file.11 なぜ、この街は狙われなのか
前回のLostMemoryは、母親の記憶を失くした家族の異変を調べてほしいと依頼があった。真実は父親が子どもから病気で亡くなった母親の記憶を抜き取り新たな人生を歩ませようとしていた。さらに、今まで声がでなかった空がついに声が出るようになった。
「なぁ、幸太。そろそろサルガタナスに近づこうと思う」「え?良いんじゃね~か?」ある日の昼過ぎの探偵事務所で今までのサルガタナスの事件の資料まとめを亮と幸太でしていた。「近づくって具体的にどうするんだ?ほのかは研究専門で根幹はよく分からないんだろ?」「そうなんだよな。手っ取り早いのは記憶を抜き取るSDM型腕時計を一般市民に売っているバイヤーを捕まえて情報を聞くとかかな」「そのバイヤーはどこにいるんだよ」「まだ情報だけで会えたことがないんだよな。なんか色々と後手にまわされている感じがするんだ」「後手?」「ああ、うまく表現ができないがなにか妙な感覚がある」「へー」
「ところで、幸太。最近はなにしてたんだ?」「なんだよ急に?旅行だよ旅行」「土産くらい買ってきてくれよ」「わりー忘れてたよ」この時、私は知らなかった。これが日常で話す幸太との最後の会話だと…
次の日から情報屋と警察に協力してもらいサルガタナスの尻尾を掴むため情報収集をしていた。この街 鴨市を駆け回り市民に聴き込みを続けたが成果は順調と言えない。やはり妙だ。把握できてる範囲でこの街でしかまだサルガタナス関連の事件は起きていないはずなのに認知度が低すぎる。「はぁー今日もダメか」ガタンッ 亮は探偵事務所の椅子に座り一息ついていた。「お疲れ様ー」ほのかがコーヒーを淹れて持ってきてくれた。「ありがとう」「なかなか情報集まらない?」「そうなんだよね」「多分、SDMでサルガタナス関連の記憶を残らないように手を回してるのが濃厚ね」「…やっぱりそうだよね、そんな感じががする。だけど、それで情報を集めない理由にならないからな。明日も朝から聴き込みに行ってくるよ」「朝からね…え?一階の喫茶店は?」「ん?ああ…最近お客がぱったり来なくなったんだよね。この際サルガタナスのことに専念するためにしばらく休業しようかなって」「はえー、飲食店って難しいんだね」コンコン探偵事務所の扉をノックする音がした。「どうぞ」入ってきたのは、情報屋のトマトちゃんだった。「珍しいね二階に来るなんて」「だって最近喫茶店やってないし」「ははっ色々あってな」「まあいいよ、ところで凄い情報を手に入れたかもしれないよ?聞く?」「凄い聞きたい」そう言い自慢げにカバンの中からパソコンを取り出した。「日々色んなサイトを漁っていてね、こんな面白いものがあったよ。これ」トマトちゃんはサイトを開き亮とほのかに見せた。「黒服にケースを持ったいかにも映画に出てくる悪党みたいなやつを見かけたっていうのがある。意外にもたくさん情報があって規則的に現れる場所があるんだ。」「そうなのか?」「ああ!監視カメラもないし人気が少ない所に現れる」「凄いな…」「ネット社会舐めちゃダメだよ?今や世界のあらゆる行動や情報はすぐに拡散される時代なんだ。あ、あとこれも」「ん?」「あんまり関係ないかもだけど、鴨市で見かけたっていうから一応ね」「黒いマントに仮面を被った人影をみた?」(前にも私の所に姿を見せた奴か?)
