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11話「魔王様とリザリス・ダリア・フェインスローの職業」

本日2話目です。

うひー。

 前魔王に迫られていたと思っていたらいつの間にか助けられていたでござる。

 

 しかもそれが金髪の鎧美少女……。

 

 俺を守るようにして立つ少女を見上げる。

 肩口で切りそろえられた人形のような艶を持つ金髪が鎧の発する魔力で仄かに青めき、波打ちたゆたっている。

 瞳は大きく深い青。鼻はそれほど高くないがそれが少女らしさを際だたせており、白い頬はほんのりと朱が差して、小さな唇に至る完璧な形を作り出していた。

 

 背はそれほど高くない。脚は鍛え込まれた細さをしており、すごくしなやかな動きをしそうだ。

 

 エフが妖艶かつ凄絶な美女なら、彼女は咲き誇る可憐な華のような美少女だ。たおやかだがくずおれない芯の強さも感じさせる。

 

 どきっとした。懐かしい何かを感じている。


 少女がこちらに振り向き、綺麗な唇が言葉を作り出す。

 

「いつまでそこに座って見上げてるんですか? 殺しますよ?」


 ……。

 

 ん?

 

 今なんて?

 

「すまん、聞き取れなかったんだが」


 すると少女が顔を歪ませる。

 遠慮なく侮蔑の視線を俺に浴びせかけてくる。

 

「聞こえなかったんですか? 魔王の分際で」


 ちょっ……え? マジで言ってるのこの子……あらやだ……。

 本当に魔界ってロクな人がいないのかな?

 

 現実逃避したい。

 

 何なの?

 

 バカなの?

 

 いや、バカなのは一瞬目を奪われた俺自身か……。

 実際本当に綺麗だけどな。大きな青い目は見たこともない美しさだ。

 外人の写真とかでもこんなハッキリとした綺麗な目は見たことがないと断言できるぞ。

 

 するとエフが少女に向かって苛立ちを隠さずに言い放った。

 

「リザリス。カナタになんて口を聞くんだ。恥を知れ」


 へー、この子はリザリスって言うのか。

 もの凄い口が悪いけど、俺を守ってくれたのは事実だしなあ。


 もう少し様子を見るか。

 

「ふん、魔王に悪い虫を近づけたくないだけの話です」

「悪い虫だと!? なんてことを言うんだ!」


「なんてこと、ですか? おかあさま。当然のことを申したまで」

「お、お前いつもはそんな子じゃないだろう! 今日はどうしたというのだ!」


「わかっているクセに。わかっていながら、おかあさまはそういうことを仰せになる」

「いや、本気でわからんのだが」


「だから、そういう所が悪い虫だと言っているのです! 知らぬ存ぜぬで通じるハズがないでしょう! この女狐!」

「さいきょういくだ、お前にはさいきょういくが必要だ!」


「おかあさま、再教育という言葉の意味はしっかりと把握しておいでなのですか?」

「……」


 あ、エフわかってないんだ。ノリで言ってるんだこの人。

 しかし、悪い意味で立ち入るスキがないな。逃げようとしてもちょっと難しそうだし。

 

「なあ、お前ら二人はどういう関係なんだ?」


 するとリザリスが再びこちらを向いて再び侮蔑の言葉を浴びせようと顔を曇らせる。

 だが俺が立ち上がったため、さっきとは違って俺が見下ろす形になった。

 

 動きを止めたリザリスを見ていると、彼女の頬に少しずつ赤みが差してくる。

 

 何故赤くなった。

 

「う、うるさいです! 魔王はあっち行っててください!」


 答えてくれないらしい。

 ベッドで不貞寝してよっかな。

 と、後ろに目を向けて俺が油断した瞬間、エフが襲い掛かってきた。


 お前なんでこっちに来るんだよ!

