問題児と優等生と婚約破棄と
定期的に書きたくなる婚約破棄もの。
貴族学園を卒業する学生が最後に集う卒業パーティ。
卒業生が思い思いに親睦の深い友人と最後の交流を深め合っていた最中……その和やかな雰囲気をつんざく声が響き渡った。周囲の人間がその声の方向に顔を向けると、そこには学年一の才女であるミレイユ・オスマン侯爵令嬢とその婚約者であるレアンドル・リシュパン公爵令息が立っていた。
ミレイユはいつもの様に背筋を伸ばして美しく立っているが、レアンドルは婚約者の彼女を指差して喚いている。だが、残念ながら早口過ぎて、当事者である彼女も彼の言葉を聞き取れていなかった。彼はいつもこうなのだ。
(はぁ、また始まりましたね。嫌味しか言えない情けない男。しかも――)
そう考えたミレイユが目線をレアンドルの頭上に送れば、二階の傍聴席から顔を出している女子生徒がいる。顔は遠くて見えないが、多分レアンドルが寵愛している女性ではないだろうか。大方、彼が彼女を引き入れたのだろう。
その事に気づいているのは、彼女の他にはいないようだ。
(寵愛する女性がいないと、何も言えないなんて……あの方は本当に……)
こんな男でも結婚しなければならないのだろうか、そう思うと頭が痛い。だが、彼の寵愛を受けている男爵令嬢がみすみす優良物件――ミレイユにとっては、不良物件なのだが……を逃すだろうか。もし事を起こすなら今だろう。そう考えたミレイユはレアンドルをジロリ、と睨め付ける。
レアンドルはそんな彼女を見て少し怯むが、意を決したのか大きく息を吸い――
「ミレイユ・オスマン侯爵令嬢!お前と――」
レアンドルもミレイユに負けず彼女を睨みつける。そして一呼吸置いて言葉を発しようとしたその時。
「ふざけないでください!!!」
「ぶふぇぇぇぇぇーーーーーーーーーー!!!」
盛大に頬を叩かれ唾を飛ばす姿は、まるで道化師のようだった。その光景を見て誰もが……勿論渦中の人物である令嬢でさえも、肩を揺らして笑いを堪えている。
「今、な、に、を言うつもりだったのですか?そもそも、今が卒業パーティなのをお忘れですか?!」
「ジョエル侯爵令息……」
ジョエル・クストー侯爵令息はレアンドルの監視役だ。
この国では基本長男が家を継承する事が法律で決められているのだが、その長男が貴族としての振る舞いに問題がある、と判断された場合に、監視役というものが置かれる事になっている。
監視役は行動を監視するだけではなく、不適当な行動をすれば諌めなくてはならない。もし監視役が監視される側よりも下位貴族だった場合、忠言、場合によっては手を出すこともまでも許可する王命が下されるほどだ。学園に入る際に監視役が置かれるかどうかを判断され、監視役が置かれる事は家の恥だとも言われている。
そのため実際は、学園に入る前に問題児である長男に監視役を付け、そこで判断してもらい、もし矯正不可能な場合は継承権を剥奪する、という家がほぼだ。
レアンドルは学園に入る際監視役が義務付けられたため、国から監視役に指名されたのが同学年であるジョエルだった。クストー侯爵家の現侯爵が、監視部のトップである事が大きい。
学園の生徒も、最初は秀才で真面目なジョエルと問題児レアンドルが共にいる事に疑問を感じていたのだが、侯爵令息が監視役と伝わると、なるほどと納得する生徒が多かった。なぜなら、爵位だけではレアンドルの方が上なのだが、ジョエルはそんな事を気にする事なく、至る所で諌める姿が見られていたからだ。監視役は該当者に忠言できるよう、国王陛下より勅命を頂いている。
まぁしかし、ジョエルの声の大きい事……自分にブーメランが飛んでいるにもかかわらず、それに気づいていないのだが、その前に彼の愚行を止められた功績は大きい。
「忘れてはいないが、ミレイユに言わなくてはならない事があって……」
「それで呼び止めて彼女を指したのですか?指すなんて、なんと下品な!」
