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9:馬込閣下は高らかに宣言する

 以上、回想終わり。長いよね、ごめんごめん。

 でもおかげで、途中の道のりを全てぶっとばし、馬込が待つ大学までたどり着いたのだからよしとしようじゃないか。

 うんうん、そうしよう。そんなわけで、大学の校門へとたどり着いた俺は、愛車を駐輪場にすとん置き、足早に馬込の元へと向かおうとした…ところでふと気が付く。

 

 ああ、さすがにあれだけじゃ大学のどこで待ってるかがわからない。そう思い、駐輪場から大学の中央広場へと足を進めたところで、俺は携帯を取り出したのだが、どうやらその必要はなさそうだった。


 中央広場に出来る、丸い人だかり。ざっと100人はいるだろうか。その円の中心にいた人物こそ、馬込だった。


「あぁー、テステス」


 拡声器を持った馬込が人だかりに向かい、演説を始める。


「諸君、よくぞ集まってもらった!この時間、この空間を共有する君たちに、革命家の愛を持って、抱擁を送りたい」


 ゲバラの引用かよ……。こういう中二成分がいつもスカしてやがる。丸い人だかりをかき分けつつ、馬込に近づいていく。馬込は演説を続ける。


「さて、事前に説明したように、今日私は君たちと一つ勝負をしにきた。ここに集まった諸君らは、事前の参加費一万円を払った者たち、これより、大金をかけた勝負をする者たちだ。諸君らから預かった総額は105万円。昨日、私はこの金を用いて、ダイヤを購入してきた」


 そういうと、馬込は自身のスマートフォンをちょちょいといじる。直後、周りの参加者の携帯が一斉に震える。画面を除き見るかぎり、どうやらダイヤの画像を送信したようだった。参加者から「おおお」と驚きの声が上がる。なるほど、大体話が見えてきたな。


「確認していただけただろうか。このダイヤを私は今日、大学のある場所に置いてきた。そこにすべてを置いてきた!諸君、これは早い者勝ちである!ウィナーテイクスオール。ダイヤを使った宝探し、それが今回のゲームだ。この演説の終了をもって、開始の合図とする。以上、健闘を祈る」


 瞬間、「うおおおおおおおおおお」という怒号と共に、人だかりがまさに蜘蛛の子をちらすように一斉に散らばった。


「もしもし、俺だ、今すぐサークルメンバーをかき集めろ!なんでかって?そんなもの後で説明してやる!とにかく早く集めろ!」「犬飼ってるやつ、犬連れてこい!」「ダウジングもってこい!」「猫の手ーーー」等など、各自の叫び声を遠くに聞きながら、俺は円の中心に一人残った馬込の元へ近づいた。

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