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第1話 奴隷少女の成人

久しぶりの新連載です。

今回は18禁ではなく、15禁に設定しました。

 これは、1人の奴隷少女の物語。


 ミコトは、産まれた時から奴隷としての一生が決まっていた。


 親も奴隷、そのまた親も奴隷、ミコトの子も当然奴隷になる予定だ。


 完全な身分制度が大陸全土に布かれていた。


 大陸統一王の子孫であり、最高位である王を中心とした「王族」。


 大陸統一王の側近であった英雄たちの子孫を中心にした「貴族」。


 大陸統一王の出自である小国の市民の末裔を中心にした「市民」。


 そして、大陸統一の過程で攻め滅ぼされた国の民の末裔を中心とした「奴隷」。


 この大陸を支配するアーサー王国に住む人間は大きくこの4種に振り分けられる。


 もちろん、大陸国家の枠組みに入ることを良しとしない「自由民」も少数ながらはいるが、彼らは山の中で小さな自給自足のコミュニティを形成したり、海に点在する島を住居にしたりしている。


 中には山賊・海賊の類と混同するものもいたりするので、王国によって「自由民は見つけ次第切ってよし」と宣言されるほど王国に忌み嫌われている。


 しかし、実際には自由民は隠れてひっそりと自給自足の生活を営む人達なので、王国に属するものを襲うことは基本的にない。


 何しろ、そんなことをしても討伐軍を呼び寄せるだけになり、自分の首を絞めるだけだからだ。


 何故この国がこのような形に行きついたかの歴史はいずれ語るとして、今はミコトに戻ろう。


 年が明けてミコトは新成人となる7歳になった。


 黄色人種を思わせる白に近い茶色い肌と癖のないストレートな黒髪を後ろで束ね、目はパッチリと大きく愛くるしい顔立ちをしているが、意志の強さが表れている。


 この国では数え年で数えるので、全員が新年に年を1つ取る勘定だ。


 満年齢では5歳と数カ月といったところだ。


 奴隷といえども子供の間だけは本格的な労働に就かせられることはない。


 7歳になると、大人の補助から始まって徐々に厳しい労働に就いていくことになる。


 別に人道的な理由がある訳ではなく、単にその方が効率が良いからだ。


 体が弱い状態で労働させても直ぐに体を壊して死んでしまうのだ。


 一方で体が完全に出来上がるまで待っていては元が取れない。


 奴隷の平均寿命は50歳に届くかどうかというところ。


 最も効率の良い働かせ方として試行錯誤を重ねた結果に辿り着いたのが7歳からの労働というだけだ。


 もちろん、地方や都市によって様々だったりはするが、結局奴隷はいかに『効率的に生産させるか』を求められているだけだ。


 では、子供の内は遊んで暮らせるのかというと決してそうではない。


 日々、教育係によって国の身分制度や()()()()()()()()()歴史を叩き込まれるのだ。


 何故、奴隷という身分なのか?


 過去に王に対して償い切れぬ罪を犯し、それを濯いでいる最中でいつかは罪が消えたら市民になれる、とか。


 逆らうとどういう目に遭うのか?


 鞭打ち、食事抜き等の体罰によって徹底的に幼いうちに抵抗するという心を折られていく。


 こうして、従順な奴隷となり、肉体的にも補助的ではあるが戦力になる頃に大人として扱われるようになるのだ。


 恐るべきことには、これらの教育は年老いた奴隷自身によって行われる。


 何故なら、彼らこそが最も逆らったり、怒られたりしたときの奴隷の悲惨さを最も良く知るものであり、自分たちの子孫を同じ目に遭わせないために、子供達を守るために手加減をしながら行っているのだ。


 残酷なようであるが、子供達を本当の悲劇から護っているとも言えなくもない。


 7歳を迎えたミコトは、同じ年生まれの友達たちと一緒に集会所に集められてこの街の町長代行の演説を聞いている。


 「今日から諸君らは大人たちと一緒に見習いとして大人と一緒に行動してもらう。仕事の適性を見るために1か月ごとに色々な役割を担ってもらい、最終的に配属が決まる。精一杯励んで早く一族の罪を濯げるように励んでもらいたい!」