「あいつの顔を見たら、怒りが止められなくてつい……」
「婚約者をあいつ呼ばわりですか?本当に貴方は失礼な人ですね。まさかそのノリで婚約破棄などと言おうとしたのではないですよね?!」
周囲は、この神聖な卒業パーティでまさかそんな馬鹿な事をするなんて――と思っていたようだったが、顔を青ざめるレアンドルを見て、それが事実だった事に気づく。
監視役もいてここまで愚かになれるのも、また才能だ。ただし、悪い方向に……ではあるが。
「だが、それには理由がある!」
「理由があれば、卒業パーティで婚約破棄していいわけではありません!むしろこの場合、まず貴方の父親である公爵様に相談するのが筋というものですよ!」
全くその通りだ。正論を言われて黙り込むレアンドル。既に呆れてこの茶番を細目で見ているミレイユと周囲。そんな様子に全く気づかないジョエル。彼の残念ポイントは、熱中すると周囲が見えなくなる事……だ。
「もしかしてその理由とは、貴方が親密になっていた一学年下のアリーヌ・バロー男爵令嬢の事ではありませんよね?その令嬢が、『ミレイユ様に虐められたの』と言っていた。侯爵令嬢が虐めをしていた、という罪を公の場で公開する事で、彼女を悪女と見せて同情を引く……なんて事を考えていないですよね?」
「なんで分かったんだ!?」
図星かい!と思わず全員が突っ込んでしまったに違いない。
アリーヌ・バロー男爵令嬢は在校生のため、この卒業パーティに出席する資格はない。そのため姿は見えないが、二階の傍聴席でこそこそと隠れている者が彼女であろう。
ミレイユは――レアンドル様の上でちょこまかと動くあの子、目障りね。と思いながらも、視線は下で言い合っている二人に戻す。話は次に進んでいるらしい。
「阿呆ですか?貴方は阿呆ですか?」
「二回も言うな!」
「いえ、大事な事ですから。そもそも、侯爵令嬢が男爵令嬢を虐めていたという物的証拠はあるのですか?」
「証拠なら――」
「あ、『彼女の証言が証拠だ!』などとは言いませんよね?」
「……」
「図星ですか……」
呆れたと言わんばかりに、これ見よがしにため息を吐くジョエルに周囲は同情する。彼は根本的な常識が身についていないのだ、と言う事を嫌でも理解させるやり取りだった。婚約者の侯爵令嬢と監視役の彼に同情の視線が増える。
「物的証拠が無ければ、無罪と同じです。と言いますか……貴方は気づいていないのですか?」
「……何がだ?」
「ミレイユ様がアリーヌ嬢を虐める理由がないのですよ、そうですよね?」
「ええ、ジョエル様の仰る通りですわ」
「いや、そんなはずないだろう?だって……」
そう言いながらレアンドルはミレイユに目線を送るが、彼女から睨まれてしまう。彼の後ろから「エッ」という声も聞こえたが、無視する。そのやり取りを見ていたジョエルは手をポン、と叩いた。
「もしかして、貴方は侯爵令嬢に愛されていると思ったのですか?」
「そうだ、その通りだ。ミレイユは――」
「あなたの事を愛しているから、貴方と仲の良いアリーヌ嬢に嫉妬して侯爵令嬢が虐めようとしたと仰いたいのでしょうか?」
「そうだが……?」
「はぁ、貴方は馬鹿ですか」
顔を真っ赤にして怒り出す公爵令息。
「そもそもそれが間違いなのですよ」
「そんなはずはない!!アイツは俺のことを好きだろう!?」
ため息を吐きながら、ジョエルはミレイユを一瞥する。その視線を受けた侯爵令嬢は、「仕方ありませんわね……」と呟くと、数歩前に出てレアンドルを睨みつけた。
思った以上の眼力に、彼は怯んだらしく、「……なんだよ」と狼狽える。
「私と、レアンドル様は政略結婚ですわ。愛があって婚約した訳ではありませんもの。貴方に愛情など元々ございません」
「な、何故だ?!政略とはいえ、お前は婚約者だろう?私を愛するのは当たり前ではないか?」
「……そもそも、貴方様は私を愛してくださいましたか?」
「まさか!お前のような虐めを行う性悪なんか、昔から愛していない」
