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【連載一時中断中】並みいるイケメン達よりも、なぜか(しかも美少女に)モテる平凡男子  作者: 波瀾 紡
伊田 天美編

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【14:伊田さんに嫉妬した】

凛が広志に、伊田さんのことで嫉妬したと打ち明けたところの続きです。

 凛が伊田さんに嫉妬したなんて可愛いことを、広志にカミングアウトした。


「ちょ、ちょっと待って凛! 僕の方こそ凛を心配させて悪かったよ。凛が妬いてくれて僕はすごく嬉しいよ」

「ホント?」

「ああ、ホント」


 凛はそれを聞いて、整った顔をにっかぁと崩した。


「うん、ヒロ君がそう言ってくれて、私も嬉しい!」

「そっか」

「うん! ヒロ君がそう言ってくれるだけで私は充分だから、私のことは気にしないで、また伊田さんの相談に乗ってあげてよ」


 ああ、凛はなんて可愛いことを言うのか。だから広志は、凛を悲しませるようなことは絶対にできない。


「それでホントに凛はいいの? 僕は凛に心配をかけたくない」

「ホントに大丈夫だよ。ヒロ君が言ってくれたことを聞いて、ホントにそれだけで充分安心できる」

「でも……」

「こらっ! 空野そらの 広志君!」

「は、はいっ?」

「そんな情け無い顔をしてないで、君は君の思うように行動しなさい! 悩んでる人の相談に乗らないなんて、ヒロ君らしくないよっ!」


 凛はいつもの活発な笑顔に戻ってる。広志もホッとした。


「そっか。ありがとな、凛。そうするよ」

「うん、そうしなさーい。そうじゃなきゃ、私のせいでヒロ君が思うように動けないなんて、私も嫌だもん」

「わかった。でも凛も嫌な思いになるなら、遠慮なく僕に言ってよ」

「大丈夫だよん。いつも言ってるでしょ。すべてのモノはね、落ち着くところに落ち着くの」


 このセリフを凛はよく口にする。で、どういう意味で言ってるかと広志は訊いても、凛は笑って、いつもはっきりとは教えてくれない。


「それって、僕は絶対に凛の所に戻って来るって意味かな?」

「ううん。そうかもしれないけど、違うかもしれない。とにかく一生懸命やってたら、悪いことにはならないんだ。だからヒロ君はヒロ君らしく、一生懸命にやってほしいな」


 凛は満面の笑みを浮かべてる。広志はまたいつものように煙に巻かれた気がするけど、それ以上突っ込むのはやめた。


「そっか、ありがとう」


 広志も凛に微笑み返して、また二人並んで下校路を歩き出す。



「それにしても伊田さん、足の怪我は大丈夫かなぁ?」


 広志の言葉に、凛も顔を曇らせた。


「うん、心配だね。大したことがなければいいのにね」

「そうだね」

「ところで伊田さんは、ヒロ君にどんな相談をしてるの?」

「なんか最近、やる気が出ないんだって。で、どうしたらやる気が出るか? って相談」

「そっかぁ。心を癒すのは、ヒロ君の得意分野だもんね」

「いや、得意分野だなんてのは凛の買いかぶりだよ。だけど僕がやってあげられることが何かないかと思ってさぁ」


  凛は「うーん」と言いながら、少し考え込んだ。


「いつも元気な伊田さんがねぇ。何かうまくいってないことがあるのかなぁ?」

「いや、特に思い当たる原因はないって、言ってたけどなぁ」

「そうなの? ふーん……」


 凛は何か腑に落ちないふうで、また少し考え込んでる。


「やっぱりあれじゃないの? 恋愛の悩みとか」

「恋愛の悩み? 伊田さんが? どういうこと?」


 伊田さんが恋愛で悩んでる。凛の口から、思いもしない言葉が飛び出した。


「でもさ、凛。伊田さんには彼氏はいないって噂だし、彼女自身もそんなことはひと言も言ってなかったぞ。凛は何か知ってるのか?」

「いや、知ってるってわけじゃないけどね。伊田さんには好きな人がいて、その恋がなかなかうまく叶わないのかな? って思ったんだ」

「ええ〜っ? 伊田さんが好きな人って誰? どうして伊田さんほどの美少女が、うまく恋が叶わないの?  それっていつの話? なんで凛はそれを知ってるの?」

「こらこら、ヒロ君。いっぺんに質問しすぎだって」

「えっ? ああ、ごめん」


 あまりに意外な凛の情報に、思わず広志の頭の中に疑問があふれかえってしまった。まるで人気イケメン俳優の熱愛が発覚した話を聞いた女子高生くらい、テンションが上がってる。


「まあ落ち着いてよ、ヒロ君。ひとつずつ答えるから」

「あはは、そうだね」

「伊田さんが好きな人っていうのは……」


 広志はごくっと唾を飲む。


「あれ? もしかしてヒロ君、自分かなぁ〜なんて思ってる?」


 凛はにやっと笑って、広志をからかうような声を出した。


「思ってないって! 僕がモテないのは自覚してるから、いくらなんでもそんな勘違いはしないよ」

「ヒロ君がモテない?」


 凛が一瞬きょとんとした。そして元々少し垂れ目なのをさらに目尻を下げて笑うと、凛は首をこくんと傾げる。すんごく可愛い。


「私はヒロ君がだーいすき、なんだけどなぁ。モテないなんて言わないでほしいなぁ」


 いつも明るくてハキハキしてる凛が、珍しく少し甘えたような声を出してる。それがあまりに可愛くて、広志は心が溶けてしまいそうになる。


「あ、ありがとな、凛。だけどそれは凛が変わり者なんであって、僕は一般的な感覚だとモテないぞ」

「え〜っ? 私が変わり者? もうっ、ヒロ君はひどいなぁ」


 凛はねて口をとがらせる。拗ね顔も可愛い。凛は、どんな表情をしても可愛い。何がなんでも可愛い。可愛いんだってばっ!


 凛の可愛いさにやられて、広志はちょっと頭がおかしくなってるかもしれない。


「あ、あの……で、伊田さんが好きな人って誰?」

「あっ、そうだね。ごめんごめん。私もちゃんと知ってるわけじゃないよ。あくまで私の単なる想像なんだけど……」


 凛は真顔に戻って、慎重に言葉を選んでるようだった。

伊田さんが想う相手は誰なのか?

次回「伊田さんが好きな人は誰?」

お楽しみに!

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=新連載のお知らせ=
双子なのに、性格も見た目も真逆な美少女姉妹は─→やっぱり僕に惚れている?』 【略称:真逆姉妹】
※結構王道なラブコメ。キュンとしてもらえたら嬉しいなぁ
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