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極楽  作者: 風雲草花
1/1

始まり

僕は、この春中学生になった。憧れの虎山中学である。(父と母の)なぜ憧れであるかというと、公立高校であるのに何故か成績優秀者が多く、部活も有名である。この中学さえ出れば、中卒でも人生困らないと云われるほどである。

そして虎山中最大の難門心臓破りの坂を、登っている。登校初日だが、登校拒否する勢いだ

「~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」そう言って肩を叩いてきたのは幼馴染の朝倉蓮である。

スポーツ万能成績優秀容姿端麗性格良行、どんな男もドン引く完璧女子である。

こいつの欠点といえば二つ、一つは俺に対して面倒見が好過ぎること、完全にしつこい

「おはよ」適当に挨拶を返すと、「元気がないな、」蓮の後ろから何かが出てきた。デカイ、蓮の兄貴、朝倉領碁だ。蓮の兄貴だけありこちらも完璧人間である。

そして蓮の二つ目の欠点でもある。「おにぃちゃんがいつも元気過ぎるんだよ」そういう蓮も元気である。何故なら大好きなおにぃちゃんと手を繋げているのだからだ。これがどんな男もドン引く理由である。キンコーンカーンコーン8時15分のチャイムである。15,20,25、30と四回も鳴る15分のチャイムである。「藤は一年だから早く行かなきゃ、急ごう」大好きなおにぃちゃんの手を離し、俺の手を引っ張る。「バイバイおにぃちゃん」そこから走って下駄箱まで行った。

キンコーンカーン20分のチャイムだ。

下駄箱で靴を履きかえると、廊下に大きな紙が貼ってあり、一年のクラス表が、貼ってある8クラスあり、そこから自分の名前を探すのは、超大変だ。もう、あ行の生徒は1組、か行の生徒は2組でいいのではないのか。

「私も一緒に探してあげる。」蓮は右端から、俺は左から名前を探す。

名前を探してるのは俺だけで、他の生徒は紙から名前を探すなんて事をせずに、皆通り過ぎていく。つまり俺以外は、三年か二年で一年は俺一人のようだ。

「あ、あった藤あったよ。6組だよ。」早くいこ一緒に二階まであがる。

「じゃあ私は二年だからバイバイ」蓮は幼馴染だが、学年は違う。俺が小学校五年になった時、おにぃちゃんと学校に行けないと騒ぎ、六年になると俺と学校に通えなくなると、騒いでいた事もあった。

三年は一階、二年は二階、一年は三階となっている。蓮と別れ三階に上がる。一年は8クラスあり、一クラス40人程で一クラスあたり320人の計算だ」。えーっと俺は、確か6組だ。教室の扉を開けると同時に25分のチャイムが鳴る教室には、皆席に着き、座っている「俺以外」。教壇には教師が立っていて話をしていたようだが、一斉にこっちを見てきた。こういう時は、挨拶ぐらいするものだろうが、あまりに皆キョトンとしているので黙って席につく。机には名前が書かれた紙が置かれているが、机はここしか空いてないので、紙を見るまでもなく分かる。席に着いて少しボーッとしているとチャイムが鳴る。30分だ.廊下に並ぶ。「初日から遅刻はヤバくね」俺にそういってきたのは、岩谷岳小学校からの友達だ。家も近所で、サッカーを一緒にやっている特別好きではないが、腐れ縁というやつなのか。

30分までに席に着けば良いので俺は遅刻ではないはずだが

「遅刻じゃないよ。だって30分のチャイムなるまでには座っていたじゃないか」黒いボサボサの長い髪だ。名札には、浦木と書いてある。俺は後ろの方のはずなので後ろまでいく。

体育館に行き始業式を済ませて、教室に戻ってきた。「岩谷君から順番に自己紹介をしてください」先生がそういうと自己紹介というイジる側かイジられる側、モテル奴、女子に拒否される奴が決まる魔の10分である。

「出席番号1番岩谷岳です。血液型はOで趣味はサッカーです。好きな食べ物は天かすで、好きな女子は胸が大きく明るい女の子です。」

岳とは、小学校からの付き合いだが、明るく社交的でムードメーカーだ勉強はできないが、スポーツはできる。ここでもあいつはすぐにとけこめるだろう。「出席番号2番浦木連星です。よろしくお願いします」そう言って座る。見るからに暗そうだ。しかし廊下でのやりとりを見る限り毒舌で、口数の少ないタイプのようだ・