 初めて見た奴隷以外の高いところから大声で叫ぶ男はキラキラした服を着て、良く太っていた。


 奴隷仲間は誰を見ても茶色く薄汚れた一枚布のワンピースのような服を着ているだけだし、満腹感を覚えたこともない彼らに太ったものなど一人もいない。


 ミコトは純粋な疑問を覚えた。


 「なんであの人は私達とあんなに違うのかな?」


 「いつかは私達もあんな綺麗な服が着られるのかしら?」


 ただ、そんなことを口に出して聞くと酷い目に遭うのは骨身に染みているので、黙っている。


 ミコトは幼少期に『何時になったら自分の罪が濯げるのか?』『誰がどうやって罪がなくなったと判断するのか?』などという当たり前の疑問を口にしたことで酷い罰を自分自身が受けたり、友達を巻き添えにしたりしてきたので、迂闊なことを口にしなくなっている。


 ただ、なんとなしに感じていた理不尽さをまざまざと見せつけられて不機嫌であった。


 周りの友達の反応を伺ったが、あまり憤っている感じは受けなかった。


 それよりも一族の解放に向けて協力できるようになった、という誇らしげな顔をしているものばかりだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ミコトの住むサラヘの町は農業生産の町だ。


 この国は分業がかなり確立していて、先ほどの「王族・貴族・市民・奴隷」の階層を縦の階層とすると、横方向には「軍・農業・漁業・鉱業・工業・商業」に分かれている。


 ミコトの住む町は純粋な農業生産の町であり、全員が生産活動に従事している。


 彼女たちの作った作物が他の都市に送られ、代わりに鍋窯や農具等の必要な物資が送られてくる。


 物々交換という訳ではなく、ちゃんと商人を媒介に貨幣経済が機能しているものの、奴隷には全く無縁である。


 ミコトが最初に振り分けられたのは野菜畑の草むしり。


 この国は温暖な気候なので収穫には事欠かないが、雑草も良く育つ。


 なので、広大な畑を日々草むしりしないと作物に与えたい栄養分が食べられない雑草に取られてしまい、良い作物が育たない。


 大事な仕事ではあるが、朝から腰を曲げて必死で草むしりをするのは体に堪える。


 途中で腰が痛くなって休んだり、取り残しがあると、市民の監督者に鞭で打たれた。


 これまでの教育係の鞭が猫じゃらしに思えるほどの痛みで、初日にして奴隷の現実を再認識させられたのであった。


 日が暮れて配給の粗末な晩御飯を食べると翌日までは自由時間だ。


 因みに、食事の準備や後片付けは畑での労働が難しくなった年寄り達の仕事だ。


 食事の時間は唯一の楽しみだし、晩御飯の後は自由時間なので遊んだっていい。


 とはいえ、くたくたに疲れた体では動き回る気もしない。


 「これが私達のこれからの毎日なんだね。」


 「うん。鞭、痛かったね。」


 「鞭持ってた人、私達と全然違ってた。服も綺麗だし体も大きい。」


 「うん。だって市民様なんだもんね。仕方ないよ。」


 「本当に仕方ないのかな?なんでおんなじ人間なのにこんなに違う生き方になるのか分からないよ。」


 「ミコトちゃん!シー!聞かれたらどうするの?」


 「ごめん、気を付けるよ。ユイは打たれたところ大丈夫?」


 「まだ痛いけど、動けない程じゃないわ。明日からは打たれないように気を付けないと。」


 ユイはミコトと同い年で一番の仲良しの奴隷少女だ。


 ミコトが黒髪・黒目の美少女であるのに対して、ユイは緑髪で緑の目を持つ美少女だ。


 2人で膝を抱えて食後のお喋りに興じているとワンピースなので下着がもろ見えだったりするのだが、そんなことには気も留めずにお喋りに興じている。


 「さ、明日に備えて早く寝よう。」


 「うん、今日から大人部屋で一緒に寝るんだもんね。どんなところなのかなぁ?」


 ユイが目を輝かす。


 奴隷の住む部屋(建物ごと別れているので実際は小屋)はいくつかに分類されている。


