第二話 ~主人公と彼女は最悪の出会い方をしたようです~
俺の名前はカイト、え? プロローグでも名乗ってたからもういいだろうって? やかましい! 俺ぐらいの年頃のやつはなぜか何回も意味もなく名乗りたくなっちゃうんだよ...あ、でも別に暗黒の炎がどうとかっていう発言はしないからな
まぁ、とにかく今日も今日とて客が来ない。全く来ない。俺この店24時間開けてるんだよ? 誰か困った人がいたらいつでも助けられるようにだよ? なのにどうだこの状況は! 結局来たのっていつも俺の店に立ち退き命じてくる国の使いまわしの野郎ぐらいだ
彼のいう国の使いまわしとは、国王の部下であるブルドというもののことである。ブルドの最大の特徴といえばそのとてもよく膨らんだ腹であり、国民の間では名前に恥じぬ太りっぷりであると密かに言われているとかいないとか
「あの野郎っ、俺の店の中でキセルなんて吹かしやがって!」
次またあいつが来たら一思いにやっちまうか...いや、だめだ。あの栄養過多は一応国王の部下なわけだし、ばれたら最低でも死刑になっちまう...て、あれ?なんか焦げ臭くね?
「て、俺の商品燃えとるやないかいいぃいぃい!あいつ、燃えカス残していきやがったな!」
ブルドの火の不始末によりカイトの店の巻物などの紙類に火が移っていたのだった
「くっ...こうなったら水魔法で...て俺、魔法一個も覚えてなかったわ! まじで、ちょ、誰か助けてぇ!」
突然の火災であたふたしている店の店主をよそに、開けるたびに嫌な音を鳴らして開くために子供からはあそこにモンスターがいると噂までされてしまっている扉が開かれた
「うわ!...何この音? 気持ち悪っ...すみません...ちょっと助けてほしくてきたんですけ「その前に俺を助けてくれぇえええ!」ひいやあああぁああ!なんで店の中が燃えてるんですかあああぁあ!?」
この後、レスティが持っていた火消しのアイテムにより惨事は免れることはできたが、レスティはこの時ほど故郷に帰りたいと思ったことは生涯でなかったという