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file.Altruism 忘却の純愛 2

 私立探偵の杉山亮が、鴨市のメモリーサーキュラー阻止してから、一年後の話

鴨市から離れた街の大蔵市。アパートで暮らしている透の隣の部屋で大きな音がして確認すると、倒れている男と(ひじり)がいた。聖を守るため透は完全犯罪を企てた。

 既に探偵を辞め、喫茶店を営んでいた亮とほのか。透と親友である亮がその不可解な事件の謎を解くのであった。

 2日後の1月22日、大蔵市で刑事をしている三宅のスマホに朝イチで電話があった。大蔵市内で死体が発見されたとの連絡であった。急いでスーツに着替え家から直行で現場に向かった。大蔵市で殺人事件はほぼ初めてのことで珍しいなと思いながら指示された場所まで向かった。

 その場所は都会のように建物が並んでいる所から少し離れていた。森が近くジョギングコースとして利用されている道のはずれだった。朝早起きした高齢夫婦がジョギング中に、鼻にこべりつくような焦げた臭いがしたそうだ。見に行くとそこには1つのドラム缶が置いてあったそうだ。そこから異臭がしていると分かり、警察に連絡して撤去して貰おうとした。

 駆けつけた交番の警察官が鼻をつまみながら中を覗くと、死体があり発覚した。

 現場に駆けつけた三宅は、車から出た瞬間鼻を抑えた。現場から少し離れているのに臭いがここまできていた。三宅は相当なものだと感じた。

「おはよーございます」

先に到着している同僚の刑事達に挨拶をした。

「おう、着いたか。早速だがみるか?」

同僚は顎でブルーシートに囲まれた方角を差した。

「嫌だけどな」

「覚悟しとけよ?」

「想像はできてるよ」

 三宅は十中八九、焼死体だと分かっていた。人体が燃えた臭いはこれまで何度か嗅いだことがある。

そんな三宅の想像を越えたものが出迎えた。

 三宅の想像通り焼死体ではあった。それに加え、顔面が潰れており原型を留めていなかった。

 三宅は目を細め顔を反らした。

「やべぇな…」

戦慄している三宅に同僚は、

「鑑識によると顔を潰され、さらに歯を全て抜かれているそうだ」

「おぇ、歯も?」

「そうだ」

「これじゃあ、身元分からないんじゃないか?」

三宅は焼死体に手を合わせ現場を見渡した。

「いや、おそらくこの人物だろう」

同僚はそう言い、袋に入った身分証を三宅に見せた。

「んー?結城誠?」

「これがドラム缶の近くに落ちてた」

「ドラム缶の近くに?」

 身体も衣服も燃やされ、顔と歯も抜かれ身元不明で片付けられそうな事件に不自然に落ちていた身分証。警察官でなくともこの違和感にすぐに気づく。

「なぜ、身分証が…」 

「ここジョギングコースの近くだろ?見つかるかもって慌てたんじゃないか?」

 三宅は眉を八の字にし考えた。

「だが、まだ身分証と同じとは限らない。それに遺体の手首に巻かれていた腕時計のようなものも、これから調べるつもりだ」

「そうだな」

「それにしてもお前も大変だな、この事件はお前の担当になるそうだぞ?」

「え!?まじか!」


 「えー、被害者の氏名は結城誠 29歳男性 神楽市在住です 死亡推定時刻は1月21日の19時~22時です」

刑事の1人がメモ帳に書いてある言葉を手でなぞりながら話した。

「あんな風になったのによく分かったな」

「死体の近くに落ちていた身分証を頼りに調べたところ、大蔵市内のホテルを1月19日から利用していたそうですが、チェックアウト時間になっても来ない被害者の様子を見に行った従業員が警察に相談していました」

「部屋についている指紋と、死体の入ったドラム缶と身につけていた腕時計に付着していた指紋が一致したため同一人物と判断しました」

 うんうんと頷く上司や他の刑事達がいるのは、大蔵市に設置した大蔵市焼死体対策本部の会議室だ。そこには当然、三宅もいた。

 「被害者の職業はフリーターで仕事を転々としており、ここ数年の職歴は無しです。借金もしており家賃も滞納することがあったそうです」

「犯人の目星は?」

上司が尋ねると、

「借金もしており金融関係か、それとも…」

「それとも?」

「えー、結城誠はストーカー被害をした全科がありました。被害を受けたのは沢村聖24歳 結城誠は沢村聖の住んでいるアパートの近くを歩いている所が防犯カメラに映っていました。1月20日を最後に消息を絶っています」


