加速する事態
『灰色』と『子供達』についての情報を求めた時、カズトは虚を突かれたように俺を見やった。
俺がこいつを驚かせたり、戸惑わせたりしたのは、これが初めてではないだろうか。
「青岸君にそれを教えたのはジョージだな?流石に、『最強』が喋るわけも無いし…」
『最強』が知っていたと分かっても、俺は特に驚かなかった。
むしろ、知らなかった方が驚くくらいだ。
「とりあえず、それについては後で教えてやるよ、無料でな。ただし、巻き込ませてもらうぜ」
巻き込む、とはどういう事だろうか。
その響きに良い予感は全くしない。
「いや、俺の金じゃなくて組織の金だから、巻き込まずに有料で教えてくれ」
「その場合、法外な額になるけど?」
溜息を吐く。
どうしたって、俺を巻き込むつもりなのだ。
まあ、巻き込まれたところで、この現場に長居するつもりは無いのだから、構わない。
「分かった、巻き込まれてやるよ」
「その時、襟櫛と山田を紹介してやるよ」
「おい、そんな事は頼んでないぞ」
「アフターサービスだ。いや、ビフォアサービスか?」
事態が加速している、それは分かる。
しかし、それが俺にとって、吉兆であるか、或いは凶兆であるのか、問題はそこだった。
そして、それは現段階では、俺には容易に判断できなかった…。