青岸の野望
邪魔なブッチデヨを遠ざけて、俺は考えを巡らせる。
どうやら、子供達の話によれば、灰色の世界と外の世界は行き来できるのだが、基本的に外の世界では灰色を纏ったままであり、居心地の悪さや違和感、息苦しさを覚えてしまうらしい。
ただ、外の世界で殺されても、灰色の世界で蘇る事が可能という事が大きい。
しかし、逆に灰色の世界で殺されてしまえば、蘇る事は出来ないらしく、それが注意点ではあるのだろう。
つまり、打つ手は攻めのみという事になる。
守っていたら、外の世界に対して何らの影響も与えず、灰色の世界でブッチデヨや子供達と暮らしていくだけになってしまう。
相手を灰色の世界に引き摺り込んだりしたら、こっちのまともな戦力はブッチデヨだけであり、掃討され尽くすのはやる前から目に見えている。
そこで、ふと我に返って苦笑する。
俺は世界をどうにかしようなんて、そんな事を考え始めているのだ。
まあ、灰色の世界に居続けなければならなくなってしまった以上、外の世界に思い焦がれるならば、外も灰色で覆ってしまうしかないというのが唯一無二の真実ではあるのだろうが。
「青騎士、どうしたの?」
座っていた俺が急に立ち上がると、子供達の1人が首を傾げて問う。
「仲間を増やす必要があるな」
正確には部下なのだが、あまり直截的にモノを言うのは子供達の憧れる青騎士とやらにはそぐわないかもしれない。
子供達の信頼は実際、とても大きな戦力になるのだ。
痛みを恐れない兵士として。
「わたし達は青騎士がいてくれたら、それだけでうれしいよ」
「分かってるよ、ありがとう。でも、大きなお祭りをやりたいんだ。だから、ちょっとだけな」
「お祭り!」
「お祭り、やるの!」
子供達の喜びが広がっていく。
お祭り。
そう、世界征服という祭りの始まりだ…。