序章
序章
臨時ニュースをお伝えします。
先ほど国会にて「特定若年者雇用機会支援法案」が与野党大多数の賛成を持って承認されました。これにより、現在東京ベイエリアに建設中である夢の島アイランド経済特区に就職・進学をしていない、いわゆるニート層を一同に集め、強制的に“就労を支援する”システムが確立されました。
就労を希望しない若者でさえも、強制的に移送・就業させる同法に対しては、当事者である若年層はもちろんのこと、法曹界の有識者や人権団体からも強い反対の声があがりました。
しかし年々増加の一途をたどり、ついに前年、百万人を突破したニート層。年金問題はもちろんのこと、ニートの増加と共に着実に膨れ上がる生活保護費用に頭を悩ませた政府は「同法の成立が若者だけでなく、日本を救う唯一の方法である」とし、法案の成立を強硬に主張。野党はもちろん、与党内にも根強くあった反対意見をまとめあげ、最終的には与野党大多数での賛成決議にこぎつけました。
同法成立の一報を受け、対象となる若者と同年代の就労者からは、「働かないやつには罰を」「税金泥棒の寄生虫に人権なし」など過激な声があがっています。
一方、同法による“強制支援対象者”となるニートの若者からは、
「ウハッww人生オワタwwwwプギャーーwwww」
という声があがったとかなんとか……