表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青騎士  作者: シャーパー
17/168

戦いの前

裏切り者は逃げ続けていた。


そして、俺は追い続けていた。


裏切り者がこちらの追跡に気付いているか、それは分からない。


ただ、俺としては半端なところで迎え討とうと足を止めたり、諦めて戻ってきたりされても困る。


出来れば、アジトなどを用意していて、そこで待ち構えてくれるのが理想だった。


そうすれば、俺の『ビルメン』で建物を把握してしまい、一気に封殺してやれる。


「まあ、そんなに上手くいくわけもないか…」


やがて、裏切り者はよりによって、繁華街のど真ん中で立ち止まってしまう。


別に、一般人を巻き込みたくないとか、そういう殊勝な考えがあったわけではない。


一般人はただの障害物で、敵にも味方にもならないが、邪魔にはなるのだ。


誰かを待っているのか、キョロキョロと辺りを見回している。


『ビルメン』を使っている以上、あまり接近しても仕方がないので、俺はスマホをポケットから取り出す。


これから、戦闘になる以上、相手の情報が欲しい。


スマホに入っている数少ない番号の1つにして、発信履歴に残っている唯一の番号に電話を掛ける。


「情報を頼む。『獅子と蛇』、組織の元メンバーだ」


「名前は『王子(オウジ)』、特異性は『獅子と蛇』、ランクは貴方よりも上でした」


どうせ、名前は偽名だ。


特異性の名称はそもそも知ってる。


組織内のランクなど、『最強』が存在する以上、1位になれないのだから、気にしても仕方がない。


まあ、2位が敗者の1位であるなどとは言わない。


組織の2位は、場合によっては『最強』を凌駕する可能性があると俺は思っていたりするから。


「余計な事は語るな。『獅子と蛇』っていうのは、何が出来る?」


「獅子の獰猛さと、蛇の狡猾さを使い分ける事によって、戦闘を有利に進める事が出来ます」


「つまり、何も分からないって事か?」


「彼は組織に入る時、無駄な抵抗をせずに受け入れました。仕事は単独行動を好み、報告には結果だけを書いていたようです」


最初から、特に期待はしていなかった…が、少しくらいは役に立つかもしれないと、甘い考えがなかったわけではない。


「他に必要な情報はありますか?」


何らの情報も提供してもらっていないから、電話の向こうにいる相手の言い種にはイラッとする。


「もういい!…いや、ちょっと待て」


『ビルメン』が捉えた景色の中で、『獅子と蛇』王子の周囲に嫌な顔ぶれが集い始めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