11/168
敵
色んな奴が俺を見ている、まるで品評会のようだ。
さて、俺の評価はどれくらいのものだろうか。
そして、俺も観察していく。
誰もが見られている事を分かっているかのように、真実を隠して偽物を見せている。
食堂をまともに利用している奴、つまりはここの飯を食ってる奴は7割といったところか。
オシやカラも定食を食べている。
もう、彼らの名前は分かっているのだが、今さらなので無視する事にする。
偽物を見続けても仕方がないので、俺は昼食用に買ってきた菓子パンをさっさと胃袋に収めてしまう。
席を立ち、改めてザッと見回す。
何事も起こらなければ、それはそれで、俺としても構わないし、目的を果たして静かに消えるのも良いとは思う。
しかし、逆にここで何かを起こしてやるのも悪くない。
指をピクリと動かしただけで、幾つかの視線がそれを凝視する。
この食堂に来ている敵の数は理解できた。
まずはどいつから接触しようか、或いはどいつから接触してくるか、楽しみが出来た俺は自然と笑みをこぼしてしまう。