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file.14 なぜ、この街は狙われてしまったのか

 前回のLostMemoryは、ついに杉山亮の過去が判明した。師匠の名前を受け継ぎ自分の記憶を探していた。それに、幸太が凶弾に倒れ…


 幸太が死に数日後、探偵事務所では亮とほのかでサルガタナスのボスが潜伏している場所への突入の作戦を練っていた。 コンコン 探偵事務所のドアが鳴る。「やぁ、杉山さん。いや杉山さんじゃないんでしたっけ?今凄いことになってますよ」声をかけてきたのは、刑事の二宮と桜木であった。

 そう、幸太が凶弾で亡くなる直前までの映像がなぜかネットに拡散されていたのだ。私が今まで身分を偽りこの街で探偵をしていたが世間にばれてしまったのである。世論は賛否に別れていた。否の方が圧倒的であるが…あの映像だけを見た者達は私が嘘をついてお金を騙し取っていたなど散々言われ放題であった。賛は今まで探偵業で関わった依頼人や私を知ってくれている人達が擁護してくれていたが、少数派は多数派に淘汰される運命であった。勿論私は否定する人達に言い訳はしない。こうなることを分かった上で師匠から受け継ぎ探偵業をしてきたのである。後悔はない。だが、今はそんなことに構っている暇はない。幸太が最後に残してくれたサルガタナスのボス、ほのかの父親 石動要の居場所が遂に分かったのである。

 「どうしたんですか?私を詐欺罪で捕まえますか?」亮が二宮と桜木の目を見ずに話していた。「いいや、そんなことはしないですよ。どれだけあなたに助けられたと思っているんですか。私に杉山さんを捕まえる権利はありません。だけど、手伝うことはできます」「え?」「サルガタナスのアジトが分かったんですよね?さすがにあなた達二人では危険すぎる。警察に手伝わせてください」二宮が亮とほのかに頭を下げた。「頭を上げてください。ありがとうございます」

 「突撃するなら先陣は警察に任せてください。サルガタナスの検挙もできますし、壁は必要でしょう」「分かりました。では……」四人で作戦をたて、二宮は警察に共有し作戦が固まってたら決行することになった。

 「ふーっ」「なに?どうしたの?亮」大きな溜め息をついた亮にほのかが尋ねた。「私は今まで近くにいた大切な相棒の闇を知らなかった…私が関わると悪い状況に進んでしまうのではないかと不安なんだ」バシッ! ほのかが亮の背中を叩いた。「いったっ!」「ちょっと!最近落ち込みすぎよ!あたしだって悲しいし辛いんだから!」「…そうだよな、みんな同じ気持ちだよな」「だから!湿気た面するな!」バシッ!「励ましてくれてるんだな!ありがとう」「励ましていないわよ!」「君は私についてきてくれるか?」「勿論よ!あたしの依頼を忘れていないでしょうね?」「覚えているよ!絶対依頼は達成させる。…この杉山亮が」


 同日、鴨市某所 ???「この映像は君が行ったことだね。ジーン、君は面白いことをしたね」「ええ、あの邪魔物は社会的に潰すのが一番効くのかと思いまして」「面白いが、私の趣味ではないな。ジーン君はもう用済みだ」「え?何を言っているのですか?」「ここまでよく頑張ってくれた。後は私の実験の一部になるといい」「なっ!やめっ!あぁ!!」

 

 決行当日、数台の車が森の茂みを通り抜け一つの一軒家に辿り着いた。「ここって…あたしが昔住んでいた所…」ほのかが石動要とまだ一緒に暮らしていた一軒家であった。両親が離婚したあとこの家は石動のものになった。家の周りを見ていると見張りと思われる者が数人いた。「ここで間違いないですが、石動要がいるんでしょうか?」二宮が亮に小声で聞いた。「突入してみないと分かりません。それに罠かもしれないし…慎重に行きましょう」二宮が頷き警察の指揮を取った。「予定通りA班は右、B班は左、C班は時間を空けて私と行きましょう」「はい!!」 午前11時、突入が開始された。「なんだ!警察か!」見張りは急な突入に驚いたが、銃撃戦に入った。中にいた仲間達も出てきて加勢してきた。

