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5:あいつが悪い


 ペダルをこぎ、タイヤが回る。俺は目指す先へと愛車を走らせる。馬込は集合場所に関しては何も言っていなかったが、奴がいる場所は確認するまでもなかった。


 帝応大学、俺たちの母校。そこが約束の地であることは疑いようもない……たぶん。


 照り返す太陽を浴びつつ、電車で二駅、自転車で15分の大学までの道のりを急ぐ。最寄りの駅を過ぎ、車が行き交う大通りを横手にしながら、ふと思う。


「やべえなあ、まさかこんな暑い季節になるまで……」


 就職が決まらないなんて。素数を数えつつ無駄にページと愚痴を消費した先ほどより大分落ち着いたとはいえ、冷静に今の現状を振り返ると頭が痛い。


 大学四年の夏にして、内定はもとより選考途中の企業が0になった。この状況はすこぶるピンチである。しかもそんなピンチな状況の中、まだ受けられる会社を探すこともなく、今の俺がしている事といったら、ただバカに会いにいくというのだから、我ながらとんでもなく始末が悪い。


 そもそも、俺は馬込にさえ出会わなかったら、こんな事にはならなかったのではないのか。


 馬込智之、帝応大学法学部法律学科四年。我が大学生活における唯一にして無二のバカだ。決して友人ではない。友達でもない。大切な事だから二回言いました。


 あいつとの出会いは、お世辞にも普通とは言えなかった。


 さかのぼること、3年前。大学の入学式で出会った二人。学年全体でわずか70人しかいなかった極小高校からやってきた俺は、その入学式の会場に集まった約8000人の同級生達の群れの中で、完全にきょどっていた。


 だって70人から8000人だぜ?軽く100倍以上。界王拳なら余裕で精神と体がぶっこわれるレベルである、俺の心が生まれたての小鹿ばりに震えてたことを誰が責められよう。


 そんなガクブルバンビちゃんは、とにかく終始下をむきつつ、入学式が早く終わらないかだけを考えていた。その時、急にあたりがざわめきはじめ、周囲の視線が会場の入り口へと集まる。

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