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file.addition 忘却の純愛 9

 私立探偵の杉山亮が、鴨市のメモリーサーキュラー阻止してから、一年後の話

鴨市から離れた街の大蔵市。アパートで暮らしている透の隣の部屋で大きな音がして確認すると、倒れている男と(ひじり)がいた。聖を守るため透は完全犯罪を企てた。

 既に探偵を辞め、喫茶店を営んでいた亮とほのか。透と親友である亮がその不可解な事件の謎を解くのであった。

 透が自首したことによって、警察内では混乱が生じた。聖に標準を合わせた捜査をしていたが、証拠が出てこず、それに限界を感じて被害者の人間関係を探ろうとしていたところであった。


 取調室のマジックミラー越しには何人もの刑事がいた。透の聴取が始まり気になった刑事達だ。そこには二宮もいた。聴取をしているのは三宅であった。

「今一度確認しますが、結城誠さんを殺害したのはあなたなんですか?」

「はい」

 透は三宅の胸元ら辺を見るような視線で話した。

「何故なんですか?」

「前に沢村さんからストーカーにあっていると聞いていました。それで1月20日にアパート近くを歩いていた結城誠を見かけ、すぐにそのストーカーだと分かりました」

「え、もしかして初めて見てすぐに殺そうと考えたんすか?」

「ええ、声をかけて今はここにいない。居場所を知っていると話して、油断したところを頭を殴り気絶させて一晩、職場の倉庫に監禁しました」

 透は当然のように答え、マジックミラー越しの刑事達は耳打ちを始めた。そこから犯人しか知り得ない情報を話し、現実味を帯びた。


「ということで日向透を殺人の容疑で逮捕する形となりました。捜査のご協力ありがとうございました!」

 二宮は閉店した喫茶店与一で亮に報告をした。

「へぇ、あの人が犯人か~見かけによらないんだね…」

 ほのかは意外そうな感想を述べた。

「そうなんですよ、我々も候補に挙げていない人が犯人でビックリでしたよ、日向透の1人で行った犯行で沢村聖は何も関与していなかった」

 二宮はその報告を終え喫茶店をでた。

「久しぶり会った友達が殺人犯なんてね…」

 沈黙の亮に腫れ物を触るように声をかけた。

「そうだな…」

 亮は椅子から立ち上がりおもむろに外へでる支度を始めた。

「どこ行くの?」

 ほのかの問いに亮は、風に当たってくると一言残し出ていった。


 亮が向かった先は聖の住むアパートであった。アパートのインターホンを鳴らして外で待った。すると、ゆっくりと玄関の鍵が開き、聖が顔を出した。

「どうも」

「…どうも、なんでしょうか?」

 警戒しているような表情で、それでいて目が充血して擦ったあとがあるのが分かる。寒さとはまた別の理由だ。

「目が赤いですが、大丈夫ですか?」

 聖は顔を少し逸らした。

「大丈夫です…それでご用は?」

「…単刀直入に言います。日向透が自主をしました。焼死体の殺人の」

「そうですか…犯人が捕まったのなら良かったです…」

 聖は少し動揺したが平静を装った。

「彼(透)が今回の事件で何をしたか、何故そんなことをしたのか、それを確かめたくて」

「知りません!!解決したのならもう私に関わらないでください!」

 聖は目に涙を浮かべながら力強く玄関を閉めた。

「…彼(透)は早くても明日には拘置所に送られます」

 亮はそれを言い残し、閉められた玄関の前で頭を下げた。

 聖は重く一歩一歩を踏み出し、リビングに置いてある封筒を見つめた。これは今朝ポストに投函されていたものだ。送り主は日向透__

 聖は封筒を手に取り、再びこみ上げる涙を抑えられず封筒を抱きしめた。


『拝啓、沢村聖 様

この1ヶ月あまり、不安で眠れない日も多かったでしょう。協力していただいているのに何も説明せず申し訳ございませんでした。何も答えずあなたの前から消えるのは忍びないので1つだけ。

先日、何故私にここまでしてくれるのかと質問がありました。詳しくは答えませんが、話せる範囲でお答えします。

沢村様とは隣人よりも前にお会いしたことがあります。優しい声色、温かい笑顔、今でも昨日のように思い出します。

最後に、木村翔様はとても良い方です。沢村様を一番に考えてくださり必ず幸せにしてくれると信じています。あなたの幸せを願って   日向 透より』

ありがとうございました。

だいぶ久しぶりに投稿します。

透の自主、そして聖への手紙。次回でこの物語を終える予定です。

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