表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青騎士  作者: シャーパー
25/168

鬼のように速く

「おかしくないか?」


俺の問い掛けに対し、おかしいのはお前の頭だと言わんばかりの信長に苛立ちを覚える。


しかし、それよりも、ジョージが気になった。


いや、正確には彼の足許が気になったのだ。


あれだけ、『破天荒快男児』で乱打しているにも関わらず、ほとんど変化が無いのだ。


嫌な予感がして、俺は『ビルメン』でジョージの周囲、その足許を見やる。


その瞬間、嫌な予感が当たっていて、俺は咄嗟に背中を翻して、ジョージから離れるように駆け出した。


何事か分からず、それでも雰囲気を察したのか、信長が追い縋ってくる。


「何があったと言うのだ?」


「アイツ、何で下を殴りまくってると思う?」


「悔しいからだろう、負け惜しみさ」


「違う!アイツは諦めてなんていやしない。あんだけ殴りまくってやがるのに、見た目に変化は無い。『ビルメン』で確認したら、地中を壊しまくってやがった」


「それは、どういう…?」


「この一帯を崩落させる気なんだよ!」


「間に合うのか?」


逃げるのが、という意味だろうか。


「お前の『ストーリーテラー』で崩落を食い止められるか?」


「…無理だ。これは、僕の想像力を超えすぎている」


その時、口笛の音が聞こえた。


そんな音が聞こえるという事は、ジョージの乱打が終わったという事だ。


「始まるぞ!」


「仕方がないから、助けるよ。僕に掴まるんだ」


申し出は有難かったし、すぐに応じたわけだが、汗臭さが尋常ではなく、吐きそうになった。


まあ、それでも、死んでしまったり、大怪我をするよりはマシで、実際、辺り一帯が見事に崩れてしまった中、信長と彼に掴まった自分が助かったのは、奇跡の領域だと感じた。


「僕の『ストーリーテラー』は凄いと思わないか?」


「ちょっとした奇跡だな」


「君が奇跡と思った事すら、『ストーリーテラー』で仕組んだ事だよ。奇跡的に救われ、その奇跡に感謝するというストーリー仕立てさ」


「そうか、それは凄い」


いささか棒読み気味に言いつつ、現状を確認する。


ジョージは勿論、生存。


細かな傷は数多いが、その狂暴性は欠片も損なわれていない。


シャリも生存してはいるが、こちらはジョージほどの余裕は無く、形勢は完全に逆転してしまっている。


特に酷いのは左腕で、血塗れであり、もはや、この戦いの間は使い物になりそうにもない。


三超将軍はどうやったのか、全員がほぼ無傷で生存していて、ジョージとシャリの戦いを見守る姿勢を崩していない。


王子が逃げおおせてしまった以上、完璧には程遠いが、兎にも角にも、裏切り者達はこの場においては全滅してしまうだろうか。


「予想外だ、それは認める。だが、まだ負けたわけじゃない」


シャリが笑う、と同時、ジョージが視線を三超将軍に向けた。


「もう、用済みってわけか。…舐めてんじゃねぇぞ、ジョージ!」


消える、と同時、無造作に振った拳にぶつかり、首の半分くらいが抉り飛ばされたシャリが理解できず、崩れ落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