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【連載一時中断中】並みいるイケメン達よりも、なぜか(しかも美少女に)モテる平凡男子  作者: 波瀾 紡
八坂 見音編

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51/83

【51:見音は広志にお礼がしたい】

廊下でぶつかって足首を捻挫させてしまった見音を、広志が保健室に連れてきた場面の続きです

 保健室で保健医の先生に足首に湿布を貼ってもらい、テーピングをしてもらうと、見音の痛みはかなりマシになったようだ。昼休みが終わるまでゆっくり休んだら、自分で歩いて教室まで戻れそうだと彼女は言う。


「ありがとう空野君。もう大丈夫だから、先に教室に戻っていいわよ」

「ホントに大丈夫?」

「ええ、大丈夫」

「そっか……」


 ベッドに腰掛けて広志の顔をじっと見ながら、見音はちょっと難しい顔をしてる。何か言いたげだ。


「ん? どうかした?」

「保健室まで連れてきてくれたお礼をするわ」


 見音は真顔でそんなことを言ってくる。たかが保健室まで一緒に来たくらいでお礼なんて……案外律儀な性格なんだろうか?


「お礼? そんなのいいよ。ぶつかったのは僕なんだし」

「それでもわざわざここまで連れて来てくれたのは事実よ。私は他人ひとに借りを作ったままにするのは嫌なの」


 ああ、そういうことかと広志は納得した。見音は異常にプライドが高いんだ。でもなぜそこまで言うのだろうか? やっぱりお金持ちのお嬢様だからか?


 広志にとっても今までそんなタイプと接することがなかったから、よくわからない。


「わかった。じゃあ今度、缶コーヒーでも奢ってくれる?」

「缶コーヒー? そんなのじゃダメよ。保健室まで来る労力と時間を考えたら、割に合わないわ」


 学内価格で100円の缶コーヒーだと割に合わない? どゆこと? もっと安いものにしろって見音は言いたいのだろうか?


「せめてディナーコースくらいじゃないと、私が借りを返せない」

「ディナーコース? ──って、いくらくらいなの?」

「色々あるけど、まあ1、2万円くらい?」

「はぁっ?」


 保健室に連れて来ただけで1、2万円の価値? 時給に直したら5万円以上じゃないかっ!? 見音の金銭感覚はどうなってるんだ? 広志にはまったく理解ができない。


「いや、コーヒーで充分だよ」

「じゃあ自家焙煎・ハンドドリップの美味しい喫茶店があるの。すごくこだわりの強いマスターがいてね。そこのキリマンジャロが絶品なのよ。それをご馳走するわ」


 自家焙煎。ハンドドリップ。キリマンジャロ。

 言葉はどれも聞いたことはあるけど、広志にとってはそれがどんなもので、どれくらいの価値があるのかまったくわからない。いかにも高そうなことだけはわかるけど。


「あの、八坂さん……それっていくらくらいするの?」

「コーヒー一杯1,500円」

「せ、せんごひゃくえんっ!? コーヒー一杯が?」

「あら、一流ホテルのカフェなら、単なるブレンドコーヒーでもそれくらいするわよ。それがあのクオリティのキリマンジャロが1,500円で飲めるなんて、超おススメなの」


 見音は相変わらず真顔だ。彼女の金銭感覚は一般ピープルとはかなりかけ離れてるようで、自分がおかしなことを言ってることに気づいてないに違いない。


「あの……八坂さん」

「はい?」

「そんな高級なものは僕にはもったいなさ過ぎるし、価値がわからないから猫に小判だ」

「猫? 空野君が? 猫っぽくはないけど」


 見音は至って真面目な顔で摩訶不思議な返しをしてきた。


「いや、そういうことじゃなくて。単なる慣用句だし」

「うん、知ってる。冗談」


(じょ、冗談だったんだーっ!)


 見音があまりに真顔で言うもんだから冗談とは思わなかった。それに見音のツンツンしたキャラからしても、まさかそんな冗談を言うなんて、広志には思いもよらなかった。


(うーん、八坂さんのキャラが、まだイマイチわからない)


「とにかく八坂さん。そんな高級なものじゃなくて、何か普通のものにしてよ。──っていうか、ホントにお礼なんていらないからさ」

「お礼をしないのはダメ。それは私の気が済まない。何がなんでもお礼を受け取っていただくわ」


 ああ、なかなか厄介な女の子だ。どうしたらいいのかと広志は途方にくれる。


「あっ、そうだ空野君。今度の日曜日のお昼に、ウチの庭でバーベキューをする予定なの。それにご招待するわ」

「バーベキュー? ウチでって……ご家族がいらっしゃるんじゃないの?」

「いいえ。お父様もお母様も外出するからいないわ。鈴木君と佐藤君が来るの」

「す…鈴木と佐藤? そこに僕が?」

「ええ。ダメかしら? 今度の日曜日は何か予定が入ってる?」

「いや、予定はないけど……」


(うーん……鈴木と佐藤か。そこに僕なんかが行ったら、目のかたきにされるだけだろ)


「じゃあ決まりね。あとでウチの住所を教えるわ」

「ちょ、ちょっと待って。僕が行ったら、鈴木と佐藤に申し訳ないよ」

「申し訳ない? なぜ?」

「だって彼らは八坂さんの大ファンみたいだし。そこに僕なんかが行ったら、せっかくの八坂さんとの時間を邪魔されたって、彼らは思うでしょ」

「大丈夫。二人には私からちゃんと言い聞かせるから」


 言い聞かせる? 子供じゃないのに。やっぱり見音は上から目線だなぁと、広志は苦笑いした。


「でもやっぱり、彼らに悪いよ」

「じゃあ、こうしましょう」


 バーベキューに行くことを渋る広志に、見音は驚くような提案をしてきた。


「空野君って、涼海すずみさんと伊田さんと仲がいいでしょ。彼女たちも呼んで、6人でバーベキューをしましょう。それなら男女3人ずつだし、ちょうどいいわ」


(なんだって!? 凜と伊田さんも一緒にバーベキュー!? 男女3人ずつでちょうどいいってなんだー?)


 修羅場になる予感しかない。呆然とする広志に、見音は「じゃあそれで決定ね」とクールに言い放った。

無理やりバーベキューに誘う見音に、広志はこのまま承諾してしまうのだろうか?

次回「バーベキューへのお誘い」をお楽しみにっ!

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=新連載のお知らせ=
双子なのに、性格も見た目も真逆な美少女姉妹は─→やっぱり僕に惚れている?』 【略称:真逆姉妹】
※結構王道なラブコメ。キュンとしてもらえたら嬉しいなぁ
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