3:ゆとりは続くよどこまでも
まったく、長所と短所は表裏一体、きちんと自己の短所を認識し、それをプラスに変えれば高評価!とか書いてあった就活本は何だったのか。嘘はついてはいけませんとかも書いてあったが、最早それが嘘だったとは。
「この物語はフィクションです」という言葉をなんで書いておいてくれなかったのか。こちとらゆとりだ、現実とフィクションを混同することにかけては誰にも負けないのだから、そこはきちんと書いておいてほしかった。
はてさて、まったくどうしたものか、何とここまで愚痴しか書いていない。これがライトノベルの選考であればそろそろ「ああ、こういうやついるよね、皮肉ばっか書いて内容さっぱりな奴」の烙印をおされてしまう。
最初はつまらないがその後おもしろくなる作品など皆無である。よくワナビたちは、「俺の作品は最後まで読んでくれなきゃわからない!」とかいうが、やっぱりわかるんじゃね?人は見た目が9割ならば、文章もそうであってしかりだ。
さわりが9割、頭が肝心。なんという真理、怖い怖い。早く物語をまわさないと。
そんな事を知ってか知らずか、ピピピピッという無機質な着信音と共にポケットが揺れた。
少し前までは「はっ、もしや選考の電話か!合格?内定?ひゃっはー」などと携帯が鳴るたびに一喜一憂していたが、選考に臨んでいる会社の持ち駒が0になった今となっては、それさえもできない。もう、携帯に興味を持てない。やっと……君を少しだけ好きになれた気がしたのに……。
しかし、それでも相手が誰かぐらいは気になるだろというツッコミが入りそうだが、今の俺にはそのワクテカ感すらない。
なぜならこの俺に電話をかけてくるやつなんて家族を除けばこいつしかいないからだ。
振動を続ける携帯をズボンから取り出し、画面を見る。
そこにはやはり「馬込智之」という名前が表示されていた。




