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予想外の展開

 

「…アルコ小父様。もう一度お聞きしてもよろしいでしょうか?」


「うむ。だからな、スフェールは『遅い反抗期』に入ってしまったようなんだ」


 思わずエメロードは、額を手で押さえた。

 何故と言う質問は無しだ。

 なんせ、王太子殿下は今年で二十歳を迎えた。


(二十歳になってから反抗期?それじゃ今現在の王太子殿下は思春期なの?!)


 確かに遅い反抗期ではある。


 ただ世の中では、『女の子よりも男の子のが精神年齢が低い』と言った話は聞く。

 それでも…反抗期とは、今までなかったものが何故、このタイミングで爆発したのか…。


「……それは…頭を抱えたくなる問題ですね。ですが…それなら尚更、私には荷が重い問題ですわ」


「そう言わないでくれ、エメロード」


 なんとも情けなく懇願するアルコバレーノに、エメロードはなすすべもない。

 エメロード自身に『反抗期』がなかったのだ。

 元からないので、その気持ちも理解が出来ないし、対処方法も分からない。


(世間では女の子は思春期に、父親を嫌がるものらしいけど、私にはそれがなかったのよね…。お兄様もお父様も本当にいつも良くしてくれているし、可愛がってくれているもの)


 そこでふと思った


「アルコ小父様、なぜ私でなければダメなのですか?」


 そうなのだ。王太子殿下が国王との間が不仲で、反抗期を迎えているのであれば、エメロード以外の…もっと経験豊富な家族仲が良い、誰か別の人に頼めばいい。


「確かに他に任せたい…と思ったのだが、スフェールと年が離れていたら悩みを打ち明けにくいと考えてな。それに、エメロードなら私との仲も良いだろ?私に包み隠さずスフェールの話をしてくれる…と思ってなのだ」


 確かに一理ある。

 他の人がどうかは分からないが、王太子殿下に近い者なら王太子殿下に取りいる為に、国王には良いように報告するだろうし、国王の側近などが王太子殿下と話すとなると、王太子殿下に余計な詮索をされている…とも思われるだろう。


 そうなると、国王とも仲が知れていてこの問題においてエメロードは『適任者』となる。

 これはもう、答えは決まってしまっている。


「………分かりました。このお話、引き受けさせて貰います」


 そう、言うしかないとエメロードは思った。


「そうか!引き受けてくれるか。エメロード、本当に感謝する。出来ればな、私はノレッジやエメロードの様な親子の関係をスフェールともとりたいのだ。だがそれが、なかなか難しい。この歳になって初めて家庭を持ち、子育てと言うものが難しい…と、身をもって知らされた。私はこれ以上、取り返しがつかない事になるのが怖い。どうか、私とスフェールを頼む」


 そう言って、アルコバレーノは頭を下げた。

 それに慌てるエメロード。

 国王が一臣下に頭を下げたのだ。これが外に漏れたら、一大事になる。


「アルコ小父様!どうか頭を上げて下さい!私の様な者に頭を下げたなんて知れたら、大事になります!」


「なに、これは国王としてではなく、一父親としての願いだ。本来なら自分たちの問題なのに、エメロードに手伝って貰うのだ。当然だろう」


 そう言って、アルコバレーノは笑んだ。

 確かに、一父親としては正しい姿勢なのかも知れないが、傍から見たらその区別がつかない。下手をすればエメロードが危機に晒されてしまう。


(まぁそれでも、その時は皆が何とかしてくれると思うけど…)


 エメロードは何とも他人任せな部分もある。

 コレがエメロードの周りの人間からは『面倒くさがりな』と言う言葉を、付けさせてしまっている一因でもあるのだろう。


「とにかく、お話は受けました。それで、現状の王太子殿下の反抗期がどう言ったものなのかを、お聞きしてもよろしいでしょうか?それによって対処法を考えます」


 今回の話は面倒くさい話ではあるが、周りにある程度聞けば対処がなんとなく出来そうなのだ。

 それが簡単なのか…は分からないが。


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