「危ないのでお二人は無茶しないようにしてください」二宮が亮とほのかの前に立ちながら戦況を伺っていた。そして、二宮率いるC班も銃撃戦に参戦し少しずつ前進していた。建物に入ることができた警察と亮達は石動要を探していた。だが、その姿は見られずもぬけの殻であった。「くそ!勘づかれたか」「いや、リビングのここの部分、風の流れを感じる」亮がリビングの不自然に気がつき調べてもらうように頼んだ。警官がその部分を動かすと地下に続く階段が現れたのだ。「さすが!名探偵ですね!」桜木が興奮気味に亮を誉めたが亮は気にも留めず、「進みましょう」下る階段を進みながら湿った通路を歩いていった。「この家の地下にこんな大きな空間があったとは」すると、突如サルガタナスのメンバーの奇襲にあった。「ここは私達が何とかします!杉山さん達は先に!」二宮が亮に進むように伝え、「わかりました!」亮が先に進んだ。一番奥まで進みそこには部屋の光が溢れていた。注意して中に入っていくとそこには、地下にあるとは思えない大きな装置が置いてあったのだ。「…これは」亮には何の装置なのか分からず部屋の周りを見渡していた。するとそこには衝撃的なものがあったのだ。そこにはケースの中に入った人達が何人もいたのだ。「なんだとっ!?人が!」

 「そうだ。これはメモリーサーキュラーと言うんだ」部屋の奥から一人出てきて亮に話しかけた。「あなたは?」「君たちが探している石動要だ」「…石動要!」フードを被っておりそれを外した。「まさかっ!」亮には見覚えがあったのだ。師匠を失くすきっかけとなったあの中年の男性であった。「ん?そういえば君のことを見たことがあったな…確か何年か前に」「ああ、そうだ!まさかサルガタナスの当主とはね…師匠の敵だ」「敵…?あぁ、そういえば私が拳銃で殺したんだったね」「なに!?」「貴様!絶対に許さない!」今にも石動要に噛み付く勢いの亮であったが、「誰に口を聞いている」さらに奥から出てきたのはギフトであった。「ギフト…」「また出会ったな。この前の映像見たぞ。言っただろう俺たちばかりに意識を向けていると足元をすくわれると。幸太は死んでしまい悲しいがな」「どの口が言っている、サルガタナスの一員のクセに!あんな吐き気がすることをしておきながら」「なんのことだ?」「とぼけるな!今まで、市民から記憶を抜き取りそれを販売していただろう!この目で確かに見た!」「なに!?そんなはずがない…記憶を抜き取った後は、石動が未来の人類のために有効活用すると…」「くくっはっはっ!」戸惑っているギフトに石動要が高らかに笑った。「ああ、そうか。ギフト君には言っていなかったね。ついでに杉山亮くんにも言っておこう。私の目的を…」「この装置はメモリーサーキュラー。これは今まで抜き取った記憶をデータ化し再構築。電波に乗せ人々に流し込み、記憶を改竄させ私の奴隷になるようにするものなんだ。メモリーサーキュラーはそのメインシステムなんだ。少し前まで試作品が失敗してね、行き詰まっていたが人を媒介にすることで安定することに気がついたんだよ」「なんだと…!では今までおれを騙していたのか!」「そうだ」ギフトと石動要の言動に亮は驚いていた。(どういうことだ?) 「この事はジーンも知っていたのか!」「ジーン?彼ならそこにいるよ」石動が指差した方にはケースの中に入ったジーンがいた。「ジーン!なんてことを!」「彼はもう用済みだ。最後にメモリーサーキュラーの人柱になってもらったんだ。まあ生きているがね」

 「私の理想郷に他人はいらない。教えてやろうギフト、君が何者だっのかを」パチンっ 石動はフィンガースナップを鳴らした。その途端ギフトが苦しみ始めた。

「なんだこの記憶は!」「どうなっている!?」「教えよう」石動は言葉を続けた。「杉山亮、君も知っているはずだろう。初めて私を見た時ある人物の記憶を抜き取ったことを…」「まさか!」「そう、その男がギフトなんだよ」石動は不敵な笑みで亮を見つめた。「この男は、元探偵でね。サルガタナスのことを嗅ぎ付けていたんだよ。さすがに鬱陶しくてね、だから実験ついでに記憶を抜き取りギフトとして我々の仲間にしたんだよ。いやー、実によく働いてくれたよ。利用されているとも知らずにね」「石動要!」ギフトは苦しみながら石動を睨み付けるが、「楽しかったよ、君との家族ごっこは」「貴様!」石動に殴りかかろうとしたが、懐から拳銃を取り出し牽制をした。「少し予定より早いがまあ良いだろう。人類記憶改竄計画を始める!」









ありがとうございました。

やっと、ラスボスになる石動要が出てきましたね。科学者はどうしても道徳心がないイメージがありますね。まさかギフトも探偵だったとは…

次回もお楽しみに。

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