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初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺  作者: NOV
第15章 高校一年・アルバイト編
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第100話 初恋の人と一番好きだった人

「つ、つねちゃん…………」


 昇さん夫婦が俺に手を振っている姿を見た『つねちゃん』も俺が目の前の『アトラクション』の中にいることに気付き、少し驚いた表情をした後に直ぐに笑顔になり、俺に小さく手を振ってきた。


 俺も少し照れた顔をして小さく手を振り返す。


 それを見た昇さんは大きな声で俺の名前を呼んできた。


「おーい、隆君!!」


 俺は心の中で『昇さん、勘弁してくれ! 俺の事はソッとしておいてくれ』と思いながら渋い顔をしていると、『つねちゃん』はそれを察してくれたのか昇さんに何やら話しかけている。


 そしてそんな俺達のやり取りを『操縦室』からは根津さんと三田さんが、『入り口前』では西野さんと大塚、そして佐々木がジッと見ていた。


 特に大塚と佐々木の表情は俺の思い過ごしかもしれないが、少し厳しい表情に見えた。


 『つねちゃん』達は俺がいる『ハリケーン・エキスプレス』には乗らずに、隣の『お化け屋敷』の方へと行くのだった。


 その際、『つねちゃん』は俺の方を何度も振る返りながら昇さん達について行っていた。


 まさか、『つねちゃん』がここに来るなんて……

 それに皆にも気づかれてしまったから後できっと質問攻めにあうだろうなぁ……

 今の内から覚悟をしておかないといけないかもな。


 俺は少し動揺しながら、あと数周で回転がストップする『ハリケーン・エキスプレス』の安全ロックレバーを外す準備に取り掛かる。


 しかし、動揺を隠しきれない俺は手が上手く動かずに何個かのロックレバーを外すのを失敗してしまった。


 すかさず俺が外し損ねたロックレバーは三田さんが俊敏な動きで外してくれたので助かりはしたが……



 休憩時間、俺は事務所で休憩をせずに園内を走り回っている。


 勿論、『つねちゃん』を探す為だ。


 昇さん達は赤ちゃんを連れて来ているし、『絶叫マシーン』には乗るはずは無いと思い、『ヒーローショー会場』やらお昼時ということもあり『レストラン』や『屋外カフェ』などをくまなく探したがなかなか見つからないでいた。


 俺は息を切らし、かなり疲れてきたので最近営業をやり出した園内で一番人気の『アトラクション』の『チャレンジャー』前のベンチに腰をかけ、呼吸を整えていた。


 俺が顔を下に向けながらハァハァと肩から呼吸をしていると、目の前に乳母車を押しながら近づいてくる足音と乳母車の車輪の音がしてくる。


 俺はソッと顔を上げるとそこには太陽の光を浴びて輝いている、まるで『女神』のような女性……『つねちゃん』が立っていた。


「つっ、つねちゃん!!」


「隆君……」


「良かったぁ、やっと会えたよ……」


 俺は笑顔でそう言うと『つねちゃん』は少し申し訳なさそうな表情をしている。


「隆君、今日は驚かせちゃってゴメンね。今朝突然にね、昇が今日遊園地に行きたいから私に子守りを兼ねて一緒に来てくれないかと言われて……それで仕方なく……ただ隆君は先生にあまりアルバイトをしている姿は見られたくないんじゃないかと思って気にはしていたんだけど……」


「いや、別に見られたく無い訳じゃないけど……でもこんな格好で働いている姿をつねちゃんに見られるのは少し恥ずかしいかな……」


 俺が頭を掻きながらそう言うと『つねちゃん』は微笑みながらこう言ってくれた。


「えーっ? 全然恥ずかしがらなくても大丈夫よ。隆君の遊園地の制服姿とってもカッコイイわよ。本当はもっと隆君の働いている姿を見たかったもの……」


「つねちゃん、ありがとう……そんなことよりも昇さん達は赤ちゃんをつねちゃんに預けてどこに行ったの?」


「フフ……昇達は今、目の前にある『チャレンジャー』に乗る為に並んでいるわよ。あれだけの長蛇の列だから乗るまでに結構な時間がかかるかもしれないわね?」


「そうだね。それじゃ俺、あと十五分くらい休憩時間があるからそれまで一緒にここにいるよ」


「えっ? それは悪いわよ。せっかくの休憩時間なのに……それに昼食もとらないといけないんじゃないの?」


 『つねちゃん』はとても申し訳なさそうに言ってくるが、俺は少しの時間でも『つねちゃん』と一緒にいたい気持ちがあったので昼食などどうでも良いと思っていた。


「大丈夫だよ、つねちゃん。昼食は次の休憩時間にとればいいし、今はつねちゃんと一緒にいたいんだ。だって、つねちゃんに会うのも久しぶりなんだしさ……」


 『つねちゃん』は頬を少し赤くしながら、とても優しい笑顔でこう言った。


「隆君、ありがとね。本当は先生も隆君の顔を見るのは久しぶりだからとても嬉しいわ。でもお腹空いてるでしょ? 先生、何か買ってこようか?」


「いいよ、いいよ。俺は大丈夫だから。それよりも、つねちゃんもベンチに座りなよ。ずっと園内を歩いていただろうから疲れたでしょ?」


「有難う、そうなの。歩き過ぎて足が少しだけ痛いから隆君の横に座らせてもらうわね?」


 『つねちゃん』はそう言うと俺の横に座ったが、意外と俺にピッタリな位置に座り、お互いの肩が少しだけ触れている状態だった。


 俺は久しぶりに緊張した感じになるが、かすかに香る『つねちゃん』のとても良い匂いが緊張から癒しへと変えてくれていた。


「赤ちゃん、とても可愛いね? 昇さんにも佳子さんにもよく似ているよね? それにどことなく、つねちゃんにも似ているような……」


「そうかもしれないわね。姪っ子だし、同じ血が流れているから私にも少しは似ていても不思議じゃないわよねぇ……」


「この子の名前は何て言うの?」


「あぁ、この子の名前はね……『瞳』っていうのよ。『常谷瞳』、とても良い名前でしょ?」


「そうだね。とても可愛い名前だし、瞳ちゃんの瞳も大きいからピッタリの名前だね?」



 俺と『つねちゃん』がそんな何気ない会話を楽しんでいる最中、慌てた感じの口調で俺を呼ぶ声がした。


「いっ、五十鈴君、やっと見つけた!!」


「えっ?」


 その声の主は佐々木真由子であった。


 遂に『初恋の人』と『一番好きだった人』が遭遇してしまう時が来た。


お読みいただきありがとうございました。

読者様のお陰でとうとうこの作品も100話までいきました。

本当に有難うございますm(__)m

完結まで走り切りますのでどうぞよろしくお願い致します。


そして......

遂につねちゃんと佐々木が遭遇してしまう。

二人はどんな会話をするのか?

果たして隆はどういった対応をするのか?


どうぞ次回もお楽しみに。

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