復活
「来い、ジョージ!」
結果的に、それが近江が発した最後の言葉となった。
来いと言われたジョージが駆け寄り、『破天荒快男児』の一撃。
それだけで、近江の丸々と太った腹は破裂してしまったのだ。
「おい、『号砲』って、あそこから何かするのか?」
答えを知りようもない奴に問い掛けてしまうほど、俺は動揺してしまっていた。
そして、信長も減らず口を叩けずに黙っているところを見れば、彼の動揺も分かろうというものだ。
近江が瞬殺されたにも拘わらず、村田が1人だけで歩み出てきた時、俺は三超将軍、いや、今では二超将軍になってしまった彼らに期待する事を諦めた。
「今までの戦い、見事だった。だが、ここで終わりにしよう、ジョージ」
「…ようやく、理解できるようになってきた。王子の野郎は逃げたんだな」
「正気に戻ったか。遅すぎるとは思うがな」
「ああ。裏切り者達だけじゃなく、三超将軍の一角まで殺したんじゃ、組織も笑ってはいられないだろうな」
「当然だ。お前は、ここで死ぬ」
「それで、俺に向けられる刺客は誰だ?…いや、無粋な事を聞いちまったな。組織で俺を殺せる奴なんて、『最強』だけか。まあ、いいや。アイツとは一度、本気で殺し合ってみたいと思ってたんだ」
「いや、お前は俺が殺す」
「真面目一徹なアンタが、いつの間に冗談を言うようになった?まあ、全く笑えねぇけどな」
「笑えなくて当然だ。冗談を言ったわけでは無いからな」
「そうかい。だったら、実行してみろよ」
「俺の『血戦』を、お前はかつて見た事があるだろう?その時、お前はどうしたんだったか?」
「黙れよ…」
「泣き喚いて、許しを請うたじゃないか」
ジョージは大きく息を吐き出した。
「そうだったな。『破天荒快男児』が発現したばかりの俺に、アンタが全力で向かってきた結果だけどな」
「発現したばかりでも、『最強』は三超将軍を一気に相手取った。格が違うんだ、お前とは」
「分かった、分かった、理解してはやった。今の俺を相手に証明して見せろ。俺はアンタを殺し、残りの1匹を始末して、『最強』を殺しに行ってやる」
ジョージは笑い、村田は笑わなかった。