図書室にて。
「邪魔しないでくれるかな?佐伯君」
放課後、図書委員の当番だった私は図書室のカウンターで本を読んでいた。
そこに、朝の言葉通りやってきた佐伯君は、委員でもないのに私の隣に椅子を持ってきて座ると、私に話しかけてくる。運動部の活動が盛んなこの学校は、テスト前以外は放課後に図書室を訪れる人はほとんどいない。だから喋っていても問題はないのだ。ないけれど…
「えー、邪魔なんかしてないよ。仲良く喋ろうとしてるだけでしょ」
「いや、だからそれが邪」摩と言いかけたところで遮られた。
「そういえば、もうすぐ文化祭だよね。沖野さんのクラスは何するの?」
「…佐伯君、時々私の話聞いてくれないよね」
あきれて言うと、満面の笑みで返された。
「沖野さんの話なら何でも聞くよ?さ、話して話して。」
なんか佐伯君がしっぽを振る犬に見えてきた…
「佐伯君、なんか初めのイメージと違うよね。もっとクールな感じだと思ってたのに。
うざいキャラだって言われるでしょ?」
「そんなこと言われたことないよ。沖野さんは以外と毒舌だよねー。
好きな子と話してたら誰だってテンション高くなるんじゃない?だから俺、別にうざキャラじゃないよー」
何言ってんの?という感じで言われた。
まあそんなモノなのか?私は好きな人がいたことないから、恋する人の気持ちはよく分からないけど、妹は彼氏と居る時確かにいつもより―――ってなんかそれじゃまるで…
「えっ?…佐伯君、私の事好きなの?」
思わず、自意識過剰とも取れる言葉を発してしまった。
慌てる私を見ながら「やっぱ、気づいてなかったの?こんなに分かりやすく態度に出してるのに。やっぱ、沖野さん面白いよねー」と恥ずかしげもなく言う。
真っ赤になって、どうしたらいいか分からない私をよそに、高校入試の時、風邪を引いてた俺に飴くれたでしょ?あの時から好きだったんだよ。と言われ(確かに咳してた男の子にあげた記憶が!)、屋上で会った時も、告白だったら邪魔する気満々だったとか、これはチャンスだ!と思ったとか、思ってもみなかった事をべらべらと喋り、最後に
「だから、あきらめるつもりもないし、遠慮もしないよ。」と微笑まれた。
佐伯君、自信満々という感じですが、内心ドキドキだったりします。
これで、一応完結です。
ここまで読んで頂きありがとうございました!