表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青騎士  作者: シャーパー
74/168

青岸の仲間

仲間という名の部下として候補に上がるのは当然、自分とブッチデヨよりも弱い奴だ。


候補者は多くないが、最適な奴を思いついた。


「ストラ、か…」


「おいおい、青岸よ、ストラのような雑魚を加えて、何かの役に立つのか?」


三下のブッチデヨですら、ストラを雑魚扱いするのだ。


まあ、組織の中でも、雑魚として有名だったのだから、仕方がない。


「俺達は事実上、不死身になった。とはいってもなぁ、『最強』を従わせられるとか、思えるか?」


「無理だな」


ブッチデヨは馬鹿だが、無謀ではないようだった。


「だったら、俺達よりも弱くて、手頃な相手、しかも、夜になったら向こうから来てくれる相手の方が、良いに決まってるさ」


「ふむ、青岸にしては考えておるな」


ブッチデヨの失礼な発言に、子供達が色めきたつ。


俺も多少、苛立たされるわけだが、それは置いておいたとしても、ブッチデヨにはちゃんと言っておいた方が良いのかもしれない。


「とにかくだ、今夜、ストラと接触するぞ。奴をこっちに引き入れて、戦力を増やす」


「今夜…、とするなら、もう、今ではないのか?」


そう言われて、俺は思い出す。


定時である17時過ぎに俺はブッチデヨによって、この灰色の中に入れられてしまったのだ。


つまり、ストラがこの建物の調査を始めるまで、あまり時間がないという事だった。


「今、何時なのか、誰か分かるか?」


問い掛けるが、誰もが首を横に振る。


何十年もこの灰色の中で暮らしている子供達は仕方ないにしても、ブッチデヨは時間を把握していても良さそうなものなのに、意味が分からない。


「えっと…、時計を見る方法は?」


子供達が先導してくれる後に続きながら、俺とブッチデヨは並んで歩くわけだが、随分とそれが滑稽に思えた。


「青騎士、時計だよ!」


灰色の先に時計があった。


場所はどうやら、例の6階のようだった。


「うーん、まだ早いか…」


19時を回ったところだった。


残念ながら、館内にはまだ、人も残っている事だろうし、ストラも外から建物を眺めて欠伸でも噛み殺しているだろうと思われた。


例の油断ならない守衛の事を考えれば、灰色から出て待ち伏せというのも得策ではない。


子供達に命じて灰色を閉じさせ、外の世界から再び隔絶される。


何やら、もう、外の世界よりも、灰色の世界にこそ馴染んでしまっている自分に苦笑するしかなかった…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