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すったもんだあって、勇者パーティーの最強剣士はなんでも屋になりました  作者: 麦とポップ
第一章 なんでも屋、はじめました
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第十五話 ~国王の最後〜

「さぁ、国王様、俺はこれからあんたに一つ提案をする。その提案を受け入れてくれるだけで俺はこの記録水晶をあんたに渡してやるよ」


「て、提案だと?まさか国王に対して脅しをかけているのか!?」


「やかましいわ栄養過多め! お前は痩せる事に専念してやがれ!vこれは脅しなんかじゃなくて俺とあんた達がどっちとも後腐れなくするための提案だ。...で? 国王よ、どうなんだ?」


「...フ、フハハハハハハハッ!」


 先ほどから口を開いていなかった国王は突然笑いがこらえられないといった様子で豪快に笑い声をあげた


「こ...国王様? いかがなされましたか?」


普段滅多に笑うことがない国王が突然あげたその笑い声にブルドは困惑していた


「いやいや...まさかいままで生きてきたなかでこの私に脅しまでしてきた奴は初めてでな、久々に大笑いしてしまった。いいだろう、なんでも屋よお前の要求を述べてみよ」


「簡単な要求だ。まず、冒険者見習いの彼女達を正式に冒険者にしてやってくれ、加えて彼女達に危害を加えることもないように。そして、最後に俺の店に対して不干渉であることだ」


 要求を言い終えたカイトの顔を見、国王は不敵な笑みを浮かべる


「そうか、そうか...それでは憲兵達よ、その国に害をなす悪党をひっ捕らえろ。そしてその者の持つ水晶玉をこちらによこせ」


「....!?」 


 突然の国王からの命令にカイトは憲兵達に捕らえられ手に持っている水晶を取り上げられる


「なんでも屋よ...私は思うのだがね...一度できたほころびといものは例えそれがどんなに小さなものでも放っておくとその綻びは広がっていくものなのだよ。つまり、できた綻びは根本から断たなければならない、なのでまず貴様には口封じとして地下牢で永遠に閉じ込めておくことにする。なに、案ずることはない、お前の言う冒険者見習いの者達も処分しておく」


(...な、なんてお方なんだこの人は...人の要求をわざわざ聞いておきながら最初からその要求を受け入れる気などさらさらなかったということだ!)


 国王の残忍さに底冷えする何かを感じたブルドはこの人には逆らってはいけないと思わせるほどのものがあった。しかし、ブルドは憲兵に捕らえられているカイトの絶望しているであろうその表情を見るが、ブルドは次の瞬間さらに驚くことになった


「わ、笑っているだと!?」


 憲兵に捕らえられているカイトのその表情には笑顔が浮かんでいたのだった。国王もカイトが作るその場違いの表情に疑問を口にする


「貴様...何がそんなにおかしい?」


「いやぁ...まさかこんなにも、あんたが俺の思った通りに動いてくれるとは思わなくてよ。なぁブルドさんよ試しに外を見てみな。そしたら俺がこの状況で笑ってる意味も分かるはずだ」


「な、何を言って...なっ! これは一体どういうことだ!?」


 城内の窓を覗いたブルドが見たとは、城内の周りを埋め尽くさんばかりの人の集団が城に押しかけていたからだ。そして彼等は口々に国王へ怒りの声をあげていた


「綻びは根本から断つんだろ? それにしてはもう手遅れなほど綻びは広がってたってことだよ」


「貴様!何をしたというのだ!」


「そうだな...一つだけ言えることがあるとすれば、誰が水晶は一つだけだって言ったよ?」


 そう、カイトはこの王都にいる住人全員に記録水晶を渡して回っていたのだ


「し、しかしそれだけでは、ただのいたずらに見られるだけで相手にもされんだろうが!」


「確かにな、彼女達の証言だけだったらそう受け取られてらだろう。でもな、この王都には特殊な仕事を経営してる店がわんさかあるんだぜ? ちょいと裏のつながりで情報屋ってやつがいてな、そいつに頼んだら出るわ出るわのあんた等の汚職の数々...内密に捨てられた文書まで全部いただいたものをこの王都中のやつらに配ってやったわけだよ!」


「貴様...よくもそんなことをやってくれたなぁ!」


 国王は先ほどの余裕の笑みを崩し、カイトを殺さんとするために近くに壁に立てかけてある甲冑の槍を手に取りカイトに向かって突き刺そうとしてくる


「死んでしまえぇい!!」


 国王が放つ槍の先端がカイトの喉元に突き刺さりそうになる寸前、国王の間の扉が勢い良く開かれる。そこから一人の青年が大勢の兵を連れ、国王の間に入って来た。その青年の名はアスト・ギルモアール、現国王の息子であり、王位継承者である


「父上! ここにおられたか! 先ほど私も街で我が王都の民たちが見ているというものを拝見させてもらったが、これらの行為は断固として許されるものではない! よって、あなたの王位を返還してもらう所存だ! 憲兵よ! この者を捕らえよ!」


「はっ!」


ギルモアールの後ろに控える兵達とカイトを取り押さえていた憲兵達も一斉に国王とブルドを取り押さえた


「くっ、は、離せ!この私にこんなことをしてタダで済むと思うな!」


憲兵に連れられていく国王は捨てゼリフを吐き、ブルドは何もいわずただうな垂れていた。その後、現国王アスト・ネピア三世は王位を剥奪され、王都アストに新たな王であるアスト・ネピア四世が誕生した

今回はこれで今日の投稿は終わりです。うーん、二話分投稿できなかったのが悔しいところですが皆さんにちょっとでも面白いと思ってもらえるように書こうと思ったら時間がかかってしまいますねぇ

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