体育大会「本番その1」
ファファーレがグラウンドに鳴り響いた。
「最初は青団の入場です」
放送が鳴り、団長が叫んだ。
「青団、行くぞーーー」
「オーー」
走って自分の所定位置について、
ほかの団も入場して、やっと開会式が始まる。
「これで、プログロム1番、
開会式を終わります。次はプログラム2番、
準備体操です」
準備体操と言ってもラジオ体操だ。
「これでプログラム2番、準備体操を終わります。
続きまして、1年男子による、100m競走です」
「続きまして…」
「続きまして…」
利佳子は、選抜200mに出場するため、
入場門に整列していた。
3年男子100m競走で、浩也は8人中5番だった。
背の順でいくから、ほぼ後ろのほうだ。
浩也たちの組は速い人ばかりだった。
浩也の5番はいい方なのだ。
利佳子は入場門に整列してたため、声を出して
応援することができなかった。
利佳子の出場する200mで、どんどん
1年2年が走っていく中、
利佳子は緊張ばかりしていた。
「…第4レーン、青団猪島利佳子さん」
利佳子ははっとしながら
「はい」
と手を挙げて礼をした。
「用意…パァン!」
ピストルの音が鳴り響く。
利佳子はほぼ無心で走っていた。
浩也は見てくれているか…なんて
考える暇などもなかったほどに。
しかし実際は考えていた。
余裕だったからだろうか。
利佳子は1位でゴールした。
青団のほうから、キャーとかいいぞーとか
歓声があがっていた。
「やったじゃん」
青団の応援席に戻って、なるせとあった利佳子は
「うん。なるも800m頑張ってね」
「あー、それ問題だねぇ。でも
利佳ちゃんが1位だったから、
それなりに頑張るよ」
「それなりって…」
なるは800mのスタート地点まで走って行ってしまった。
この時点で、青団の得点は4団中4位だった。