「私も同様ですわ。最初は仲睦まじくなろうと努力しましたが、数年ほどで諦めたくらいですわ」
つまり幼少の頃から性格が悪かったと言っているようなものだ。一層哀れみの目が彼女に向けられた。ちなみにミレイユという婚約者がいながら、レアンドルは他の女性に現を抜かすことも多く、そのことも彼女がレアンドルを好きになれない理由の一つだった。
「そもそも、レアンドル様は婚約者様の事を何だと思っていらっしゃるのでしょうか?……貴方は学園入学前も、入学後も彼女に贈り物すら贈らず、パーティでのエスコートすら最低限のことも行わず彼女に恥をかかせたこともあったではありませんか。そんな男性を好きになりますか?」
「…………」
「ふむ、阿呆な貴方にはもう少しわかりやすく言わないといけませんね。もし婚約者がパーティのエスコートを勝手に他の男性にお願いしていたり、自分の誕生日に贈り物が届かなかったり……如何ですかね?」
「…………」
何も言わないレアンドルだが、不味いことはわかったらしい。顔が真っ青になり始める。それにトドメを刺したのが彼女だ。
「だから私が男爵令嬢に虐めをする理由などありませんわ。レアンドル様の事に興味がありませんので。貴方様がそこまで言うなら、婚約破棄致しましょう。ちなみに元婚約者になるのですから、名前を呼ばないでいただけます?」
レアンドル自体は婚約破棄の「こ」の字さえ言っていないのだが、周囲はレアンドルの貴族としての品位のなさに呆れていたのだろう、彼女の言葉に同意するように頷く者が多くいた。
遠くから「やった」という声が聞こえてくる。きっと彼女であろうが……婚約破棄をした、という事が今後レアンドルにどうのしかかるのか、理解ができていないのだろう。いや、むしろ自分が公爵夫人になれると喜んでいるのではないだろうか。
「ではリシュパン様、今後は私共オスマン侯爵家からの融資を止めさせていただきますね。後ほど婚約破棄の件と共にお伺いしますわ」
「……融資だって?」
「ええ、あら……ご存じありませんでしたか?新規事業のための資金提供をオスマン侯爵家から受けている事を」
「いや、そんなはずは……」
ミレイユの話を聞いてみるみるうちに青ざめるレアンドル。彼は数字を読むことが昔から苦手なのである。が、確かに最近彼の家の執事の顔色がいつも悪く、公爵に苦言を呈している姿を見る事が増えた事を思い出す。
「そのお顔を見ると、もしかしたら思い当たる事があるのかも知れませんね。破棄の撤回は受け付けませんので、よろしくお願いいたします。もし撤回される場合は、ここにいる皆様に証人をお願いする事もあるかもしれませんが、お願いできますでしょうか?」
「勿論、ジョエル・クストーは証言をさせて頂きます」
開口一番にジョエルが声を上げると、周囲から何十人もの声が上がる。それもジョエルと同様、証人になるという旨の言葉だった。
その様子を見て周囲からも見放されたと感じたレアンドルは、膝から崩れ落ちる。そしてもう一人、二階席にいる男爵令嬢は、話を理解できず慌てていたところを守衛に取り押さえられていた。
それと同時にレアンドルも守衛に両腕を取られ立たされていたが、足に力が入らないのだろうか、その歩みは遅い。項垂れているため、どんな表情をしているのかはミレイユには分からない。だが、今まで全くないと思っていた情が今ここで少しだけムクリ、と顔を出した。
(本当に残念なお方。ジョエル様のお言葉を聞いていれば、こんな結末にはならなかったでしょうに)
しかしそれだけだった。きっと彼女の情は憐憫だったのだろう。彼の寂しそうな背中を見送りながら、彼女はその思いに別れを告げる。もちろん、次に進むために。
結局彼らの婚姻は、レアンドルの不貞により婚約白紙とされ、ミレイユへ慰謝料を支払う事で決着となる。同時に公爵家はレアンドルを仕方なく男爵家へ婿入りさせようと目論むが、アリーヌは侯爵家の報復を恐れた男爵により、既に男爵家から廃嫡されており、公爵家は良い婿入り先も見つからない醜聞だらけのレアンドルを廃嫡せざるを得なかったのだ。
