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【連載一時中断中】並みいるイケメン達よりも、なぜか(しかも美少女に)モテる平凡男子  作者: 波瀾 紡
八坂 見音編

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52/83

【52:バーベキューへのお誘い】

保健室で広志と見音が会話してるシーンの続きです

 広志へのお礼として、自分の家でするバーベキューに招待すると見音みおんが言った。しかもりんと伊田さんも呼べと言う。


「いや、彼女たちの都合も聞かなきゃいけないし」


 凛と伊田さんが都合悪いということにして、断わろうかと広志は考えた。そしたら見音が平然と答える。


「そうね。二人には私からお誘いするわ」

「えっ? でも八坂さんって、凛や伊田さんとそんなに仲がいいってわけじゃないよね?」

「同じクラスなんだからお友達でしょ? 私からお誘いしたらダメなのかしら?」

「いや、ダメなことはないけど……」


 見音は極めてまともなことを言ってる。広志はウグっと言葉に詰まってしまった。


「じゃあそういうことで」

「えっ? あ、ああ」


 凛と伊田さんはどう思うだろうか? 行くっていうのか断わるのか。


 それに見音はなぜそこまでして、お礼をしようというのか。凛と伊田さんまで誘ってのバーベキューって、既に自分へのお礼という範疇を超えてるんじゃないのか。


 広志がぼんやりとそんなことを考えてたら、見音のクールな声が聞こえた。


「空野君、もういいわよ。早く教室に戻ったら?」


(ありゃ? お礼をするための約束が取れたら、もう用済みって感じ?)


 相変わらず冷たい感じの見音に広志は戸惑う。


「あ、ああ、そうだね」


 その時見音は急に、ふっと優しい笑顔を浮かべて、羽毛のように柔らかな声を出した。


「せっかくの昼休みなのに、こんなところで時間を無駄使いさせたら空野君に悪いから」


 いつもはクールな整った顔がとても和らいで、包み込むような優しい笑顔。広志はその見音の笑顔に、一瞬ドキッとした。


 広志の顔を見て笑いかけた見音は、恥ずかしそうに少し視線を下に落とした。そして何かに気づいたような感じで、顔を赤らめる。


(うん?)


 見音はもじもじしたような素振りを見せてる。いったいどうしたんだろうか? それにしても、整った美形の顔でもじもじと恥ずかしい表情をされると、可愛くて広志はドキッとしてしまう。


「あ、ありがと。じゃあ先に帰るよ」


 見音はコクリとうなづいた。赤らめた顔でその仕草は結構可愛い。こうして可愛いところもあるのに、なんで普段は高飛車なんだろう。もったいない。


 広志は見音の顔をチラッと見て、保健室から出た。





 教室に戻ると、健太が声をかけてきた。


「八坂さんはどう?」

「湿布とテーピングで、だいぶマシになったって。ちょっと保健室で休んでから戻ってくるらしい」

「そっか。それにしても、近くで見たら八坂さんって、やっぱ綺麗だなぁ」


 健太は遠くを見る目で、ぽぉーっとした顔つきになってる。


「それはそうだけど、そんな顔してたら、お前祐美(ゆみ)ちゃんに怒られるぞ」

「えっ? ああ広志、祐美ちゃんには言わないでくれよぉー」

「そんなのいちいち言わないって」


 健太はあたふたしだした。でもまあ確かに見音はかなりの美人だと、広志も思う。


(だけど僕は、やっぱり凛の顔の方が優しくて可愛くて好きだなぁ)


 広志は凛の顔を思い浮かべて、ぽぉーっとした。


「ねえ、ヒロ君」

「どわっ!」

「えっ? どうしたの?」


 いきなり横から凛に話しかけられて、めちゃくちゃびっくりした広志は、思わずひっくり返りそうになった。


「いや、ちょっと考えごとしてたからびっくりした」

「考えごと?」


 凛が可愛いなぁって考えてたなんて、恥ずかしくて言えない。


「あ、うん。あっそうだ凛。八坂さんがさ……」


 そこまで言いかけて、目の前に健太がいるから、バーベキューのことをここで言うのはマズイと思い直した。


「あ、なんでもない。また後で言うよ」

「うん、わかった」

「凛は何の用事?」

「あ、私も別に大したことじゃないんだけど……」


 凛は少し声をひそめて、広志に耳打ちした。


「ズボンのチャックが全開になってるよ、って言いたかっただけ」

「うわっ! あ、ありがと、凛」


 広志が慌ててチャックを閉めるのを見て、凜は何ごともなかったように立ち去った。広志の横で、健太が「わははは」と大笑いしてる。


「相変わらず広志はおっちょこちょいだな」


(も、もしかして八坂さんは、このことに気づいてたのかな?)


 そこで広志はあっと気づいた。保健室を出る直前。見音が少し目線下にした後に、もじもじと恥ずかしそうにしてたのは、これが原因だったのだと。


(うわ、恥ずい! ああ、穴があったら入りたい)


 ああ、自分のおっちょこちょいが恨めしい。




 それからしばらくして見音が教室に戻ってきた。軽く足を引きずるようにしてるけど、痛みはかなりマシになってるようで、知らない人が見たらわからないくらいの歩き方だ。


 広志はほっとして見音の顔を見たけど、彼女はチラッと広志を見ただけで、何ごともなかったかのように席に着いた。





 次の休み時間に、凜と伊田さんに見音のバーベキューの話をしようと思ってたら、休み時間になった途端に見音が凜と伊田さんに声をかけて、三人で廊下に出て行ってしまった。


(八坂さんに先を越されてしまった。まずったなぁ。凜と伊田さんは、ちゃんと断わってくれるだろうか?)


 休み時間が終わるチャイムが鳴ってから三人が教室に戻ってきた。隣の席に着いた凜に、小声で「バーベキューの話?」と訊くと、凜は「うん」と笑顔で答えた。でも授業が始まってしまうから、細かなことは聞けない。


 凜からちゃんと話を聞くのは、その次の休み時間を待つしかなかった。

見音からバーベキューに誘われて、凜はなんと答えたのか?

次回「凜と伊田さんはバーベキューに行くの?」です。

お楽しみにっ!!

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=新連載のお知らせ=
双子なのに、性格も見た目も真逆な美少女姉妹は─→やっぱり僕に惚れている?』 【略称:真逆姉妹】
※結構王道なラブコメ。キュンとしてもらえたら嬉しいなぁ
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