13:オレキトクスグカエレ
「おい、お前ら!そこで何をしている!」
突如、喧噪を突き抜けるように響く声。ダイヤをめぐり争う人々の視線が、声の主に集まる。
やっとという言葉がぴったりであろう。そこにいたのは、帝応大学の職員達だった。
「いったい何をやっているんだ!」
「先生の像から離れなさい!」
「ほら、どけどけ」
像に群がる生徒達を排除する職員。生徒たちもこれはやばいと感じたのか、素直に命令に従う。そして、生徒たちの声が静まりかえるのを待って、職員達は事情聴取を開始した。
「いったい何なんだこのバカ騒ぎは」
職員の一人がそう問いただすと、ある生徒が宝探しと答え、他の生徒がこのゲームの趣旨を詳しく説明した。
「状況は大体わかった……お前たち……神聖なる学び舎でなんてことを……このゲームの首謀者は誰だ!」
まあもちろん……。
「そうなるわな」
いわゆる責任者出てこい!である。これだけ大学の敷地内でバカ騒ぎをしたのだ、こうなるのは必然だろう。さて、どうするものかと、横にいる馬込に目をやる。彼はすっと手をあげた。
「はい、首謀者はこの私……」
予想通り。馬込が職員に名乗り出る。やつはこういう時に逃げたりしない。なぜそんなにも自分に自信を持てるのかはわからないが、あいつは自分の行動を否定しない。数少ないこいつの美点で…
「と……」
えっ?
ん?と?と、なんだって。おい、待てよこのくそやろう。ガシッ。挙手のため上にあがった反対の手が、俺の肩にまわる。こ、これはいわゆるスクラム!
「この、大山雄介だ!」
茫然、当然、無理もなく。突如、俺はこのバカゲームの首謀者になった。ああ、うん。こんな時、どんな顔をすればよいか。やはり俺は知らなかったのだった。