そもそも学園で監視役が付いてしまう事が不名誉な事であるにもかかわらず、家族愛からか……それを放置したリシュパン公爵家は、その後貴族内で孤立し、新規事業も廃業に追い込まれ衰退に一歩足を踏み入れるところまで落ちぶれる。そこで危機感をやっと覚えた公爵は、レアンドルとは対照的に模範生として一目置かれていた次男に公爵位を譲渡。そこから彼の努力と、後々嫁入りする女性の支えもあり、公爵家は盛り返していくこととなる。
ちなみに当事者であったミレイユは、学園長に話を聞かれて終わっているが、ジョエルは監視役という立場では正しい行いであったが、事を大きくしたことにかんしては学園長に叱責されていた。
話は戻るが、卒業パーティは結局お開きとなり、中途半端で終わった事に胸を痛めた学園長が国王の許可を得て、それから数日後に改めてパーティを開催した。
そこには楽しそうに学友と笑うミレイユが。レアンドルには一欠片も未練はないらしい。
そんな清々しい彼女とは正反対に、食事が置かれているテーブルの奥でひっそりと食事をしている人がいる。監視役のジョエルだ。
彼の雰囲気は、卒業を祝っているような喜ばしいものではなく、どんよりとした……いかにもキノコが生えそうなジメジメとしている暗さだ。その姿に気づいたミレイユが、彼の元へ近づいて声をかける。
「ジョエル様、先日はありがとうございました」
「いえ、監視役として当たり前の事をしただけです。ミレイユ様、調子はいかがですか……?」
「そうですわね……雲が一つもない晴れ間のように、すっきりしておりますわ!」
そう伝えた後の笑顔を見て、それが彼女の強がりだろう!なんて指摘する阿呆は、ここにはいない。周囲の人間から見ても、彼女の笑顔に嘘偽りはないように見える。
(お荷物だった婚約者が元婚約者になったのだもの。こんなに嬉しいことはないわ)
とミレイユは内心思っているのだが、顔には勿論出すことはない。そんなジョエルは彼女の様子に一瞬目を丸くするが、すぐに口角を上げて取り繕う。
「それは喜ばしい事ですね」
「ジョエル様のお陰ですわ。ここだけの話ですが、レアンドル様に無視される生活はなかなか堪えましたのよ?」
「そうなのですか?」
その言葉にジョエルは驚愕する。いつも毅然とした態度でレアンドルに接している様は、高位の貴族令嬢として誉めて然るべきものであったし、ジョエルもそんな彼女の姿を尊敬していたのだ。
勿論、この言葉は半分事実で半分嘘である。最初の数年間は心を痛めていたが、浮気が発覚してからはレアンドルに興味すら示さなかったのだから。だが、ここでこの言葉を伝えたのは、彼女が欲しいものを得るためだ。
「ええ。私の心もぼろぼろになり始めていた頃に、ジョエル様がレアンドル様の監視役に抜擢されたのですが……貴方様が忠言をあの方へ言い聞かせていた時、私……まるで心が救われたかのように、穏やかな心持ちでいることができたのです」
ニコニコと笑みを零しながらミレイユは話を続ける。
「貴方のおかげで、ここまで来られましたわ。今まで本当にありがとうございました」
頭を少し下げて感謝の意を述べる彼女に慌てたのはジョエルだ。
「いえ!私は当たり前のことをしただけです。それに最終的には彼を更正させることができず……その上、皆様の卒業パーティを荒らしてしまい……ああ、穴があったら入りたい」
首を垂れながら話すジョエルの言葉は少しだけ大きめの声だったので、周囲の何人かには聞こえているようだ。だが、最後の言葉だけは小声で呟いていたので、聞こえたのはミレイユだけであろう。
そんな黒歴史を思い出している彼を見ながら、ミレイユはそっとジョエルの手を取った。
