修学旅行「まとめ」
修学旅行が終わっての連休明け。
みんなぐったりしている。
「みんなぁ、疲れてるのはわかるけど
もう3日も休んだんだから元気出せよぉ」
先生だ。白髪で男の小岩先生。
しかし、先生の言葉なんか頭に入っているわけがない。
昼休みにはほとんどの人が元気だったが、
5,6時限目の修学旅行のまとめの時間は、
もっと元気だった。
「わーたーしーは、ぎーんーかーくーじ」
「利佳ちゃん、声に出さなくていいんだよ」
「え、しゃべってた?」
「あんた、バカじゃないの?」
「うーん」
利佳子は、悩んだように首をかしげている。
しかし、気づけばもう感想作文を書き続けていた。
「俺は金閣寺とか行かなくて良かったな」
「もう、いまさらそんなこと言うなっ」
「だって、前に言ったことあるもん」
「あんた、それ行く前にも言ってなかった?」
四猫と馬田が口喧嘩を始めた。
それを、利佳子が仲介した。
「まぁまぁ、四猫は金があるから…」
「…………」
班のみんなの空気が固まった。
大熊「下ネタ」
四猫「…」
「ちっ、違う…。よ、四猫の頭に金閣寺が…」
本当は、『四猫の頭に金閣寺があるから
行く必要はなかったかもね、でも
おわったから変なこというな』と
言おうとしたのだが、言葉が足りず
また変な誤解を招いてしまった。
(何をかくそう―隠すことはできないが―、
四猫はつむじからはげている。
まるで河童のようだ。
実際、あだなは河童。
暑い日には、『水がないとひからびる』とか、
『河童寿司おごれ』とかからかわれている。
だから利佳子は、頭に金閣寺があると言いたかったのだ。)
そして、利佳子はまたしばらく落ち込んでいるのだった。