 子供部屋は妊娠中の女と7歳未満の子供達だけで暮らしている。


 大人部屋は7歳以上の男女で生殖能力のあるもの(もしくはこれから得るもの)が暮らしている。


 長老小屋は生殖能力を失った老人が暮らしている。


 この長老たちが全ての奴隷たちの教育をしたり、身の回りの世話をする仕事を行っている。


 その他にも怪我や病気をした人用の部屋もあるが、碌な治療を受けられない奴隷たちにとっては実際は死を待つ部屋と言っても過言ではない。


 ミコトとユイが連れ立って大人部屋に足を踏み入れると、そこには想像だにしなかった光景が広がっていた。


 大勢の男女が裸になって絡み合っているのだ。


 見たことも無い大きな男性自身が大人の女性の中に突き入れられて激しく動いている。


 男の比率が多いせいか1人の女性に3人も4人も群がっているところもある。


 ただ、皆が恍惚とした表情を浮かべている。


 ユイと2人で圧倒されて入り口で固まっていると、背後から声をかけられた。


 「おいおい、こんなところに突っ立ってるなよ。お前ら新入りか?こりゃあ運がいいな。お前らには俺がここでの夜の過ごし方を教えてやるよ。」


 「あ、あの、私達疲れたからもう寝ようかと思って・・・」


 ミコトが途切れ途切れに何とか自分たちの希望を伝える。


 ユイはミコトの後ろに隠れるようにして怯えている。


 「まあそう言うな。小さいうちに無茶はさせないよ。これも俺たちの大事な仕事なんだよ。」


 「仕事?これが?」


 「ああ、そうだ。子作りという仕事さ。ビックリしただろう?俺だって最初は何事かと思ったさ!わっハハハハハ!」


 男は豪快に笑うと、ユイとミコトを壁際に誘った。


 よく見ると周りでも同期の男の子と女の子が休憩中と思われる先輩男女からレクチャーを受けている。


 ミコトはここで初めて性交というものと子作りの仕組みを教わった。


 そして、これが奴隷に許されている唯一の娯楽・快楽であることも。


 単純に生殖目的だけであれば通常の性交のみを許可すれば良いのだが、最もコストのかからない娯楽ということでその他のオーラル行為やかなりアブノーマルな行為も蔓延している。


 男女比があまりに偏る場合は男同士でことに及ぶものが出るほど、性に関してはオープンだ。


 大広間はHオッケーゾーン。


 毛皮が敷かれていて寝転がってもあまり痛くなさそうだ。


 外縁部は休憩ゾーン。


 ここにいる男女に強要すると、叩きのめされる。


 きちんと誘って広間に行く方が良い。


 1人の女性に複数の男性からの誘いがバッティングした場合は優先権は女性の決定に委ねられる。


 複数の男が群がっているのは順番待ちしながら口や尻でしてもらったり、乳を吸いながら待ったりしているらしい。


 眠りたくなったら奥の部屋に行けば皆で雑魚寝できる。


 と言った大人部屋でのルールを教えられる。

 

 「うう、なんか怖い・・・」


 ユイちゃんが怯えてミコトのワンピースの裾を掴む。


 「最初はそうだろうけどな。女の子は貴重だから皆乱暴には扱わない。7歳からここに入るのも本番に向けた練習というか慣れてもらう意味が強いと俺は思ってる。だから、気軽に見学して少しずつ慣れていけばいいさ。」


 ミコトは正直この光景に吐き気すら覚えていたが、男はかなり理性的で、こちらに恐怖や嫌悪を覚えないように優しく接してくれているのが理解できたので何とか平静を保てた。


 ユイにしがみつかれているというのも大きいだろう。


 結局その日は2人で説明してくれた男の男性器を軽く触る位で早々に寝所に引っ込んだ。


 それは、子供部屋では見たことのない大きさと硬さで、こんなものが自分の体内に入るのかと思うと、ミコトやユイにとって恐怖の対象でしかなかった。


 目に焼き付いた狂乱の光景のせいで、疲れているはずなのに中々寝付けなかった。

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