第十三話 発覚
洞窟の入り口ではまだ焚き火が焚かれていた。
生の草を加えられ、そこから出た大量の白い煙はいまだ洞窟の中へと送られ続けている。
オーレルは矢が刺さり死んだ伝令役と思われるシビル兵から鎧を剥ぎ取りつつ、洞窟の入り口にいた村人に話しかけた。
「どう? 中の様子は?」
「少なくとも声は聞こえんさ。全員くたばったと思うぞ」
「……そうか、念には念を入れてもう少し煙を焚いてくれ」
分かったと返事する村人を尻目にオーレルは捕らえたもう一人の伝令兵に話しかける。
「俺はオーレル。君は?」
「言う必要があるかベリー中毒の糞野郎。どうせ殺すつもりだろう?」
既にオーレルは手にした棍棒でシビル兵の手足を殴り付け骨折させている。彼からすれば憎まれ口を叩きたくなるのも当然だろう。
だがオーレルが聞きたいのはそんなことじゃない。
「……俺は正直なところおまえ達シビル人に恨みなんて無かったんだ」
「こんなことしといてよく言うぜクソッタレが」
「こんなことをさせたのはおまえ達がヴァニエに侵略してきたからだ。俺は農夫で、畑を耕してれば良かった。けど今俺は戦場に駆り出されて、こうして人殺しをやってる。そうしないとこっちが死ぬから」
オーレルはアルヴィから縄を受け取った。
「俺達の国、ヴァニエには罪人の罪を消す方法として3つのやり方がある。『大地の贖罪』『獣の贖罪』『湖の贖罪』って言うんだ。これで罪を生きている間に消した後、死後に天国へと向かう」
「それがどうした?」
「大地は生き埋め、獣は熊や屈狸、狼に食わせて、湖は縛って沈める。お前はどれがいい?」
シビル兵は湖に投げ込まれそうになってから情報を吐きだした。
シビル兵から聞いた情報をまとめると、オーレルたちの今居る場所が想定以上に不味い場所だと分かった。
オーレルも黒髪をがしがしと搔きながらため息を吐いた。
「中間地点だったのか。ここは」
「みたいだな」
今現在オーレルたちの居る場所はヴァニエ軍とシビル兵がにらみ合っている戦場の真ん中だった。これより前にはシビル兵とヴァニエ兵の部隊が点在していて、お互いが突破できる場所を探している最中なのだという。
「戦力を集めてたのは突破するためか? 次にどこまで行くつもりだ?」
「ち、地図で言うと……ここだ」
縄を手にしたアルヴィ、彼に詰められたシビル兵は答えた。
彼が示した場所、そこは……
ヒルッカが待つカウス村だった。




