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すったもんだあって、勇者パーティーの最強剣士はなんでも屋になりました  作者: 麦とポップ
第一章 なんでも屋、はじめました
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第一話 ~彼女は絶望の中で一筋の希望を見つけました~

 王都アスト、ここの都市では鍛冶屋や道具屋や宿屋などはもちろんのこと、占い屋や散髪屋や鑑定屋などの特殊な施設などがあり商業が盛んなところである


 他の街などでは見ないような施設がたくさんあることからこの王都を訪れる冒険者や観光を目的とした客なども多く、アストは今ではここを知らぬ者はいないというほどのものになっていた

ーーーー

ーーー

ーー

「...うぅ...緊張してきた」


 アストの街の中に入るための門を前にして萎縮いしゅくしきっている一人の女冒険者の姿があった。彼女の名前はレスティ、これから冒険者になるためにこのアストを訪れている


 この世界の住人は各地の王国で王に謁見し、国王が提示した依頼をこなすことでその実力が認められ冒険者となることができる。この王都では冒険者となるためにここに来た者も多く、レスティもその内の一人である


「だめ! だめよ私! こんなところでビビってたんじゃ冒険者になんてなれないわ! ここは、代々私の村に伝わるこのまじないで...」


「すいません、通行証をご提示ください」


 門番に通行証の提示を促される。彼女は王都に入る為の大行列に並んでいたがいつも間にか自分が先頭に立っていることにすら気づいていなかった。必然、後ろで入国を待っている人々から非難の目が向けられる


「す...すすすすみません! ええっと、確か通行証はリュックの中に...あった! どうぞ通行証です」


「...ふむ、よろしい。入国を許可します」


 入国を許され速足に門を抜ける、門を抜けた先には様々な店が立ち並び多くの人々が所狭しと歩いている


「うわぁ...この場所だけでも私の村よりも人がいっぱいいる...人に酔いそうだよぉ」


 彼女は自分の故郷の村から親の静止を振り切って単身この王都にやって来ていた。彼女曰く、絶対に偉大な冒険者になって村に帰ってくるといった手前、もう村に戻ることなどは恥ずかしくてできなかった


「絶対に偉大な冒険者になって、村の皆を見返してやるんだから!」


 決意を新たに国王が待つ城まで向かおうとするレスティだったが


「うわぁ! す、すいません!」


 これだけの多くの人が出歩いているため他の人と肩がぶつかる、即座に謝る彼女であったがぶつかった相手の方は振り返らずに向こうに行ってしまう


「なによぉ...感じ悪ぅ。ちょっとは人の顔ぐらい見て何か言いなさいよ」


 不満をもらす彼女であったが、都会ならこんなものなのかもと思い足を進めようとしたが、彼女はある自分の異変に気付く


「私の財布が...なくなってるんですけどー!」


 彼女の後ろポケットに入れておいた彼女の財布がなくなっていたのである


「うそ、まさかさっきの人が」


 自分の村でよく聞いたことがある。都会には田舎と違って悪い人がたくさんいるという話があり、特に都会の悪い奴らは人の金を盗む奴がいるという、つまり彼女は財布をスラれたのだった


「あわわわ...あの財布の中に通行証も入ってるのに、お、追いかけなきゃ!」


 国王と面会をするためには必ず通行証がいることになっている。つまり、このままでは彼女は国王に会うことすらできなくなってしまうため彼女は全力で先ほどのぶつかった相手を追いかけた

ーーーー

ーーー

ーー

 どれだけ走ったことだろうか、自分の周りに全く知りもしない建物ばかりがある。自分が今どこにいてどこを走っているのかもわからない


 王都アストはその規模が広く時にはここに住んでいる住人でさえも道に迷うことが多いという。ここに来たのが初めてである彼女の場合はなおさらであった。つまり彼女は完全に道に迷ってしまっていた


「もぉ~、ここってどこなのよぉ! もう嫌っ!」


 走り疲れた彼女はそこで立ち止まりしゃがみこんでしまう。故郷の村オルクからここに来て、彼女は自分の知らない世界での洗礼を受けその顔には絶望の色がにじんでいた


「こんなことだったら、あんな事言わなきゃよかったなぁ」


 自分が村の皆言ってしまった偉大な冒険者になるということに今更ながらに後悔しつつ、もう帰ってしまおうかなと思っていた時、ふと顔を上げるとその店が目に入った


「...ん? あれって...なんでも屋?」 


 

 



 


 


 

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