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特異性
夜の街を駆ける。
組織のメンバーとなるには、たった1つだけ条件がある。
逃げる裏切り者の姿はすでに捕捉している。
その条件とは、後天的に特異性が発現する、という事だ。
別に、俺は追跡が得意というわけではない。
特異性とは、まあ、簡単に言えば、超能力みたいなものだと言えば良いだろうか。
俺の特異性『ビルメン』を応用している。
特異性が発現したら、自分が何を出来るようになったかは理解できるのだが、意味や理由が分からずに混乱してしまう事が多く、その時に組織が接触してきてメンバーに加えられるという仕組みだ。
『ビルメン』は、1つの建物の構造、その中に存在する人間を全て把握する事が出来るのだが、今みたいな場合、それを応用して逃走経路の把握に利用しているというわけだ。
逆に先天的に特異性が発言していた場合、その本人は生まれついてる時点で理解していると言われており、自己防衛の為に秘匿する傾向があり、組織も発見に手間取るらしい。
俺の眼には、ハッキリと裏切り者の姿とその周囲の風景が見えている。