「その仮面男、見たことがある」「え?そうなの?いつ?」ほのかが尋ねた。「以前、同僚に嫉妬したカメラマンを追い詰めたときに物陰から覗いていたことがあったんだ」「うわー不気味ねそれ」「サルガタナスに関係あるかもしれない。それに案外遠い存在でもない気がする。てことで、名前をマスカレードにしよう」「マスカレード?」「仮面舞踏会で仮面を着けて踊る所から名付けた」「じゃあそのマスカレードに近づけれたら真相も近いの?」「まだ分からないが把握しておくべきだ」
「あした、そのバイヤーが出没するところに行ってみよう」「分かった!一緒に着いていくね!あなた襲われたらボコボコにされそうだから護衛してあげる!」「ははっそれは頼もしいね」
~翌日~ 「トマトちゃんの情報によるとここだな」亮とほのかが来た場所は鴨市にある港であった。午前中は業者や客で人がたくさんいるが、昼以降は人通りが減る。物陰からバイヤーがいないかを探していた。「あ、亮!あそこ!」ほのかが肩を叩き、指を指して教えてくれた。「黒服にケース持ったいかにもって奴…」「本当にいた…近づいて様子を見…」亮が隣にいるはずのほのかに声をかけようとしたが、「こらー!そこのいかにもな黒服!」バイヤーに向かって走り始めたのだ。「おい!ほのか!やめろ!逃げるだろ!」亮はほのかを制止し「あ」ほのかが我に返り亮を振り向いたが時すでに遅し。バイヤーが二人に気付き逃げたのだ。「ったく、案外バカなのか?」「ちょっと!」「とりあえず追いかけるぞ!やっと見つけた手がかりだ」
バイヤーは港を走りまわり亮達を撒こうとしたが、二人は体力に自信があるのか徐々に距離を詰めていった。「よし!そろそろ追い付ける!」ところが、バイヤーを追いかける亮達の死角の上空から何かが落ちてくるのがわかり二人は止まった。目の前にいたのは、(黒いマントに仮面…)「…マスカレード!」「?なんだそれは」エコーがかかった声でマスカレードが答えた。「あ!バイヤー逃げちゃう!」ほのかが追いかけようとマスカレードを横切ろうと走るとマントの中からナイフを取り出しほのかに襲いかかったのだ。「きゃ!」「ほのか!」マスカレードとほのかは取っ組み合い攻防が始まった。「あんたはバイヤーを追って!」「大丈夫なのか!?」「あんたいても対して変わらないわよ!」「… 分かった!」横切りバイヤーを追いかけようと逃げた方面に走ったが既に行方が分からなくなっていた。「っくそ」亮はほのかのもとへ戻ろうとした時、バイヤーが落としたものであろう一つの紙が落ちていた。「ん?なにかの案内状か?それに住所も書いてある…あ!ほのかは大丈夫か!?」
急いでほのかとマスカレードの場所まで戻るとまだ攻防が続いていた。すると遠くからパトカーの音が聞こえてきた。予定だと時間差で警察に来てもらい捕まえようと亮が考えていたのだ。その音を聞いたマスカレードは「警察か、これでは分が悪いな」ほのかきら離れ立ち去ろうとした。マスカレードは亮を睨み「杉山亮!貴様だけは絶対に許さない…!貴様だけは!」そう言い煙幕を張り逃げていった。パトカーが到着して「亮さん!あれ?バイヤーは?」刑事の二宮が二人のところまで来た。「あたし達に落ち度はなかった…」亮が話そうとした所を割ってほのかが乱入してきた。「…まあそう言うことにしておこうか」
港から出て亮とほのかは歩きながら話していた。「バイヤーもだけどあのマスカレードはなんか凄い亮に恨みがあるっぽいけどなにかした?」「いやー、分からないな。あるとしたらサルガタナス関連で邪魔してるからかな?…それとも」「ん?」すると二人の間に誰かが入ってきた。「なんだ二人とも!デートか?さては!」幸太であった。「ビックリした幸太か、違うよ実はバイヤーを見つけたんだ。だけど逃がしちゃったな」「バイヤーって、サルガタナスのか!?惜しかったな!」「そうなんだよほのかが…」「落ち度はないわ!」
「もう来ないだろうが、後日もう一度行ってみようと思う」「良いかもな!その港は確かに穴場だしよく見つけたな~」「…?」三人は話しながら歩いていった。「じゃあ、おれ帰りこっちだから!」幸太はそう言い去っていった。
ほのかと亮は事務所に帰ることになった。「なぁ、ほのか。少し試したいことがあるんだ」
ありがとうございました。
ついに敵組織のサルガタナスのバイヤーの出没場所が判りましたが、逃がしてしまいました!落ち度はなかったですかね。
次回以降に、物語の根幹に近づきます。