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【連載一時中断中】並みいるイケメン達よりも、なぜか(しかも美少女に)モテる平凡男子  作者: 波瀾 紡
伊田 天美編

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22/83

【22:伊田さんがいい笑顔になってる】

広志と伊田さんが神凪神社の休憩所で話をした翌日のお話です。

◆◇◆


 翌朝、広志が登校して教室にいると、伊田さんが登校してきた。見ると、なぜか昨日と同じ大きなスポーツバッグを肩にかけてる。


 やっぱり松葉杖とのバランスが悪くて、歩きにくそうにして、広志の横を通る。


 みんなの前であんまり親しげにするのは、伊田さんの人気総選挙に悪影響があるかもと広志は考えた。


 だから細かなことは言わずに、笑顔で「おはよう、伊田さん」とだけ口に出す。伊田さんも「おはよう」と笑顔で返してくれて、そのまま自分の席へと歩いていった。



「あれっ? 伊田さん、いい笑顔になってるね」


 隣の席から、今来たばかりの凛が声をかけてきた。元気な伊田さんの姿を目にして、凛も嬉しそうだ。


「おはよう、凛。そうだね。また詳しくは昼休みにでも言うよ」

「うん」


 他人の幸せそうな姿を見て、自分も笑顔になれる凛は凄い。そんなところも凛を好きな部分の一つだ。


 広志はそう思って、広志自身もなんだか嬉しい気分になった。





「ヒロ君、お茶飲みに行かない?」


 昼休み、弁当を食べ終わったら、凛が声をかけてきた。凛にお茶に誘われるなんて珍しい。ゆっくりと伊田さんのことを聞きたいんだろう。


「いいよ。凛と学校でお茶飲みに行くなんて、そういや初めてだね」

「だね。たまにはいいでしょ」


 そんなことを話しながら、二人でカフェ・ワールドに行った。カウンターでアイスコーヒーを二つ注文する。


「あ、ガムシロとクリームを間違えちゃダメだよー」

「へっ?」


 前に伊田さんとここに来た時に間違えたことは、凛には言ってなかったはずなのに。


 それに凛とカフェに行くとかほとんどないし、今まで凛の目の前で間違えたことはなかったはずだ。


「あ、ありがとう」


 凛に礼を言って、広志は慎重にガムシロとクリームを取った。


「なんで間違えそうって思ったの?」

「だってヒロ君、おっちょこちょいだから。間違えることもあるかなぁって思った」


 凛はニヤッと笑う。


 ──はい、凛のおっしゃる通りです。ついこの前も間違えたばかりです!


 凛は凄すぎる。自分のことをホントによくわかってくれてると、広志は心の中で凛に白旗を上げた。だけども口では真逆のことを言う。


「こらこら。僕は案外しっかりしてるんだからなっ!」

「だよねー ヒロ君が実はしっかり者だって、私は知ってるよ!」


 凛は広志の顔を見ながら、ニカッと笑う。


「でも、たまにやるおっちょこちょいも、ヒロ君のいいところだよ。だって可愛いんだもーん」

「こら凜。やっぱお前、僕をしっかり者だなんて、思ってないだろ?」

「そっかなぁ、えへへ」


 白い歯を見せて笑う凛が可愛い。いつも自分の全てを肯定してくれる凛。やっぱり頭が上がらないと、広志は改めて思う。



 二人分のコーヒーを載せたトレーを持って、二人がけの席に向かい合って座った。周りからは、凛の姿を見た男子生徒の声が聞こえる。


「おいアレ、去年の人気総選挙、二年生一位の涼海すずみさんじゃない?」

「あっ、ホントだ。やっぱめっちゃ可愛いな!」

「うん。あのちょっと垂れ目で優しい感じがいいよねっ!」

「一緒にいる男は誰だ?」

「なんだか地味な男子だけど、彼氏か?」

「んなワケないだろ。クラスメイトか、サッカー部の人じゃないの?」

涼海すずみさんに彼氏がいるなんて、聞いたことないぞ」


(ん~、デジャヴだ)


 以前伊田さんとここに来た時とまったく同じ周りの反応。美女と自分みたいな平凡男子が一緒にいたら、誰が見てもそう思うんだなぁと、広志は苦笑いした。



 広志は声をひそめて、伊田さんと神凪神社で話した内容を凜に説明した。凜は「やっぱり想像通りかぁ」と、少し悲しげな顔をした。


「でもヒロ君の励ましで、やる気になってそうなんだよね?」

「たぶん。このままやる気が続いて、いい結果が出たらいいなぁ。でも好きな人のことなんて、気にしないでおこうと思ってもなかなか難しいよね」

「そうだね。やっぱりちゃんと付き合えるか、それとも真田君のことはやめて、吹っ切るかが必要だね。まあどちらを選ぶかは、伊田さん次第だけど」


 ホントは凜は、真田なんかやめた方がいいと思ってるんだろう。だけど人のことを悪く言うのが嫌いな凜は、伊田さん次第だという言い方をした。


「ところでヒロ君、神社の狭い部屋で伊田さんと二人っきりで話したんでしょ?」

「うん、そうだよ」

「伊田さんってめちゃくちゃ可愛いでしょ?」

「う、うん。そ……そうだね」

「で、その伊田さんに『空野君って素敵』って言われたと」

「う、うん」


(あれ? もしかして凜は、また嫉妬してるのか?)


 凜はにやっと笑ってる。広志は少しドキドキした。凜の話の本意はなんだろう?

凜がまた嫉妬してる?

次回「かけがえのない存在」

お楽しみに~

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=新連載のお知らせ=
双子なのに、性格も見た目も真逆な美少女姉妹は─→やっぱり僕に惚れている?』 【略称:真逆姉妹】
※結構王道なラブコメ。キュンとしてもらえたら嬉しいなぁ
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