 

「隙ありだぞカナタ!」

 

「うわあああああ!」


 しかし、俺の叫び声はリザリスの剣によって封じ込まれた。

 俺とエフの間に立り、エフの手先に剣を当て、軌道をずらしてくれる。

 

 ふう。助かった。

 

「すまない、ありが……」


「お、おれいを言われるためになんてやってないですから!」


 感謝くらいは言わせてほしい。

 

 しかし、リザリスって子、自分がおかあさまって呼んでる相手に平気で剣を叩きつけたぞ。

 物騒すぎるなレガンシス。

 これだから俺は勇者になりたかったのだ。

 

 確かに勇者は大変だ。でも魔王よりまだいいと言える。

 だって魔王はいつか倒されないといけないからな。

 

 でも勇者ならあの手この手でいつか勝てるだろうし生き残れるだろ?

 

 だよな!

 

「ほう、リザ。私に剣を向けたな」


 いいえ、向けただけじゃありません。もう振りぬいてます。

 エフ前魔王様の見立てではそれがただ剣を向けた程度に見えるんですね。

 

 ……勉強になります!

 

「おかあさまがムリヤリ魔王に迫るのを見ていられなかっただけです。こうしてむすめもいるというのに」

「私は別に結婚などしていない。お前を引き取って育てただけだからな」

 

 ほう、リザリスはエフの養子だったのか。似ていないわけだな。


「でも」

「でもも何もあるまい」

「いや、不満がいっぱいあるんですが」

「親子なのだ、そういうものだろう」 

「お義母さま。そういうわけではありません。抜け駆けは許しませんと言っているのです。朝に無言で出かけるから何かと思って魔力を辿れば」

「ハッ。何を言うかと思えば」

「何を言うかと思えばですって?」


 抜け駆け?

 何の?


 と思った時にはリザリスは衝撃的な事実を告げていた。

 

「勇者である私、リザリス・ダリア・フェインスローを魔王マニアにさせたのは貴女ではないですか!」


「へっ!?」


 ……もう一回再生してくれない?

 

 聞き間違いだよな?

 今リザリスが言ったのは自分がまず『勇者』であること。エフと苗字が違うこと。そして魔王マニアであること。

 この3つだ。あ、もしかしたら勇者だから人間もプラスされるかも。ってことは見た目通りの若さか。


 っていうかちょっと待てよ。リザリスの居場所は人間界だよな?

 ここは魔界。


 俺は魔界全図を思い返す。ここは大陸だ。

 アレファロだけは人間界と交流があるという話だったが、あの感じで見る限りは最低でも海峡があるはず。


 よし、余計なことを考えるのはやめよう。


「私は魔王の殺害術をお前に教え込んだはずだが」


 物騒だね。エフって俺の婚約者とか言ってなかったっけ?


「何を仰います! お義母さまは毎日毎晩魔王のカッコいいところを絵本を読み聞かせるかのように私に吹き込んだではありませんか! そのせいで討伐目的の魔王を殺すどころか……」


 それを聞いたエフがにやりと笑う。

 続けてリザリスが言い放った。

 

「す、すきになっちゃったんだから!」


 好感度マックスなの?

 

「昔お義母さまがおガメになった魔王の使い古したシャツを今でも私は大事に抱きしめながら寝ているのです! いわば、生涯を共にすると誓った仲ではないですか!」


 あ、この親子どっちもあかん感じだわ。


「フフ……しかし、お前は勇者としての使命に身体を突き動かされてどうしても魔王を倒したくなってしまう。難儀なものだな。いいぞ、カナタは私がもらってやると決まっているのだ。お前は私たちに存分に牙を向ければいいだろう」

「何故、何故なのですかお義母さま! どうして私は好きな人に好きだと言えない身体なのですか!」


 いやいやさっき思いっきり言ってたでしょ。

 

 だが、この状況は俺にとって都合がいい。

 

 言い合う二人を尻目に、やっとできたスキをついて俺は部屋から逃げ出した。


 行き先は外だ。

書き終えた直後のビールうまー!


明日からまた平常更新で参りたいと思います。

色々考えながらやってく所存!


中身を変えない程度の改稿をしていきたいです。


ブクマありがとうございます! 励みになります!


5/17改稿しました。

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