魔王との戦いの末。
突然思いついた話ですので、・・・様子見ながら、になると思います。
まだ、世界に魔物とそれを従わせる魔王がいた時代。
己以外はクズだと豪語してやまない、恐ろしい力を持った、魔王。
世界の、闇。
その魔王に、立ち向かおうとしている、勇者と呼ばれる人間がいた。
彼は、己の命を削りながら、一人で魔王と激戦を繰り返していた。
魔術を使い、剣を使い、拳を使いながら。
人間をクズ扱いしていた魔王だったが、勇者だけは別格だと認めざるを得なかった。
繰り返す戦いで、勇者が疲れ果てた頃、魔王も激しく体力を消耗していた。
魔王は、勇者に言った。
―――貴様の名前はなんという。
荒い呼吸を繰り返す度に、筋肉で逞しくなった勇者の胸と肩が上下する。
「……俺の名は、……ヒーロー」
―――ヒーローか。覚えておこう。 貴様は、今まで会ったモノ達の中で、誰よりも、強い。
「はは……それは。……光栄、って……いうべきか?」
―――貴様の強さに免じて、時間をやろう。 日が落ちたら、殺り合おう。1対1でな。
「それは……ふふ……ありがたいって……いうべき、か?」
魔王からの返答はなく、その場から気配も消えた。
勇者の言葉は、誰に聞かれることもなく空気に溶ける。
やがて、日暮れが近づき、少しずつ時間が迫ってくる。
最期の、時。
うらみっこなし。
勇者は、ゆらりと立ち上がった。
数時間前までの荒い呼吸が嘘のように。
一分の隙も無く。
身構える。
どんな攻撃が来ても、防げるように。
やがて。
勇者の剣が、空気を切り裂いた。