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【連載一時中断中】並みいるイケメン達よりも、なぜか(しかも美少女に)モテる平凡男子  作者: 波瀾 紡
八坂 見音編

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【57:伊田さんは食いしん坊】

バーベキューが始まった途端、見音が広志の親の仕事を根掘り葉掘り聞き始めたシーンの続きです

 見音は、なぜか広志の親のことを根掘り葉掘り聞こうとする。それはいったいなぜなのか、広志はいぶかしく思った。


 そう言えば──


 この前放課後に見音たちと凜や伊田さんが一緒になった時。見音は広志が何か特別なことがあるに違いないと疑っていた。


 例えば大金持ちであるとか、スポーツや芸術的なことに凄い才能があるとか。広志はすぐに否定したけど、見音は納得いかない素振りだった。


(やっぱり未だにそれを疑っているんだ。なるほど、だからこんなにしつこく、聞き出そうとするんだな)


 それならば、自分はホントに特別なことは何もないんだと、ちゃんと見音に説明しておかないと、いつまで経っても誤解されたままだ。それは広志も困る。


「あの……八坂さん」

「はい、皆様、お肉が焼きあがりましたよ」


 広志が誤解を解こうと話しかけた声をかき消すように黒田さんの声がして、焼けた肉が盛られた皿をテーブルに並べ始めた。


「わーい、お肉だお肉だー! 美味しそうーっ!!」

「ホントだね、美味しそう!」


 並べられた肉を見て、伊田さんと凜がはしゃぎ出した。伊田さんなんか、もうお箸を握ってる。さすがにスポーツ少女の伊田さんは、かなりの食いしん坊のようだ。


 でも確かに香ばしい肉の香りと、適度に狐色に焼けた肉が、めちゃくちゃ食欲を刺激する。広志のお腹も、ぐぅーっという音を立てた。


 黒田さんが白いポットから、焼肉のたれをみんなのお皿に注いでくれた。


「これはね、セバスチャンお手製の焼肉のタレなの」


 凄い。お金持ちのバーベキューは、タレまで手作り。


「じゃあ、いただきましょうか」

「はーい!」


 見音がみんなに声をかけると、広志の右隣に座る伊田さんが、いの一番に明るい声で答えた。この上なく幸せそうな伊田さんの声と笑顔に、広志もなんだか幸せな気分になる。


 いや、それだけではなかった。伊田さんは大き目の肉を三切れまとめて箸でがっとすくうと、大きな口を開けてそれを放り込んだ。なかなか豪快だ。そして目を細めて咀嚼すると、ごくりと一気に飲みこんだ。


「うんまーい!! お肉もタレも、サイコー!!」


 天を仰いで目を閉じて、にかっと笑いながら伊田さんは叫ぶ。


(松阪牛ってめちゃくちゃ高級だし、今の伊田さんのひと口はいったいいくらなんだ? きっと数千円はするんだろうなぁ。伊田さん、豪快すぎだって)


 それにしても、ホントに嬉しそうに、ニッコニコしながら肉を食べる伊田さんに、思わず広志は見とれた。


(あっ、伊田さんがめちゃくちゃ可愛い!)


「ああ、伊田さんがめちゃくちゃ可愛い……」


 広志は自分の心の声が、自然と口から漏れてしまったかとギクッとしたけど、よく見ると鈴木がぽわーっとした顔で漏らした言葉だった。


(おいおい、そんな顔してると、また八坂さんに怒られるよ)


 広志が鈴木を心配して見音を見ると、彼女は伊田さんの方を向いていた。


「あら、いい食べっぷりねぇ」


 見音が賞賛とも嫌味とも取れるような口振りで、松阪牛をどんどん口に放り込む伊田さんの食べっぷりを評する。


「ひは。ほのほにふ、おひひすひるのってはんほって」


 お肉でほっぺたを膨らませた伊田さんは、いったい何を言ってるのかわからない。だけどまるでリスみたいな顔で可愛い。


「いや、このお肉、美味しすぎるのってなんのって!」


 伊田さんは肉を飲み込んだ後に、もう一度言い直した。なるほど、そう言ってたのか。それを聞いて、広志も凜も肉を口に運んだ。


「う、うまい!」

「ホント、美味しい!」


 今まで食べたことのない、柔らかさと甘み。素晴らしい焼肉だ。鈴木と佐藤も乗り遅れまいという焦った顔で、肉をほお張る。


「う、うまいな!」

「ああ、うまい! 見音様について来てよかったぁ」


 二人は涙目になって感動してる。広志と凜は他の食材も食べてみるが、どれもこれもたいそう美味い。それを見て、佐藤と鈴木も色んなものを口にしだした。


 伊田さんは相変わらず肉オンリー。彼女が肉をがっと口に放り込んで皿がからになると、黒田さんがどんどん皿に肉を乗せる。わんこ蕎麦みたいだ。


 言うなれば、超高級なわんこ蕎麦。「わんこ肉」とか言うと犬の肉みたいだから、その例えはしないでおく。


 他のみんなは色んなものを食べてるのに、伊田さんはよっぽど牛肉が好きなのか、肉ばかり食べてる。


 次から次へと乗せられるお肉に、伊田さんの顔はホントに幸せそうだ。でもさすがに焼くのが追いつかなくなってきて、黒田さんは少し焦った顔になった。


「あの、お客様。できればお肉以外も召し上がってはいかがでしょうか?」

「あ、ふひはへん。ほはほはへはふ」


 さっきのセリフから類推すると、伊田さんはきっと「あ、すみません。他も食べます」って言ったんだろう。


「空野君!」


 伊田さんと黒田さんのやりとりをほのぼのと眺めてたら、急に見音の声が聞こえた。


 広志が見音の方を振り向くと、目の前を白い物体が視界を遮っていて、その物体がどんどん顔に近づいてくる。


(えっ、これなに?)


 広志は訳がわからず、その白い物体をけることができなかった。顔にペシャリと当たって、柔らかくてひんやりとした感触が、広志の顔に広がる。


 そしてその物体は、そのままズルズルと広志の顔を伝ってテーブルの上に落ちた。見るとそれはおしぼりだった。


 見音が投げてよこしたおしぼりが、広志の顔面に当たったようだ。


(な、なんでおしぼりを顔に投げつけられるんだーっ? 僕、何か八坂さんの怒りを買うようなことをしたっけ!? わけわからんー!)


 左右の凜と伊田さんを見たら、彼女たち二人も訳がわからないようで、見音の行為に呆然として、固まっていた。

なぜ見音は広志におしぼりを投げつけたのか?

いよいよ修羅場が始まる~ ああコワ。

次回「おしぼりが飛んできた訳」をお楽しみに!

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=新連載のお知らせ=
双子なのに、性格も見た目も真逆な美少女姉妹は─→やっぱり僕に惚れている?』 【略称:真逆姉妹】
※結構王道なラブコメ。キュンとしてもらえたら嬉しいなぁ
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