 「え?1月21日ですか?」

刑事にお茶をもてなしながら聞き返す聖。

会議の翌日、三宅は聖のアパートを訪れた。部屋の中は綺麗に片付けられており掃除が行き渡ったいた。

 三宅はこんなか弱い美少女が人を殺してあんなムゴイ事をするわけないと思いながらも、マニュアル通り聞き込みにきたのだ。

 聖は身長150cm前半といったところか、肩幅も顔も小さく幸薄の表情であり、眼福であった。見当違いである聖に聞き込みしにいくのは面倒であったが、美少女の顔を拝めることができ、お釣りがきたと心でガッツポーズをした。

「一応お聞きしようかと…」

「ちなみに何でですか?」

コクりと顔を横にした聖に胸キュンした三宅。顔がにやけそうになるのを我慢し、大雑把に説明をした。

「結城誠っていう人ご存知ですよね?」

 結城誠という言葉を聞いてビクッと肩が上がったのが分かった。それもそうだ、ストーカー被害に遭っていたのだ。思い出したくもないはずだと、思った三宅は手早に終わらそうと少し早口で続けた。

「あー、その人が先日亡くなりまして…その亡くなった日辺りでこの近くを歩いたらしく…」

「そ、そうなんですね…」

 聖は手に持っていたお盆で口元を隠した。ストーカーとはいえ、人が死んだのだ。どんな表情すればいいかなんて分からない。

 「ここを訪れたとかは…?」

「いえ、来てません」

「分かりました、念のために1月21日の21時前後は何をしていたかなと」

 聖は少し考え、その日は仕事が終わった後に職場の人とご飯を食べて話していたと話してくれた。三宅は申し訳なさそうに誤り、アパートを後にしようと靴を履いた。見送ってくれた聖は愛想笑いに近いがそれでも笑いかけてくれたことを噛みしめドアを閉めた。

 ふぅ、と軽く息を吐き車へ戻ろうとしたがそういえば隣の部屋に聞くのを忘れていることに気づいた。どうせ違うのに聞かなきゃいけないのか?と思いながらも重い足を隣の部屋まで運んだ。


 チャイムを鳴らし少し待つと若い男性が対応してくれた。身長は170cmほどで中肉中背であり顔も自分ほどではないがイケテると三宅は頭の中を巡った。

「誰ですか?」

「警察の者ですが、少しお聞きしたいことがありまして」

「はあ」

 ポカンとした表情で返事された。基本聞き込みはこんな感じで知らねーよといった顔か、警察が来たことに驚く人で別れる。この男性は前者だ。

 「1月21日にお隣に誰か尋ねたかっていうのはご存知ですか?」

「21日ですか?いえ?多分来てないと思いますが…」

 目線が上に向き思い出しながら答えてくれた。

「そうですか、ありがとうございました」

無言で頷きドアを閉められた。


 喫茶店 与一は大蔵市の大通りにある並木通りの所にある。そこは昔から営業しており、高齢のマスターが1人で切り盛りしていた。そこそこ繁盛をしていたが、ここ最近は大繁盛へと変貌していた。その理由はマスターが高齢で働くのが困難になったことで、代わりに切り盛りしてくれる人物が2人現れたのだ。

 その2人は美男美女でその噂が広まり、利用する客層が広がり老若男女問わず訪れている。

 「モーニングセット、アメリカン1つー」

「はいよ」

 美女が注文を受け、美男が珈琲と食事を作っていた。

その喫茶店はそこまで大きくなく、テーブル席が4つとカウンターが5人分であり、古きよき雰囲気で落ち着く所である。

 ごちそうさまと会計をする自称常連の客がいた。美女はレジをうちお釣りを渡した。

 「今日もべっぴんさんだね~ほのかちゃん」

いえいえ、そんなことないですよと謙遜する美女のネームプレートには『ほのか』と書いてあり、自称常連客は美男にも挨拶をした。その美男は微笑んだ。

「ありがとうございました」

ネームプレートには『りょう』と書いてある。


ありがとうございました。

事件の詳細と遂に、遂に一応今作の主人公の亮が登場しました。ほのかと一緒に営んでいる喫茶店は繁盛しているそうですね

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