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エンドロールが流れた後で  作者: 柏木 遊
幕開け
1/19

ある魔族

初投稿です。よろしくお願いします。

いっけな〜い!

遅刻遅刻!!

あたし、北部の魔族を束ねる大魔族、ナハティガル!

今人間が夜襲を仕掛けたから応戦に行くと途中なの!!

実はあたしは転生者で、日本の女子高生だったけど、それは誰にも言っちゃいけない私とみんなとの秘密なんだからね!!

まあ誰かに言う前にナイナイしちゃうけど。


というわけで、茶番は終了。

改めて、私がナハティガルだ。

さっきのはって?作者の性癖に決まっているだろ。

お察しの通り、転生したら魔族の男になっていた。

神は死んだ。

今夜襲が掛けられた場所は北部の中でも要となる城塞だった。

それだけに兵士も充実している。

簡単に落ちるとは思えなく、それが一層ナハティガルの不安を駆り立てた。

あの将軍は無策で突っ込んでくるような真似はしない。

そう、どこか確信めいた何があった。

なにか、裏があるはずだ。

しかしそれがナハティガルには分からなかった。

ここを落とされると、魔王城への道が開いてしまうから。

落とさせてやるわけにはいかないんだ。

そう思いながらナハティガルは背中の羽根をはためかせ加速した。

北部部の広大な景色が瞬く間に通り過ぎていく。

幾ばくかすると、目的地の城塞が見えてきた。

下を見ると、果敢に攻めいる人族の中に、見知った面々がいた。

いや、ナハティガル自身は見たことがないが、送られてきた資料の中にあったのだ。

白髪と赤い目が特徴的な少女が先頭を切っているパーティ、魔王の天敵である勇者一行の姿がそこにあった。

成る程、勇者一行の為の血路を開こうと言うわけか。

一人そう納得すると、一際大きく羽をはためかせ、そのまま戦場へと急降下した。

あえて勢いは殺さずに、着地した時点で翼に衝撃を流しつつ騎士達を薙ぎ払い、目的の人物の前に降り立った。

目前には視線だけで並の魔族なら殺せそうな、長年北部の魔族と争い合ってきた一族の長が居た。

白銀のフルプレートにスカイブルーのマントが風にはためき、額から口元まで引っ掻き傷のような痕がある男だっだ。

「やあやあ久しいねえマルコ将軍。随分と勇者一行に惚れ込んでいるようだな、中々の大博打を打ってきたじゃないか。即時撤退をお勧めしよう」

「ぬかせ、貴様こそ大将自らが俺の首を狙いにくるとは、即時撤退して欲しいのは貴様らの方だろ?」

第一その名は俺の死んだ父の名だと、そう吐き捨てるように言った。

「あぁ、あいつ死んでたの。相変わらず父親の遺伝子強いね。君の祖父も、曽祖父も、全員そっくりで見分けがつかないんだよね」

まあ、時間稼ぎはこれくらいにしましょうか。

そう言ってナハティガルは地面を蹴って、男に踊りかかった。

「俺の名は聞かんのかっ!?」

「おーおー、まだ喋るとは余裕じゃんね、君が強かったら聞いてあげようか」

剣と翼が交差する。

「臆病者が、何をほざく!!お前の狙いは俺を殺して軍を瓦解させる事だろうが、勇者と戦い、自ら命を張ろうとしない者に、崩せる俺の軍ではない!!」

白刃がナハティガルの喉を掠める。

その刃はつ、とナハティガルの首の皮一枚を切り裂き、赤い筋を作った。

ヤッヴァイ、主に死亡フラグが、とナハティガルは思った。

経験上、この世界は割とフラグが立つと現実になる。

つまり死ぬ。

ここで一つ、生存フラグを立てねば私に未来はない!!

「あれ、避けたと思ったんだけどな。いいね、正直みくびっていたよ。お前、名を聞こうか」

「そうか、ならば冥土の土産に覚えておけ。俺の名は、北部領主シラカワ・ヴェルデ。そしてお前を殺し、この血で血を洗う戦いに終止符を打つ男の名だ」

おっバカ、この死亡フラグ製造機がっ!!

あぁ、もうだめだ。

しかもこれ、自分がやられるパターンのやつじゃないかとナハティガルは思った。

オワタと思いながらも羽根を魔法で太刀に変え、応戦するも、いまいち決め手にかける。

しかもこいつ同郷の子孫じゃないか!?

道理で強いわけだと一人ごちるも戦いの火蓋は切られている。

何故領主の苗字を知ろうとしなかったのか、過去の自分が悔やまれる。

というか転移者ならフラグ位書き残しておけって、死ぬよ?冗談抜きで死んじゃうよ?!

それともアレか、あえて死亡フラグを立てて殺しに行くスタイルか?そうなのか?

世界の法則を利用しやがって!!

ひとしきり心の中で愚痴らながらも剣を撃ち合う。

相手は貴族だ、単なる歩兵とは違い乗馬している。

つまり、いくらナハティガルが身長二メートル位ある大男だったとしても、やり辛い。

まずは馬を潰すか。

そう思い太刀に魔力を込める。

「少し、ふざけすぎたね」

ナハティガルはどうっと太刀を一閃した。

太刀から魔力が延び薄い刃を形成し、馬とヴェルデともども切り捨てた。

「ぐうっ」

馬は切られたが、ヴェルデはからかくも剣ではじき返したようで、落馬はしたものの上手く落ちたのか立ち上がった。

戦いはまだ始まったばかりだ。




お読みいただきありがとうございました。

稚拙ながら、二人の旅を書き切れるといいなと思います。

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