俺も他人の自己紹介を聞いている場合ではない話すことを考えなくてはならない、とりあえず自己紹介を聞かずに必死に考える。

俺の前の席に座っている女の子が立ち上がる。「出席番号25番浜辺海です。趣味は料理や裁縫、あとスポーツも得意です。」身長は、140無いだろうがかなり可愛い女子受けは悪そうだが、男子受けは良さそうだ。

俺の番が来た「出席番号26番速水藤、趣味はサッカーや漫画です。ヨロシク」自己紹介としてはこんなものだろう。藤は苗字みたいだが名前である。嘘は言っていない。ちなみに嘘といえば趣味はない普段漫画やサッカーで時間をつぶしているだけだ。何をしていても楽しいとは思わない。ここでもそれはかわらないだろう。「出席番号39番渡空です。趣味は将棋でスポーツは苦手です。宜しくお願いします」

以上で自己紹介は終わりです。さぁ親睦を深める為に体育館借りて何かしましょうか。「待てお前は何故自己紹介をしない、教師の名前を誰も知らないはずだ」「薫ちゃんと親睦を深めたいでーす」「薫ちゃんの水着が見たいです」「プール、プール」

どうやら俺が来るまでに先生は、自己紹介をしていたようだ。先生は確かにスタイルがいい、身長も170ぐらいあり、胸を強調しない服なのに胸が目立つ。

体育館は普通に使えないと思うが、見た目はともかく頭は、残念な口か。春にプールはない「あ、部活は何入るか皆決めたかな、帰宅部とかはもったいないからね。友達増えたりするし何でもいいから入ってね」チャイムが鳴る11時30分だ「今日はこれで終わり、はいさようなら良ければ部活も見て回ってね。六時までやっているから、一度ご飯だけ食べに帰ってもう一度来てもいいわよ」

先生は教室を後にした。「藤、サッカー部見に行こうぜ」「だるいからいい入部届一緒に出しといて、どうせ何もやらしてくれないだろ」「ここのサッカー部ボールとか、ゴールとかスゲー綺麗だぜ、あれ見ただけでテンション上がるわ」「とりあえず入部届よろしくな」

下駄箱に行き帰ろうとすると、蓮と会う。「あ、藤今から帰るとこ、一緒に帰ろうか、グラウンドすごい人部活の勧誘ね、そういえばサッカー部にするの」そういえば蓮はどこの部活だろうか、運動神経がいいから運動部なのだろうが、「入るならサッカー部、蓮は何部なの」「私は、パソコン部よ、ちょっとわけありで勧誘とかは、あまりしてないの」「蓮いたごめんちょっと手伝って」女の子がきた。「藤一人で帰って」こうして一人で帰ることになる。家に着くと風呂に入り、ご飯を食べてベッドに着く。今日も一日耐えた。明日もツマラナイ一日を耐えなければならない。目を閉じ暗闇に浸る。死ぬとはこんな感じなのだろうか。何も視えず何も感じず、見えるだけの今は、生きているのだろうか。

次の日家を出ると、家の前には、蓮がいる。そう蓮の家の前には、蓮がいる。隣だからってわざわざ一緒に行かなくても「パソコンて楽そうだな。パソコン部にしようかな」「別に良いけど覚悟はあるの」「覚悟って」「覚悟よりお金かな」学校に着くと授業が始まり、それに耐えると放課後がくる。「サッカー部の入部届一緒にだしに行こうぜ」「パソコン部ってどう思う」「あそこは遊びにいくには良いけど、入部難しいらしいぜ」

クラスの女の子が近づいてきた。「朝倉先輩が呼んでる」廊下の方を見ると蓮がいる。「パソ部に行こう」一階まで下りると授業で使う第一技術室と更に第二、第三まである。更に更に技術部更衣室まである。一度見たが第一だけで40台はパソコンがある。第二、第三もある何台パソコンがあるんだ。それに更衣室いらないだろ

「部活で使うのは、第二、第三の方なの」蓮は第二技術室の扉を開けた。まず目についたのが結構な人数20人はいるだろうか、1×2mくらいの机と言うより大きさ的にテーブル

と言った方が、しっくりくる・そのテーブルが3つありその前に人だかりができている「広いでしょ大体20×15ぐらいあるの、今日は入部関係無く遊んでいけばいいよ」机の周りにいくと二人が向かい合って座っている。一人はここの制服である良くわからないチェックのズボンに白のポロシャツ紺のブレザーを着ている。問題は向いの奴だ。黒のパンツに白のカッター黒のジャケットを着て黒のネクタイをしている。制服の方は、熱くなっている。闘争心がむきだしだが、ジャケットの方は、落ち着いた目をしている。人を小バカにしている目だ。机の真ん中にはトランプが置いてあり、二人がカードを出し同時に開く。またカードを同時に出す。どうやらジャケットが勝ったようだ。

