修学旅行「2日目」
2日目は班で自主研修だ。
「利佳ちゃーん。起きてる?」
「なんとか」
なるせは眠そうに立っている利佳子を見ていった。起きているのか寝ているのかわからない利佳子は、必死に眠たくなるのをこらえていた。
各班のタクシーに乗り込み、利佳子は熟睡した。
「利佳ちゃん、昨晩は一番に寝たのに」
なるせは独り言をつぶやいた。
それをきいていたのか、浩也がなるせに話しかけた。
「すげえな、俺4時まで西鳥くんとしりとりしてたから寝てねえ」
なるせは、そうなの!?と驚きながら、寝ている利佳子に小さな声でつぶやいた。
「利佳ちゃん、大熊くん、あんまり寝てないんだって♪」
なるせは利佳子のほっぺをつねった。
「ん…なんかあった?」
「おはよう、はい、2回目」
利佳子はキョロキョロと見回した。
「もう着くよ。起きろ」
ほっぺを軽くつねられ、ようやく利佳子は目を覚ました。
「次は…金閣寺」
駐車場に車を止めて、歩いて金閣寺まで行く。
「うおー、ほんとに金…色だね」
「危なかったね、利佳ちゃん」
金閣寺を背に記念写真を撮った。
歩いている途中、浩也が言った。
「寝みー」
利佳子は思い切って話しかけた。
「大丈夫?」
これに、浩也は眠たそうに答えた。
「夕べ西鳥くんと4時までしりとりしてた」
「すごいね…」
利佳子はあと少しだから頑張れ!と浩也の肩を叩いてなるせのところへ行った。
「よく話せたね、えらいえらい」
なるせは言った。
「えへへ」
利佳子は笑って顔を赤くしてうなずいた。
集合場所の東寺までのタクシーの中、前の座席に座っている男子二人は眠っていた。おもしろいことに、四猫は窓によりかかり、浩也は四猫の肩によりかかっていた。
利佳子はすかさずカメラを撮り、くすくす笑っている。
「あー、後で大熊くんに言ってやろ」
「秘密秘密!」
利佳子は、なるせに口止めしながら前の二人を眺めていた。