空虚
―――苦しい。
長い睫から覗く黒い漆黒の瞳に映るのは、知らない場所から見える、穢れもないような澄んだ青空。
―――なんということだろうか。
―――なぜこうなっているのだろうか。
―――なぜ自分が。
脳裏を占めているのはそんな言葉。
―――そうだ、あいつのせいなんだ。自分がわけのわからないところにこうして、立ち上がることもできず倒れこんでいるのは。
―――いっそのこと狂ってしまいたい。
時々、来るモノがいる。
日が昇って、それが沈むまでの間に幾度となく。
飽きずに、懲りずに。
言葉を聞いていると、なにかを食べさそうとしているようだが、自分には必要ない。
そう。
自分の食べ物は、一つだけ。
人間。
だった、はずなのだ。
なのに。
無理やりに食べさせられた、何か。
美味しいと、自分に合っていると感じてしまう、己がいる。
それが、また苦痛を呼ぶ。
なぜ、なぜ、なぜ。
―――許さんぞ。
自分を、こんな風に貶めた、奴。
次にあいまみえた時には。
八つ裂きに。
―――したいけど。
じわり、と認めたくない感情が、体から溢れ出て一か所に集中していく。
抑えることができない、感情の渦に翻弄される毎日。
立てない自分が情けなくて。
いっそのこと消えてしまいたい。
いや、生きるべきなのか。
奴に会うまでは。
考えれば考えるほど、瞳から涙が溢れ出て、頬を流れていく。
やがて、耐え切れずに。
大声で、叫びだすのだった。




