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【連載一時中断中】並みいるイケメン達よりも、なぜか(しかも美少女に)モテる平凡男子  作者: 波瀾 紡
八坂 見音編

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64/83

【64:八坂さんを狙ってるのか?】

八坂邸でのバーベキューが終わり、帰宅して茜が男友達と出かけた話を聞いた。

その後の続きです

◆◇◆


 広志は黒田さんからお願いされたことを何度も反芻はんすうして、どうしたらいいのか考えたけど、特に良い考えも見つからないまま翌朝を迎えた。


 黒田さんからお願いされたこと、つまり見音みおんが明るく素直になって、他人に心を開けるようになれる助けをする。


(なかなか難しい課題だなぁ)





 答えも、ヒントすらも見つからないまま広志が登校すると、教室前の廊下でたまたまばったり見音と会った。彼女はちょっと気まずそうな顔をしたけど、広志は先制して声をかけた。


「あっ、八坂さん、おはよー! バーベキュー、めちゃくちゃ美味しかったよ。ありがとう」

「えっ? あ……ああそうね」


 見音は戸惑いを浮かべて顔を横に逸らしたけど、思い直したように広志に向き直った。


「いえ、こちらこそありがとう。それに色々と失礼をしてごめんなさい」


 固い表情ではあるけど、明らかに今までの見音とは違う雰囲気だ。高圧的な空気が薄れてる。しかも自分から詫びを言ってくれた。


「いいや、気にしてないからいいよ。また何かあったら、呼んでほしいな」

「えっ?」


 見音は驚いた表情を浮かべて、「わかったわ」と返答した。



 午前の授業中や休み時間も、広志は時々見音の姿をちらちら見ながら、どうしたらいいか考えていたが、特に良いアイデアは思い浮かばない。


 何だかんだ言っても、広志は見音のことをよく知らない。まずは彼女と接する機会を作って、見音の考え方や好きなことや、興味があることをつかむ必要があると考えた。



 昼休み、田中 健太と二人で弁当を食べてたら、健太がいきなり声をひそめて訊いてきた。


「なぁ広志」

「ん? なに?」

「お前、次は八坂さんを狙ってるのか?」


 広志はブホっと口の中のご飯を吐き出した。


「うっわ、汚ねぇ!」

「あ、ごめんごめん」


 机の上に散らばった米粒を拾って片付けた後、広志は健太を軽く睨んだ。


「──って、健太が変なことを言い出すからだろ。何の話だよ?」

「広志が何度も八坂さんをちらちら見てるからだよ。この前二人で保健室に行ったし、何かあったんじゃないのか?」

「あ、いや。何もない」


 ホントはありすぎると言ってもいいくらいの、修羅場のようなできごとがあった。だけどそれは、健太が言う『何か』ではないだろう。


 健太が想像してるのは、きっと甘〜い『何か』に決まってる。だから返事は『何もない』でいい。


「ホントか? 広志はやっぱり、三大美女の制覇を狙ってるんだろ?」

「そんなワケないだろ! 健太も僕が、そんなことを考える人間じゃないって知ってるだろ?」

「あはは、わかってるよ。広志は『女をモノにする』とか、ぜーんぜん頭にないもんな。冗談だよ」

「笑えない冗談だ」


 広志が憮然と答えると、健太は苦笑いを浮かべた。


「だけどさ広志。八坂さんって超お嬢様だし高飛車だから、お前がどM体質でもない限り、あんまり近づかない方がいいかもよ」


 健太は真顔で言ってる。広志を心配してくれてるみたいだ。


「あ、ありがとう」


 広志はなんと答えたらいいのかよくわからないけど、もちろん自分はドM体質じゃないし、と思いながら苦笑いで返した。



 一日の授業が終わって、部活に行く凜や伊田さんと別れて、広志は一人帰路についた。正門を出て歩いてると、後ろから「空野君!」と呼ぶ女の子の声が聞こえた。


 振り向くと弥生ちゃんだ。クラス委員長選挙で広志に一票を投じてくれた、背がちっこくてメガネで、決して可愛いとは言えない、とても地味な見た目のオタクっぽい女の子。


「あれ、田中さん?」

「あ、あのう、そ、空野君……」

「どうしたの?」

「わ、私、田中じゃなくて中田」

「えっ? あっ! ご、ごめん!」


 またやってしまった。田中と言えば健太だ。いつも中田なかた 弥生やよいを間違えて、田中さんと呼んでしまう。


 広志はもうこれからは中田さんじゃなくて、弥生ちゃんと呼ぶことにした。そうすれば間違うこともあるまい。


「ま、まあ、いいですよ」


 弥生ちゃんはメガネの奥で、優しく微笑んだ。それにしても彼女が声をかけてくるなんて珍しい。


「何か用?」

「そ、空野君、暇ありますか?」

「うん。大丈夫だけど……」

「か、帰りにお茶飲みませんか?」


 弥生ちゃんが首をコテンと傾げると、ショートの黒髪がふわっと揺れた。メガネの奥では、くりくりとした目を細めてる。


 ──驚いた。弥生ちゃんからお茶に誘われるなんて、初めてだ。何か困ったことでもあったんだろうか?


 広志は「いいよ」と答えて、帰り道にあるコーヒーチェーン店に入った。二人ともアイスコーヒーを注文した。道路に面した大きなガラス面に設置されたカウンター席に二人並んで座った。広志は弥生ちゃんの顔を覗き込むようにして、「どうしたの? また何か悩みがあるの?」と尋ねた。

弥生ちゃんはなぜ広志をお茶に誘ったのか?

弥生ちゃんと広志はどんな関係なのか?

次回「弥生ちゃんと広志」をお楽しみにっ!

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=新連載のお知らせ=
双子なのに、性格も見た目も真逆な美少女姉妹は─→やっぱり僕に惚れている?』 【略称:真逆姉妹】
※結構王道なラブコメ。キュンとしてもらえたら嬉しいなぁ
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