「戦争と言うゲーム少しルールは変えてあるけどね。1が一番弱く13つまりキングが一番強い大富豪みたいな感じよ。ジョーカーを抜いた52枚を二人に26枚ずつ配りそれを手札とする。その後手札から裏向きに1枚カードを出し同時に開く勝った方は、相手と自分の出したカードを獲得札に出来る。獲得札はゲーム中に使えないけど多ければ後で、ボーナスがあるわ」このゲームは、手札しだいの運ゲーだ。制服が負けて悔しがっている理由がわからない。「精算です。」黒いジャケットが更に二人来て、お互いの獲得札を数えている。「精算結果、雅様+204、立石様+160p」となります。立石と呼ばれた男が、1万6千円を受け取り財布に入れる。ギャンブルだ。こんな事が許されるのか。だが恐怖よりも、興奮があった。そして立石とジャケットの次の勝負が始まる。

が立石が1万と千円札を何枚か支払っていた。

「次の勝負を見ましょう。立石君の手は良いわね。キングを三枚持っているジャックも二枚持っている。このゲームの勝つコツは、なんだと思う。」

このゲームは手札が強ければ、勝つ大富豪でいうと最初に大富豪になることである。しかしこのゲームは手札に影響するルールはないつまりコツは無い「無いだろそんなの」

「それがあるのよ、強いカードを残しつつ、勝つ、つまり相手より少しだけ強いカードを出し続ける。相手が弱いカードを出すときは、少し強いカードを、相手が強いカードをだすときは、凄く弱いカードで負け、強いカードを温存する。後強いカードを出した時は負けないのも重要よ」蓮のドヤ顔だ。

「大富豪なら、ともかくこのルールだと相手が何のカードを出したかわからない」ドヤ顔を何とか崩してやる。

「バカね、分らないからいいのよ、自分から見えたら、相手からも分かる。相手からは、分らない、自分からは解る。それが強さよ」さっきよりもドヤ顔

「自分からはわかる、つまりイカサマか」残念過ぎる結局こういうことか。ギャンブルなど結局は、胴元が勝つようになっている。

「違うわよ、読み、読み、人読みよ。心理学とかナンパ術とか、血液型占いとかあるでしょ」

血液型占いは違うと思うが、それに中二女子がナンパ術とか、まぁいい

「まぁ見なさい、残りの手札は、立石君は、K・K・J・10・9そして雅の手は、Q・Q・j・1・1.因みに使ったカードを見ればわかるわ。二人の手札合計立石君は合計56雅の合計37圧倒的な差よ」

まぁ確かに手札を見れば立石君こと、制服がいい。残り五戦全て制服の勝ちもあるだろう。

「ここから、残り五戦勝つのが雅なのよ。雅が手札を受け取り初めに出すカード見た?6よ何故だかわかる5を三枚4を二枚3を二枚2を一枚1を二枚もっていたからよ。誰もが初めは一枚しかなく低いカードを出したがる。複数持っているカードを出せないのは、大富豪をやった人なら誰もがそう。大富豪で初めに4を三枚持っていて4を一枚だけ出すのは抵抗あるでしょ。数字の高いカードは、温存したがるのは人の常、技術部なら誰もが知るセオリーよ」

「フーン4を三枚出したらダメなのか、」蓮が黒く見える

「このゲームは一枚ずつしか出せない、出さないのも無し」呆れ顔の蓮である。

話しているうちに机の二人が、カードを開く雅のカードは、1制服は、K。立石君の勝ちだ。二人がまたカードを出す。開く制服10、ジャケットJ、制服負けた。

「次立石君が、何出すか藤は分かる。」「分かるわけないだろ」

「教えてあげる、立石君の手札はK・J・9.立石君は何を考えているでしょう。Kは置いておきたいJか9かここまで見ると、見栄っ張りで自分を過大評価する立石君は、弱いカードをあまり使いたがらない半端なJを使うはずよ」

制服(立石)の出したカードは、Jジャケット(雅)は、Q制服の負けだ。

「立石君は、Kか9臆病な人は、ここで9を出すわ。勝気で攻撃的な性格ならKをだすわ。顔から見て恐怖がよぎっていそうだから、9を出しそうね」制服は9を出しジャケットはQ最後は、制服Kジャケット1

