11:ヒントが無いとクリア出来ないのはゆとりの証し
ゲーム開始から二時間がたった。「お前も参加してこい」という馬込の指令により、スタート直後から俺も大学内をふらふらと歩きつつ、隠されたお宝を探していた。去り際、「いい気晴らしになるだろ」と笑った馬込の顔が頭をよぎる。
だららだらと探しているとはいえ、この暑さである。うっすらとシャツが汗ばむ。現実を忘れ、非現実的な宝探しに興じる。まあ、たしかに気晴らしにはなっている……のかもしれない。べ、べつにあいつに感謝してるわけじゃないんだからね!
周囲を見渡すと、ほかの生徒たちはそれこそ必死の形相でダイヤを探していた。灼熱のアスファルトに頬をつけながらベンチの下を探す者。ゴミ箱の中に体をつっこみ、ゴミをかき出しながら探すもの。
やべーよ、奴らなんでこんなに頑張れるの?バカなの?いや、ある意味賢いのか?よくわからない。
さりとて、このダイヤ。そんな彼らの努力むなしく、今をもっていっこうに見つからない。俺は大学をぐるりと回る形で、結局馬込が待つスタート地点まで戻ってきてしまっていた。
「おい、そろそろヒントでも出したらどうなんだ」
汗ばんだシャツをパタパタとあおぎつつ、俺は馬込に進言した。
「ふむ、まあたしかにそれはあるな」
「ああ、さすがにこのまま見つからないままだと暴動が起きるぞ。現時点でこのありさまだ。見つからず騒ぎ出すバカが現れたら、さすがに学校もほっとかないだろ」
「それでは……」
俺の進言に納得したのか、馬込は再び拡声器を取り出した。
「ああー、テステス。ごふん、テステス。えー、聞けー!ものどもー!」
瞬間、ダイヤを探す群衆が、一斉に振り返り、遠くにいたものは足早に中央広場へもどってきた。
「皆、中々見つけられないようだな。そこで、諸君らに栄光へのヒントをさずけよう!ヒントは…えっ?先生、ケガしちゃったの?だ!」
刹那、会場が静寂につつまれる。そして徐々にかつ静かに……。
「先生?先生って……」「おいおい…ってことは……」「まさか……」