「何事にも一生懸命で努力されるジョエル様を、私は敬愛しておりますの。今回の事をジョエル様が失敗、と捉えるのであれば、次に活かせるよう反省すれば良いだけのことですわ。もしジョエル様が良いと仰っていただければ、私もそのお手伝いをさせていただきたいのですわ。貴方のパートナーとして」
「え?」
「父には話を通しておりますの。侯爵様には、『息子の気持ち次第』と話を戴いておりますの」
それが婚約の申し込みであると気づいたジョエルは、顔を真っ赤にさせて更に俯く。女性からの婚約申し込みは少なくはないが、自分が受けるとジョエルは思っていなかったのか、あんぐりと口を開けている。
「ですが、私は卒業パーティを壊した身。醜聞がありますが……」
先日の件は彼の両親の耳にも入り、クストー侯爵からは大目玉をくらう。そして侯爵夫人には泣かれる始末。もっと周囲の目を意識しろと言われたばかりである。ある意味断り文句だったのだ。だが、これでへこたれる女性ではない。
「私もそれを言うのであれば、元婚約者との婚約破棄は醜聞になりますわ」
「ですがあれは……いえ、私で宜しいのですか?」
掘り返すこともないだろうと言葉を自身で遮り、すぐに表情を取り繕って言葉を述べれば、ミレイユは慈愛に満ちた笑顔で彼に微笑んだ。
「ええ、勿論。貴方でなくては、嫌ですわ。貴方の激励があったからこそ、私は今ここに立つことができているのですから」
「そんな、大した事ではありませんよ」
「貴方にとっては、小さな事かもしれませんが、私にとっては心の支えだったのです」
ミレイユはジョエルの目をじっと見つめている。その姿を見れば、第三者でも、彼女が本気で言っているだろうと理解できる。
ジョエルが彼女を元気付けたのは、偶然だ。もともと、彼の学園生活はレアンドルの更正が目標であった。そのため恋愛など以ての外で、女性からの告白はいくつかあっても、全て目標のために断り続けていた。
だが、そんな彼が唯一興味を持った女性が監視対象の婚約者であるミレイユだった。彼女はレアンドルを更正させようといつも裏で動いていた。邪険にされようとも、罵倒されようとも……その献身に心打たれたのである。だから少しでも心が軽くなればと思って、何度か励ましたのだ。
「……ジョエル様、駄目、でしょうか……?」
無言で固まっているジョエルに痺れを切らしたのか、ミレイユはこてん、と首を傾げながら話す。その仕草が、妖精のように可愛らしく……ジョエルの頭の中は、「可愛い」という言葉で埋め尽くされている。
――周囲から見れば、可愛いの前に「あざとい」が入るようにしか見えないのだが……恋愛経験ゼロの男には分からなかったらしい。そんな彼は彼女の術中に嵌っていることに、気づかない。
「そんな事は……いえ、私で良ければよろしくお願いします」
彼が顔を真っ赤にして言葉にすれば、周囲は割れんばかりの歓声で二人を祝福したのだった。
その後、ジョエルは「集中すると周りが見えない人」という評価を覆す。根が真面目で努力家、そして学力の優秀さも相まって若くして王宮の監査部門の長に抜擢される。そして副長には彼の妻であるミレイユの姿が。二人は公私ともに生涯の相棒としてお互いを支え合い、王国一のおしどり夫婦として名を馳せるのだった。
最近この作品も含めて、短編を三作執筆したので、この休みに上げていこうかと考えています。
あと二作は一万五千字程の短編となっていますので、良ければご覧ください。
短編全て投稿しました。
○ミモザ・アズライト男装令嬢の婚約
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男装令嬢の恋物語です。
○三作目 「叔父にはめられたお陰で私は幸せです」
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追放まがいの王命を出された令嬢が、居場所を見つける話です
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