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青騎士  作者: シャーパー
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襟櫛の問い掛け

「自分だけが一方的に攻撃を出来る立場ってのは羨ましいもんだな、襟櫛よぉ?」


仕方のない事ではあったが、青岸が話し掛ける相手となるのは、俺だけなのだ。


ジョージは化物になっており、すでに言葉が通じる相手ではないから。


「だが、膠着状態になるって事は、本当に俺だけが一方的だって事じゃないからだ」


認めたくない事実ならば、口にしない。


ただ、単純なまでの感想だ。


「そうだな。お前の安い攻撃じゃ、ジョージはともかく、俺は殺れねぇ」


「安い攻撃も繰り返せば、響くかもしれないな。試してみるのも悪くないが?」


思わず、青岸程度の挑発に、俺は乗ってしまった。


「だったら、試してみろよ。さあ、やれよ、無様に踊って見せろよ」


さらに挑発される形となって、俺は溜息を吐き出した。


俺はいつまで、こんな下らない挑発の遣り合いを繰り返してしまうのだろうか。


青岸が意味ありげに、こちらを見た。


そして、次にジョージを見る。


さらに、2人を視界に捉えるようにして、偉そうに宣言した。


「俺はお前達を殺しに来た、この灰色の世界で、いや、灰色の世界の青騎士が、お前達を殺しに来た!」


何が言いたいのだろうか。


2人を同時に相手取ろうという宣言にしか聞こえないが、無謀と言うしかなかった。


そして、青岸がその無謀を選んだのならば、俺は敢えてジョージを先に殺すべきなのだろう。


俺がジョージを見て、奴が俺を睨む。


青岸だけが、2人を見ている。


「始めるか…」


動く、駆ける、斬る。


単純だが、それだからこそ、強い。


ジョージの肉体を抉る。


彼が振り回した大振りの拳は、まるで当たらない。


元々、こちらの刃が通らなかったからこそ、奴は強かったのだ。


こちらの攻撃が通じてしまう今、脅威には値しない。


そして、何故か、青岸が動かない。


奴が邪魔してくれば、流石に厄介だ。


そう、奴はかつてのジョージと同じで、こちらの攻撃が通らないから。


まあ、青岸が何を考えて動かないのかは分からないが、チャンスは活かす必要がある。


ジョージの肉体から鮮血が舞う。


殺せる、負ける要素がない。


そう思った時だった。


また、ジョージが力を溜め始めた。


「させるかよ…」


力を溜め始めたジョージは、基本的に全く動かなくなる。


細切れにしてやるかのような勢いで、斬って切って斬って切って斬りまくる。


鮮血だけでなく、肉片が飛び、骨を砕き、人間としての形までも奪っていく。


まだ、青岸は動かない。


もう、ジョージは動けない。


首を跳ね飛ばした時、俺はようやく分かった。


すでに、俺は勝っていたのだ。


ジョージは力を溜めていたのではない、殺されまいと守りに入っていたのだ。


「なあ、こんな結末、お前は予期していたかよ?」


青岸に、殺したジョージに、そして、2人以外の誰かに、俺は問い掛けた。


だが、その内の誰からも答えは返ってこなかった…。

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