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【連載一時中断中】並みいるイケメン達よりも、なぜか(しかも美少女に)モテる平凡男子  作者: 波瀾 紡
伊田 天美編

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【37:イケメン三銃士の一人、天河ヒカル】

ワールドスタジアムという音楽スタジオに間違えて足を踏み入れた広志と、そこで歌っていた天河ヒカルが話をしているシーンの続きです。

 スタジオの中で熱唱してたのは、イケメン三銃士の一人天河(てんかわ)ヒカル。彼は凛のことを下の名前で呼び捨てにした。


 広志はそのことに引っかかりを感じたけど、それよりも天河の歌を邪魔したことを謝るのが先決だと考えた。


「天河君、歌ってる途中に悪かったよ。ここがスタジオだなんて、知らなかったんだ。それにしても、素晴らしい歌声だ! めっちゃ感動したよ!」

「おっ、そうか? ここは音楽スタジオで、本来軽音楽部の施設なんだが、ミュージシャンを目指すヤツも使ったりしてるのさ」


 天河の表情が少し和らいだので、広志はホッとした。と言ってもやんちゃな顔つきの天河は、やっぱりちょっと怖いけど。


「で、ワールドスタジアムに行きたいのか?」

「あ、うん」

「ふーん」


 天河はなぜか眉をひそめて、また厳しい顔に戻って広志を見た。


「凛に……あ、まぁいい。その話はまたゆっくり聞こう」

「えっ? なんの話?」

「なんでもないって、言っとろうが!」


 天河は低い声を出して、ギロッと睨んだ。


(ひえっ、怖っ!)


「で、ワールドスタジアムなら、ここを出て真っ直ぐ遊歩道を100メートルほど行ったら三叉路があるけん。そこを左に曲がれ」


(あ、あの三叉路で、違う方に来てしまったのか)


「ありがとう、天河。助かったよ」

「ああ」

「天河って親切だな」

「ああん? 何を言っとぉと? 空野」

「顔はちょっと怖いけど」

「はぁっ? 殴るぞっ!」

「いやいや、やめてくれー」


 広志がニヤッと笑いながら、両手を目の前でブンブン振って拒否すると、天河は苦笑いした。


「お前、面白いヤツだな」

「ありがと。でもそんなに面白いことは言えない」

「まあいいけん、早く行け」

「わかった、ありがとう。それに歌の邪魔してごめん。でもすっごく感動したから、また機会があったら天河の歌を聴きたいな。じゃあ!」


 広志は道を教えてくれた礼を言いながら、右手を上げて振った。天河は、広志の言葉にちょっと驚いた顔をして、その後にやっと笑った。


「ああ、機会があったらな」


 天河が凛とどういう関係なのかは気になるけど、天河に訊くよりも凛に聞いた方がいいと考えた。


 広志はワールド・スタジオから出て、目の前の遊歩道を天河が教えてくれたとおりに戻った。だいぶ時間をロスしたから、気が焦って早足になる。


 そして植樹で区切られた三叉路に差し掛かって、左に曲がった。



「きゃあーっ!」


 広志が左に曲がった瞬間、どんと誰かにぶつかった。植樹で死角になってて、人が来てることに気づかなかった。ぶつかった人物は、仰向けにひっくり返ってる。


 その人物を見ると……と言っても、顔は見えない。広志から見えるのは、仰向けに倒れて、足を大きく開いて、そしてスカートの合間から見える真っ白に光るパンツ。


 いや、パンツなんだから、光ってなんかいない。広志には、そう見えただけ。広志も立派な高校三年生男子。真っ白なパンツが光って見えることもあるだろう。


「あっ、白……」


 普段見る機会の無いモノを目にした時、人は思わずそれを口にするものだと、広志は今初めて学んだ。やっぱり人生、学びが大切だ。


 そして急に凜の顔が思い浮かんで、なぜか凜に申し訳ないという気持ちが沸き起こる。次に伊田さんの顔が思い浮かび、今度は伊田さんにも申し訳ないという気持ちになった。


「じゃなくて、大丈夫っ!?」


 倒れているパンツ……じゃなくて女子を助け起こそうと、広志が近づこうと足を踏み出した瞬間、その女の子は上半身を起こした。


 同時に女の子の後方から、二人の男子が前に出てきて、一人は「大丈夫ですか?」と言いながら、女の子の手を取って立ち上がらせる。


 そしてもう一人の男子は広志に近寄って、「こら、お前!」と広志に怒鳴りつけた。


「もしも見音みおん様に何かあったら、どう責任を取ってくれるんだ!?」


見音みおん? 変わった名前。どこかで聞いたことあるな?)


 広志がそう思って、立ち上がった女子の顔を見た。西欧系とのハーフのような整った美しい顔にロングの金髪がよく似合ってる。すっと通った鼻筋に、青みがかった瞳。ちょい目尻が上がった猫目だ。


 ちょっと垂れ目で可愛い系の凜とも、お目めパッチリショートカットの健康系美少女の伊田さんともまったく違うタイプの美人。まさに『美しい』という形容詞がぴったりだ。


「あっ、八坂やさか 見音みおん!」


 広志は思わず名前を口にした。世界三大美女の一人で、読者モデルをしていて家が超金持ちという評判の八坂 見音、その人に間違いない。


 見音は制服のスカートとジャケットに付いた砂埃を両手でパンパンと払って、広志をキッと睨んだ。

次話は見音と広志の絡みが続きます。

次回「三大美女の一人、八坂 見音」をお楽しみに~

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=新連載のお知らせ=
双子なのに、性格も見た目も真逆な美少女姉妹は─→やっぱり僕に惚れている?』 【略称:真逆姉妹】
※結構王道なラブコメ。キュンとしてもらえたら嬉しいなぁ
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