第八話 ~カイトの実力~
自分達の下まで歩いてくるカイトを認識した憲兵達は自分たちの持つ剣をちらつかせ威圧的な態度をとる
「あ? なんだ、俺達に何かようか?」
「いや、用事というほどのものでもないんだが...そこのあんた、さっき剣を極めし者をひっ捕らえるのどうのと言ってたあんたに聞きたいんだが、あんた剣の腕はどのくらいだ?」
「はぁ? 急に何を言うかと思ったらよぉ、そんなん俺はガキの頃から剣を習ってたからなぁ、お前みたいな見るからに弱そうな奴なんかは俺にかかれば片手でも勝てらぁ!」
「ふぅん...ガキの頃からねぇ...それにしてはあんた、全くもって素質が皆無だと思うぜ。はっきり言って剣の才能がないって言ってもいい」
「...はぁ? てめぇ、何だとおらぁ! もう一回言ってみろや!」
カイトの言葉に対して怒りを露にする憲兵に向かってカイトはさらに言葉を続けた
「いやな、俺もけっこう剣の腕に関しては自信があってな、剣の修行をしていく過程で俺はそいつを見るだけで剣の素質や熟練度がわかるんだ。しかし、あんたを見たところ素質は皆無、しかも熟練度に関しても並み以下だ。大方、剣の練習もサボりがちだったんだろ?」
「て、てめぇ...言わせておいたら訳の分かんねぇ御託ばっか並べやがって!いいぜ、じゃあここでお前に俺の剣の腕の良さみせてやろうじゃねぇか!」
そう言い放ち、憲兵の一人は自分の持つ剣の柄に手をかけて剣を引き抜く
「お、おい、落ち着けよ」
もう一人の憲兵は相方を止めようとするが、カイトはさらに相手を挑発する
「いいだろう、かかってこいよ。もしお前が俺の衣服に傷でもつけられたら何でもしてやるよ」
「調子に乗りやがって! おら、てめぇも持ってるその布に包まれてるやつが武器だろ? さっさっと抜けや!」
「はぁ? お前如きにはこいつを使うのは勿体ねぇよ」
「へ! そうかよ! じゃあ...死んでも文句言うんじゃねぇぞ!」
開口一番、憲兵はカイトに肉薄し大上段からの一撃を見舞おうとするがカイトはそれをバックステップで回避する。その後も憲兵は袈裟切り、突きなどを見舞うがそれらも難なく回避される
「ちっ! ちょこまかと動きやがって! じゃあこれならどうだ!」
憲兵はまたもや袈裟切りを行うが、剣を地面に食い込ませ土埃をカイトの顔にかける
「うおぉっと」
自然と目を瞑るカイトを見て、憲兵は殺ったと思い続いて剣をカイトの頭上めがけて振り切る。次に憲兵の目の前に広がるのは無残に頭を真っ二つに切られたカイトの無残な姿、と思われたが
「ぶへぁばぁっ!!」
次の瞬間、憲兵は顔面をカイトがもつ布の被った武器によって叩かれ、後方に吹き飛んでいた。憲兵は後方で二、三回転げた後に痙攣をし、動かなくなった
「う、嘘だろ! お前! まさか、あいつを殺したのか!?」
「うるせぇなぁ...あいつはたぶん死んでねぇよ。気絶してるだけだ...いってぇ、目に砂入ったじゃねぇかよ」
(っ! こ、こいつ目を瞑ったままあんな的確に顔面をこうげきしたのか!?)
「で? あんたも俺と一戦やっとくか?」
「...ひ、ひぃぃぃっ! ば、化け物ぇ!」
憲兵は後方で伸びている相方を連れてそそくさと逃げて行った
「おお、おお、テンプレのような捨て台詞をご苦労さんっと」
憲兵とカイトの攻防を目の当たりにしたレスティは素直に思った。あんな芸当は並大抵のことではできる技ではないと
「す、すごい。カイトさんっていったい...」
一仕事終えたかのように満足気にこちらに戻ってくるカイトに聞こうと思ったレスティであったが、それよりも先に彼を迎えたのは意識を取り戻したシャロムからの質問攻めだった
「す、すすす、凄いですよカイトさん! 今のどうやってやったんですか?こう、相手の攻撃をスルッと受け流しながらのカウンター! 伝記で語られたフィオレンティーネ様の技ほどではありませんが、その技も凄いぃ! 教えてください! 教えてくれるまでこの手は絶っっ体に離しませんからねぇ!」
「うそっ! いつの間に起きてたの君!? 待ってそこはデリケートな部分だからあぁああ! 見えちゃうから! 俺の大事な所が見えちゃうからあああああ!」
初めて書いた戦闘シーン、うまく表現できるようにもうちょっと構想を練っていく必要がありそうですね!