表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青騎士  作者: シャーパー
50/168

カズトの迷い

「ここ、か…」


俺は昨日、青岸が消えた場所に来ていた。


正直な話、あんなにも短期間で青岸が辞めてしまうとは想定外だった。


理由は色々あるのだろうが、その一端として『灰色』と『子供達』の件に俺が青岸を巻き込んでしまったというのは、確実にあるだろう。


まあ、だからこそ、俺は青岸の行動に対し、積極的な反対を示さなかった。


彼がそう決め、ここを諦めるとしたなら、それはそれで仕方がないと思ったのだ。


だが、情報屋という商売柄か、ここを立ち去るまでの青岸を追ってしまった。


そして、彼が急に駆け出し、曲がり角を曲がった先、守衛の老人から聞いた話では、そんなに慌てた人間は来なかったとの事ではあるが、それが正しいのだとすれば、まあ、俺も慌てて走り縋ったわけだから、それが正しいのは確定なのだが、そうだとすれば、彼が消えたのはこの自動販売機の前という事になる。


「何があった?何で、こんな場所で消える…?」


意味が分からない。


そして、もっと意味が分からないのは、青岸が消えたという場所、自動販売機の前に、6階で目にする事が多い『灰色』が僅かにあったという事だ。


「小さいな…。このサイズで、青岸を吸い込んだりしたのか?」


手は伸ばさない。


俺は自分の特異性、『消失』に絶対の自信を持っているし、その自動的に発動するという事に対しては、神への信仰にも等しい信頼度を持ってもいる。


しかし、それでも、そうであっても、自ら、愚かな危険を犯す気はない。


「そろそろ、潮時か…」


もう、組織もこの現場からは手を引くだろう。


犠牲が大きすぎるし、対価の質も良く分からない。


そうなれば、情報屋の俺としても、新たな食い扶持を探す必要が出てくる。


「まあ、それなりに儲けたし、悪くはなかったか」


「ここを抜けると決めたな、カズト!だったら、お前もこっちに来てもらうぞ、アァ!」


青岸の叫び声が『灰色』の中から聞こえた。


そして、同じ場所から手が伸びてくる。


「調子に乗るな、雑魚が。俺の『消失』で消されたいか?」


手が止まる。


そして、逡巡。


やがて、手が引っ込んでいく。


面白い、愉快だ。


まだ、ここには残る価値がある、そんな気がした…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