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【連載一時中断中】並みいるイケメン達よりも、なぜか(しかも美少女に)モテる平凡男子  作者: 波瀾 紡
伊田 天美編

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23/83

【23:かけがえのない存在】

昼休みにカフェ・ワールドで、広志と凜がお茶を飲んでるシーンの続きです。

 神社の休憩所で、広志が伊田さんに『素敵だ』と言われたことに対して、凜が突っ込みをいれてきた。


「ふーん。じゃあヒロ君が、伊田さんを好きになっちゃうこともあるかな?」


 凜の顔はにやっと笑ってるけど、もちろん単に冷やかすつもりじゃなくて、広志の気持ちに探りを入れてる感じだ。


 やっぱり凛は、またちょっと嫉妬してるんだなって感じ。遠慮しながらも、素直にそれを表情や態度に出すのが凛の可愛いところだ。


「あれ? 凜、まさかまた嫉妬してるの?」

「えっ? いや、あの……えっと……」


 広志の切り返しに、急に凜はあたふたしだした。いつも冷静な凜だから、慌てる姿はレアだ。広志は貴重な、いいものを見れた気分になった。


 広志は少し低めの優しい声で凜に語りかける。


「あのさ、凜。伊田さんって、見た目も性格も、すっごく素敵な人だと思う」

「う、うん。そうだね」

「でさ。凜はその百倍……いや、最低でも一万倍は素敵な人だ!」

「え? そ、そうかな?」

「そうだよ。嫉妬してるのも可愛いし、照れてる姿も可愛い。性格も凄くいいし、僕にとって凜は、かけがえのない存在なんだ」

「え? そこまで言ってくれるの? ヒロ君……」


 凜は頬を赤らめて、照れくさそうに広志の名前を口にした。心なしか目が潤んでいるようにも見える。


「だから僕は、凜を悲しませるようなことは絶対にしない」

「うん、ありがとう」


 凜はこくっとうなずく。普段はしっかり者の凜だけど、まるで小さな子供が照れてるような、可愛い仕種だ。広志は胸がきゅんとなる。


「僕を信じてくれる?」

「うん。ヒロ君がもし嘘を言ってたら、私にはきっとわかると思うんだ。でも今のヒロ君は、心の底からそう言ってくれてるってわかる。だからもちろんヒロ君の言うことを信じるよ」


 そう。凜は広志のことをよく理解してるし、もし嘘をついたらあっという間に見透かされてしまうに違いない。


「ありがと」


 広志がそう言って笑いかけると、凜も微笑み返した。


「うん。いつも私を安心させてくれて、こちらこそありがとう。また伊田さんのことは、しっかりと応援してあげてね」

「そうだね」


 凜の言うとおり、伊田さんが本当に前向きになれているのか、まだもう少し様子見が必要だ。そう考えて、広志はもうしばらく伊田さんを応援し続けようと思った。




 その日の授業が終わって、いつものように生徒たちは部活や個人の活動のために、次々と教室を出て行く。伊田さんがゆっくりと帰る準備をするのを、広志は見守りながらゆっくりと立ち上がった。


 今日はまだ教室内に他の生徒もいるから、広志はあえて、すぐには伊田さんに声をかけない。大きなスポーツバッグを肩にかけて、不自由そうに松葉杖で廊下を歩く伊田さんの後ろをついていく。


 そして階段に差し掛かる手前で伊田さんに声をかけた。


「ねえ伊田さん。松葉杖で階段を降りるのは大変そうだから、カバンを持つよ」

「え? ああ、空野君か~! 急に声をかけるから、びっくりしたよ」

「ああ、ごめんごめん。どうしようか迷ったんだけど、さすがに階段はキツそうだと思って、声をかけた」

「そっかぁ。じゃあ、ここだけお願いするかな」


 振り向いた伊田さんは、にかっと笑いながら、素直にカバンを広志に差し出した。


 広志がカバンと松葉杖を預かって、伊田さんは手すりを握って階段を降りる。広志は彼女の横をゆっくりと歩いて一緒に階段を降りた。


「今日はリュックで通学するって言ってたけど、どうしたの?」

「家を探したんだけどさあ、なかったんだよ。私は中学からずーっと部活をやってるから、今までリュックなんか使ったことがないんだ」

「そうなんだ」

「でも一つくらいあるかと思ってお母さんに聞いたら、『そんなのウチにない!』だって。酷くない~?」


 伊田さんは苦笑いしてる。


「それなら昨日言ってたように、松葉杖が必要なくなるまで、駅まで僕がカバンを持ってあげるよ」

「あ、大丈夫! 今日お母さんが買いに行ってくれるって言ってたから、明日からは大丈夫だよ」

「そっか。じゃあ僕は必要ないな」

「そうだね……残念だけど」

「残念?」

「え? いやいや、なんでもない、なんでもない。気にしないで!」


 残念って、どういう意味だろ? 疑問に思って広志が伊田さんを見ると、彼女は顔を真っ赤にして、広志から目線を逸らせて前を向いた。


(残念って、もしかして僕と一緒に帰りたいってこと? いやぁ、まさかな)


 広志は照れる伊田さんの姿を不思議に思いながら見つめた。

次話も伊田さんとのほのぼの会話が続きます。

──が、伊田さんが広志に近づいたホントの理由が近々明らかに!

次回「明日はリュックで来れるんだろ?」

お楽しみに~

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=新連載のお知らせ=
双子なのに、性格も見た目も真逆な美少女姉妹は─→やっぱり僕に惚れている?』 【略称:真逆姉妹】
※結構王道なラブコメ。キュンとしてもらえたら嬉しいなぁ
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