ある魔族
初投稿です。よろしくお願いします。
いっけな〜い!
遅刻遅刻!!
あたし、北部の魔族を束ねる大魔族、ナハティガル!
今人間が夜襲を仕掛けたから応戦に行くと途中なの!!
実はあたしは転生者で、日本の女子高生だったけど、それは誰にも言っちゃいけない私とみんなとの秘密なんだからね!!
まあ誰かに言う前にナイナイしちゃうけど。
というわけで、茶番は終了。
改めて、私がナハティガルだ。
さっきのはって?作者の性癖に決まっているだろ。
お察しの通り、転生したら魔族の男になっていた。
神は死んだ。
今夜襲が掛けられた場所は北部の中でも要となる城塞だった。
それだけに兵士も充実している。
簡単に落ちるとは思えなく、それが一層ナハティガルの不安を駆り立てた。
あの将軍は無策で突っ込んでくるような真似はしない。
そう、どこか確信めいた何があった。
なにか、裏があるはずだ。
しかしそれがナハティガルには分からなかった。
ここを落とされると、魔王城への道が開いてしまうから。
落とさせてやるわけにはいかないんだ。
そう思いながらナハティガルは背中の羽根をはためかせ加速した。
北部部の広大な景色が瞬く間に通り過ぎていく。
幾ばくかすると、目的地の城塞が見えてきた。
下を見ると、果敢に攻めいる人族の中に、見知った面々がいた。
いや、ナハティガル自身は見たことがないが、送られてきた資料の中にあったのだ。
白髪と赤い目が特徴的な少女が先頭を切っているパーティ、魔王の天敵である勇者一行の姿がそこにあった。
成る程、勇者一行の為の血路を開こうと言うわけか。
一人そう納得すると、一際大きく羽をはためかせ、そのまま戦場へと急降下した。
あえて勢いは殺さずに、着地した時点で翼に衝撃を流しつつ騎士達を薙ぎ払い、目的の人物の前に降り立った。
目前には視線だけで並の魔族なら殺せそうな、長年北部の魔族と争い合ってきた一族の長が居た。
白銀のフルプレートにスカイブルーのマントが風にはためき、額から口元まで引っ掻き傷のような痕がある男だっだ。
「やあやあ久しいねえマルコ将軍。随分と勇者一行に惚れ込んでいるようだな、中々の大博打を打ってきたじゃないか。即時撤退をお勧めしよう」
「ぬかせ、貴様こそ大将自らが俺の首を狙いにくるとは、即時撤退して欲しいのは貴様らの方だろ?」
第一その名は俺の死んだ父の名だと、そう吐き捨てるように言った。
「あぁ、あいつ死んでたの。相変わらず父親の遺伝子強いね。君の祖父も、曽祖父も、全員そっくりで見分けがつかないんだよね」
まあ、時間稼ぎはこれくらいにしましょうか。
そう言ってナハティガルは地面を蹴って、男に踊りかかった。
「俺の名は聞かんのかっ!?」
「おーおー、まだ喋るとは余裕じゃんね、君が強かったら聞いてあげようか」
剣と翼が交差する。
「臆病者が、何をほざく!!お前の狙いは俺を殺して軍を瓦解させる事だろうが、勇者と戦い、自ら命を張ろうとしない者に、崩せる俺の軍ではない!!」
白刃がナハティガルの喉を掠める。
その刃はつ、とナハティガルの首の皮一枚を切り裂き、赤い筋を作った。
ヤッヴァイ、主に死亡フラグが、とナハティガルは思った。
経験上、この世界は割とフラグが立つと現実になる。
つまり死ぬ。
ここで一つ、生存フラグを立てねば私に未来はない!!
「あれ、避けたと思ったんだけどな。いいね、正直みくびっていたよ。お前、名を聞こうか」
「そうか、ならば冥土の土産に覚えておけ。俺の名は、北部領主シラカワ・ヴェルデ。そしてお前を殺し、この血で血を洗う戦いに終止符を打つ男の名だ」
おっバカ、この死亡フラグ製造機がっ!!
あぁ、もうだめだ。
しかもこれ、自分がやられるパターンのやつじゃないかとナハティガルは思った。
オワタと思いながらも羽根を魔法で太刀に変え、応戦するも、いまいち決め手にかける。
しかもこいつ同郷の子孫じゃないか!?
道理で強いわけだと一人ごちるも戦いの火蓋は切られている。
何故領主の苗字を知ろうとしなかったのか、過去の自分が悔やまれる。
というか転移者ならフラグ位書き残しておけって、死ぬよ?冗談抜きで死んじゃうよ?!
それともアレか、あえて死亡フラグを立てて殺しに行くスタイルか?そうなのか?
世界の法則を利用しやがって!!
ひとしきり心の中で愚痴らながらも剣を撃ち合う。
相手は貴族だ、単なる歩兵とは違い乗馬している。
つまり、いくらナハティガルが身長二メートル位ある大男だったとしても、やり辛い。
まずは馬を潰すか。
そう思い太刀に魔力を込める。
「少し、ふざけすぎたね」
ナハティガルはどうっと太刀を一閃した。
太刀から魔力が延び薄い刃を形成し、馬とヴェルデともども切り捨てた。
「ぐうっ」
馬は切られたが、ヴェルデはからかくも剣ではじき返したようで、落馬はしたものの上手く落ちたのか立ち上がった。
戦いはまだ始まったばかりだ。
お読みいただきありがとうございました。
稚拙ながら、二人の旅を書き切れるといいなと思います。