「精算始めます。雅様+226p、立石様+138p」

制服は、1万3800円を受け取る。なんか制服は金を受け取っているが、初めに金を払っているからおそらくマイナスだろう。

「勝てるわけないんだよ。ギャンブルなんて」

「ちゃんと理解してないくせに解ったようなこと言うのね。一人に配られるカード合計182、それを超えれば良い手札、下回れば悪い手札になる。更にここでは、初めに1万9000円支払う。最後に獲得札の合計分の金額を貰える。1につき100円貰える。Kを出して相手のQを流すこれだけで、獲得札合計25となり2500円よ。手札の平均合計は182になるから、そこそこの奴なら1万9000円払って1万8200円戻ってくるのよ。」

「結局一回800円ずつ負けるだろ、ましてや相手は強敵クソゲーだ」

「相手の強いカードに対し、凄く弱いカードでまけたり、弱いカードに対しギリギリ強いカードで勝ったりとかあるのよ、取られたカードは相手の獲得札に、なるから強いカードを出す時は確実に勝てる時に、使うとかね、まぁ雅に勝ち越せる人は、そうそういないけどね」

「結局、無理、詐欺だ」初めから、ギャンブルで勝てるとは、思っていない。

「私なら、勝ち越せる」自信に満ちた顔、他人を見下した目を少ししている。

「詐欺を詐欺と言う詐欺師は、いない。詐欺師は、詐欺じゃないですよって詐欺にはめるんだよ」

「これは、れっきとした勝負よ。公営ギャンブルみたいに、お金儲け目的じゃない。」蓮の顔は真剣で少し怒りがこもっている。

「でもここにいる人数からしても稼いでるだろ」ギャンブルを頑なに肯定する、蓮を何とか言い負かしてやろうと変なスイッチが入る。

「ここのゲーム料として受けとっている分、戦争で言えば一回につき800円、それは部費にまわしているわ。最近で言えば、サッカー部の備品を一式買い換えたわ。」

「なんか、岩谷が、言ってたな。」昨日の岩谷の話を思い出す。

「ゲーム料抜きの、金額がお互いの収支になるわ。それは、技術部であろうとなかろうと、おなじよ」

「ふーん」半信半疑だ。生徒がこれだけ人数を集めて、ギャンブルをしていて教師にばれないものなのだろうか。明日になって技術部がなくなっていても、不思議ではない。ましてや、ゲーム代を部費にまわすなど、生徒が勝手にできるものなのだろうか。

「なにその顔、信じてない、それじゃあ私が負けてる雅をみせてあげようか」そう言ってはにかんでいる。悪い顔だ。

制服の立石君が、席を立つ。あれからもう一勝負して負けたようだ。少しうつむいている。明らかに元気がなく、歩くのも遅い歩幅も狭い。次のゲームをするための1万9000円が無くなったのだろう。蓮が戦争をしていたテーブルの横まで歩いていく。

「朝倉どうした、今日は、ディラーしないのか、お前は客受けいいからな。おにぃちゃんも喜ぶぞ。」雅君が蓮に言う。ゲーム中はわからなかったが、声の大きさや話し方から察するに、雅君は、態度がデカく、人を少し下に見ていそうだ。最近よくいる俺ツエーおれつえーじんうぬぼれやさんだ。

「猿が、また喧嘩売ってるぞ。」テーブルの周りにいる制服、つまりここの客たちが、ざわざわしてきた。

「今日は、遊びに来たの。客として勝負するわ。」デカい声の雅に対して、蓮の声は、大きくなく、それでいて透き通っている。

「蓮ちゃんの彼氏またせたら、悪いからさっさとおわらせてやるよ。」

「そうねもう5時だし、スペードの⒈から⒑までの、十枚でやりましょう。」

「枚数減らせば、全体のパターンが減り、読み易くなる。そうなれば勝てると思ってるのか。」完全に蓮を見下している。どうやっても俺の勝ちといいたげだ。

「後一時間で部活は終わりだから、早く終わらせたいだけよ。」

「カードの枚数を減らせば、一回一回の勝負は、早く終わっても、一回で動く金額は、減るぜ。仮に全勝負取ったとしても合計55pで5500円だぜ。普通の戦争の1/3以下だ。」

「ここでは、悪魔でポイントのやり取りよ。お金の話は、やめなさい。戦争は飽くまでやりきったの。合計ポイントで勝った方に、200pこれで早くなるでしょ」雅をバカにしている感じだ。雅を挑発している。

