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お返事

 

「お嬢様、朝ですよ」


 そうイリアが言いながら、エメロードを起こしに来た。

 ・・・と言うか、現在進行形でゆすられている。


 エメロードは極端に朝が弱いのだ。

 かと言って、夜行性と言う訳でもないのだが。

 言うなれば、ロングスリーパーと言うものだ。


「うぅ~・・・」


 眠い目を擦りながらも、起き上がる。

 そして、ここからが長い。


 先ず、直ぐには活動出来ないので起き上がって暫くは、温かい紅茶を飲みながら、ボーっとする。

 これを三十分程行うと、やっと覚醒をするのだ。


「さぁ、着替えましょう」


 イリアに言われるがままに、顔を洗い着替える。


「今日はどうしますか?」


「そうね・・・一先ずは、アルコ小父様からのお返事は頂けたかしら?」


「はい、アーベントより預かっております」


 アーベントとは、クリスタリザシオンに・・・エメロードに仕えている主に、裏方の仕事を頼んでいる者だ。

 昨日、アルコバレーノの所に、手紙を届けたのもアーベントだ。


「なら、それを確認してから今日の方針を決めましょう」


(と、言っても内容はなんとなくわかるのですが・・・)



 *  *  *



 朝食を食べながら、アルコバレーノの手紙を読む。

 手紙と言っても簡素なものだ。

 何せ、名前以外は二言しか書いていない。


 “エメロードへ


 スフェールがすまなかった。

 エメロードの良きようにしてくれ・・・ただし、手加減を頼む


 アルコバレーノ”


 たったこれだけだ。

 それでもまぁ、返事が頂けて実力行使に出られる許可を、貰ったのだから良しとしよう。


「イリア、アルコ小父様から実力行使の許可がでましたわ」


「そうですか・・・それならば、今日は王太子殿下に会われますか?」


「いえ、昨日の今日は嫌だわ。それに、先ずは外堀から」


「と、言う事は、昨日のカイユーと呼ばれていた、騎士様にお会いになるのですか?」


「そうね、彼に会って詳しい状況と、協力をしてもらえないかを、お聞きしましょう」


「では、グルナに伝えて会って貰えるように、話を通してもらいましょう」


 そうして、今日の方針は決まった。



 *  *  *



 その一報は直ぐに来た。

 朝食後にイリアが、グルナに『カイユー騎士と話が出来ないか取り次いで欲しい』と伝えたのだが、それから二時間もしない内に、本人がエメロードを訪ねて来たのだ。


「なんのご連絡もなしに、突然お邪魔をしてしまい申し訳ありません。私はスフェール殿下の近衞騎士をしております、カイユー・ジズマンと申します」


 そう言って、深くカイユーは頭を下げた。

 確かに、初対面でアポなしで突撃してくるのは如何なものかと思ったが、昨日のことを思い出すと、彼もスフェールには手を焼いているのだろう。

 これならば、期待が出来るかもしれない・・・とエメロードは思った。


「初めまして、ジズマン様。私はエメロード・クリスタリザシオンと申します。ここに来られていると言う事は現在、王太子殿下に付いていなくても大丈夫なのですか?」


「現在、スフェール殿下は公務中なので私が側に居なくても大丈夫です。一応、護衛は置いてきておりますので」


「そうでしたか。ですが、余りお時間がないようですし、早速お話をしたいのですが?」


「勿論です」


 その言葉に、エメロードはカイユーにソファを進め、イリアはお茶を淹れた。


「ジズマン様、率直に申し上げます。今現在のスフェール殿下のご状況を、どう思っておいでですか?」


「クリスタリザシオン嬢、どうぞ私のことはカイユーと。それから、現在のスフェール殿下についてですが・・・現状は困っているの一言に尽きます」


 そう言って、カイユーは苦笑いをする。

 実際は苦笑い程度ではないのだが・・・。


「では、カイユー様。私のこともエメロードとお呼びください。それから、私は陛下のご命令でスフェール殿下について、ここに来ました。陛下からのご命令は、『スフェール殿下を、今度来る使節団の対応を任せたい。それまでに、現状をどうにかして欲しい』と」


「なるほど・・・それで貴女がここに居るのですね。では、エメロード嬢はスフェール殿下をどうするおつもりですか?」


 腹の探り合い等、不要!とばかりに二人は本音で話す。


「まずは、私がスフェール殿下にお会いしなければ、話が進まないのですが・・・陛下からは、実力行使に出ても良いと許可を貰っております。この場合、どういった方面での実力行使に出るかは、お会いしてからしか決めれませんが、カイユー様には私に協力をして欲しいのです」


「陛下からですか?エメロード嬢は一体・・・いえ、今はスフェール殿下についてですね。そうですね、私も現状を打破したいので、協力は惜しみません」


 なんともカイユーからは、頼もしい返事が返って来た。

 それから、二人は今後の事について話し合う事にした。


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