体育大会「本番その4」
午後のプログラム1番は組体操だった。
炎天下でグラウンドの砂も熱い。
しかしけが人が出ることもなく、
無事に組体操を終えた。
このあと、運命の百足競走…。
予行練習では1位を取った。
本番は絶対そうなるとは限らないが、
それでもとにかく頑張ろうと利佳子は
心に決めていた。
ピストルがなり、まず男子が走りだすと、
なんと青団は1位で女子にバトンタッチ!
男子の最後がスタート線をこすと同時に
女子も出発した。
いい調子だ。この調子なら1位は間違いない。
そう思った時だった。
「キャアァッ!」
前の方が転んでしまった。
「みんな早く立って!せーの」
猿田文の合図でまたに走り始めたが、
予行練習で最下位だった白団に
追い越されてしまった。
スタート地点に戻り、男子の最後と
女子の最初がひもを結び、委員長の
「せーのっ」
で出発した。
白団がもうUターンして、間に合わない。
しかし、黄団は青団とほぼ横並びだ。
Uターンして、ここからは最後の利佳子と
黄団の最後のゴールの速さで決まってしまう。
「押すからね!?」
利佳子は前の羽鳥陽に叫んだ。
「いいよ!押せ押せ!」
そんな心配もなかったかもしれない。
結局押したのだが、押さなくても
青団の方が若干速くゴールした。
青団は2位に終わったが、まだ紅団が
ゴールしていない。
まだ女子なのだ。
「紅団!紅団!」
応援団長が応援し始めた。
「紅団!紅団!」
青団のみんなが応援を始めた。
応援をしていたのは青団だけだった。
紅団がゴールしてから、
紅団は全員号泣していた。