ここまで見ていて、思ったが、雅は蓮を鼻にかけていて、そんな雅を蓮は心良く思っていないようだ。一言で言うと二人は、犬猿の仲だ。さっき外野が言っていた、猿が雅、犬が蓮と言うことなのだろう。」

雅とは、違うジャケット弐号が、スペードの⒈から⒑までのカードを出し、それをシャッフルした。そして二人に一枚ずつ配り、十枚配り終えると、ゲームの説明を始めた。

「このルールは、お二方の勝負つまりランキング戦とさせていただきますので、ゲーム代は、いただきません。」

「スペードの⒈から⒑だけを使う。

ゲーム終了時ポイント合計の低い方は、高い人に200p払う

その他戦争と同じ

以上でよろしいですか。」

「あぁ」  「はい」

俺はふと我に返り、蓮の後ろに回り込む周りのギャラリーもさっきまで、騒いでいたが、ここにきて静まりかえった。

蓮の手札は、1,3,4,7,9つまり、雅の手札は、2,5,6,8,10

1から⒑までの合計は55。過半数である、28以上が手札にあれば有利と言っていいのではないだろうか。しかし蓮の合計は、24これは不利。いや今回は捨てと言って良さそうだ。負けを如何に少なくするかと言うゲームだ。

「今回は俺の勝ちだな。」雅が言い放つ。

「無駄口は、あんまり関心しないわね。」

雅が、⒈枚裏返し手札を出す。

「早くしろよ。どうせ俺が勝つんだからさ。」

「超考するわ。ただこの勝負私が負けた場合だけ500p払うわ。」

「ははは、この状況でそんなことよくいえるな。周りに人がいるんだから、もう取り返しつかないぞ。」

「お互いね、」

それから、20分がたつ。蓮は何を考えているのだろうか。

蓮は7のカードを表のまま出した。「早くカードを開けて」雅は、カードを開ける。

雅のカードは、5だ。取りあえず初戦は、蓮の勝ちだ。

蓮は考える様子もなく、3のカードを裏向きでさっと出す。雅もカードを裏向きで出してきた。雅のカードは6。蓮の3では勝てない、第二ゲームは、雅の勝ち。

第三ゲーム雅は、裏向きでカードを出す。その後、蓮は固唾を飲んで、表のまま9のカードを出したように見えた。雅がカードを表にすると8だ。蓮の勝ち。

蓮が、フーと息をはく。蓮は先に表のまま、4を出す。雅は、そのあと⒑のカードを出し、蓮の負け、次に⒈を表のまま出し、雅は、2を出す。蓮の負け。

弐号が、二人の獲得札を数える。「朝倉合計29、多田26 朝倉の勝ち」

その後雅が、財布から、負け分を払う。つーか多田っていう苗字だったのか。

「もう一回だ。」雅は、熱くなっているようだ。目が震えていて、明らかに視野が狭い。負ける奴の目と顔だ。

「相手してあげたいけど、もう無理ね。」蓮がそういうとキンコーンカーンコーンチャイムが鳴る。五時三十分だ。

「技術部は、五時三十分まで、そこからは、片付けでしょ。六時には校門閉められちゃうし。私は、遊びに来ただけだから、部員として来たわけじゃない。だから片付けなくていいの。後はよろしく。」そういうと蓮は、俺の手を引っ張り部室を出た。校門のところまで来ると、「どうだった技術部は、結構面白くなかった。」

ツッコミどころが多すぎて、何も言えない。一つ気になるのが、「あの勝負イカサマだったのか。」

「雅とのこと?イカサマじゃないわ。勝つ自信はあったけどね。雅なんてランキング上位の人のシステムを後ろから見てパクるだけじゃない。あいつ自身何も考えてない。」

「それに、あの戦争にはコツがあるのよ。一番重要なのが55の過半数が、28つまり合計28を超えれば勝ちが確定するのよ。如何に28をとりにいけるか。これがキモよ」

「だから蓮は最後の二枚表向きのままだしたのか。」

「このゲーム52枚の戦争は相手のカードよりギリギリ強いカードで勝ち、相手の強いカードにはすごく弱いカードで負ける二つのコツがあるのよ。だから雅は、一番低いカードと高いカードを残すの。だから5か6を出すだから7を出して勝った。これで合計12になって後は16。8を出すタイミングに合わせて9を出せば勝ち。」

「二ゲーム目では、強い8を使うと思わなかったし、使うなら三ゲーム目か四ゲーム目ね。後はカンよ」

9を出した時に緊張してたように見えたのは、俺の思い違いでは、なかったようだ。


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