表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青騎士  作者: シャーパー
116/168

合流するカズト

「なあ、いい加減、諦めたらどうだ?」


俺は正直、このどうしようもない馬鹿の相手をし続ける事に疲れていた。


そう、馬鹿とは勿論、ブッチデヨの事だ。


「このわしに敗北など、許されてはおらんのだ!」


「いや、まあ、敗北を許すのはお前自身であって、敗北なんて他の誰かに許しを請うものでもないと思うけどな」


「ふむ、一理あるか…」


何故なのか、馬鹿だからか、ブッチデヨが納得しかけたところで、俺は歩いてくる山田を見つけてホッと胸を撫で下ろす。


「おぉ、山田氏。無事だったみたいだな?」


「何だと!山田、ストラはどうした?」


「どうしたと言われても、放置しているだけですけどねぇ。ほら、あそこに」


山田が指差す先で、水を纏ったストラがジッと身構えていた。


「何をやっておるのだ、奴は!」


「さあ、何をやっているんでしょうねぇ?仲間として、声を掛けてやったらどうですか?」


「言われなくてもそうする!カズト、山田、決着はまた次の機会に持ち越すぞ!」


「俺は成り行き上で戦っただけだから、お前との決着なんて興味ないんだけどな」


「同じく、ですねぇ。争いなんて、起こらないに越した事は無いですからねぇ」


「どちらも、覚悟しておけ!いずれ、わしが鉄槌を下してやるからな!」


こちらの話をまるで聞こうともしないブッチデヨは、騒々しく立ち去ってしまう。


その後ろ姿は、ストラの前で止まり、何やら苦戦しているようだった。


「アレって、どういう状況なの、山田氏?」


「実は、ですねぇ…」


山田の説明を聞いて、俺は上手い方法もあったものだと感心する。


まあ、俺の存在が山田の作戦に一役買ってるというのも、なかなか良い事だった。


「それで、山田氏、襟櫛は?」


「外に、王子を迎えに行ったきり、戻らないんですよねぇ。青岸にでも遭遇したんですかねぇ」


そう言われて、俺はメアリと青岸の事を思い出した。


「いや、それはない。実はさ、俺は…」


メアリとの戦い、青岸の介入、メアリが2つ目の特異性を使った事などを、掻い摘んで説明してしまう。


「なるほど、ねぇ。だとすれば、外に行ってみなければ、分からないという事ですねぇ」


「ただ、説明した通り、1階ではメアリが待機してるだろうから、そこ以外を通らないと」


「地下も、頭上にメアリがいると考えたら、あまり宜しくないですねぇ」


この階は当然、前方に動けなくなったストラと、動かそうとしているブッチデヨがいて、無理だった。


「外に行くのに、上に行くってのも微妙だしなぁ。それに、上は上で、どんな風になってるか…」


「まあ、死体だらけではありますねぇ」


俺は周囲を見回し、何か突破口はないだろうかと考える。


そして、奇妙な物を見つけた。


「なあ、この扉の向こうって、外に繋がってないかな?」


「ああ、非常口ですねぇ…。可能性はありますか」


「じゃ、行ってみるかな」


俺はそう言って、扉を開けて違和感を覚える。


人が1人、やっと通れるくらいの狭く短い通路の先に、また、扉がある。


「アレって、開けたら外なのかな?」


「そんな危険な作りの建物はないでしょうねぇ。まあ、非常階段とか、そういうのに通じているんでしょうねぇ」


「まあ、そっか。じゃあ、それを使って、外に行くか」


「そうですねぇ」


俺が先に立ち、山田が続いてくる。


何となく、扉の先に非常階段なんて代物はないような気がしていた…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